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微笑む影 ―揺らぐ忠誠と禁断の真実―

第26話「檻の中の微笑み ―偽りと真実の狭間で―」では、

玲司の支配と京司の影、そして悠真という“第三の存在”が姿を現しました。


檻の内と外。

三つの影が交差し、サラの運命はさらに複雑に絡み合っていきます。


そして第27話。

サラの前に差し伸べられる“微笑む影”。


その出会いが、禁断の檻を大きく揺さぶっていきます。


愛か、裏切りか――真実は、すぐ傍に。


「……悠真です。覚えていますか?」


画面に浮かんだ文字を見た瞬間、私は息をのんだ。


震える指先でスマホを閉じても、

胸の鼓動は、破裂しそうなほどに高鳴っていた。


(悠真……カフェで会った人……?)



脳裏に蘇るのは、ほんの短い会話と、

玲司の隣で見せた親しげな笑顔。



決して長い時間ではなかったのに、どうしても忘れられない。


(……でも、どうして私の連絡先を……?)



再び震えたスマホに、新たな言葉が浮かぶ。

――「サラさん。真実を知りたくないですか?」


(……真実……って、一体……?)


そのとき、隣にいた玲司が私の手を掴んだ。



「……サラ、顔色が悪いぞ」



鋭い眼差しが、私の動揺を突き刺す。

心の奥に押し殺していた問いが、静かに膨らんでいく。



(玲司……あなたは、何を隠しているの?)


けれどその問いは、声にならなかった。


「俺だけを、信じればいい」


その言葉に頷こうとする私の胸に、別の影が忍び込んでいた。


(……本当に? 玲司だけを信じていいの?)




その夜。

私はひとりで買い物に出かけた。


背後には護衛の影があったけれど、心は落ち着かない。

人混みの中――ふと、視線が絡んだ。



――玲司。



そう思った。けれど、違う。

昼間、写真に写っていた“彼”だった。



彼は人混みの向こうで、穏やかな笑みを浮かべていた。

そして――迷う私に救いを与えるように、そっと手を差し伸べてくる。



(……あの人……京司?)


その瞬間、背後から別の影が迫った。

不意に腕を掴まれ、体が強く引かれる。



「危ない!!」



声と同時に、私を抱きとめたのは――玲司そっくりの顔をした彼。


(……え……? 本当に……玲司じゃない……!?)



振り返ると、黒いフードを深く被った影が、こちらを不気味に見下ろしていた。

その口元は、不気味に笑っていた。


(……この人……見覚えがある……?)



護衛の三人は、気づけばどこにもいなかった。

震える私に、彼は優しく声をかけた。



「大丈夫? サラさん……」


その手は驚くほど温かく、言葉は包み込むように柔らかかった。


(どうして……私の名前を……?)



彼は微笑みを崩さぬまま、静かに名乗った。



「こんばんは。京司です。」


その名を耳にした瞬間、私の思考は止まった。



(……えっ? 今、京司って……言った?)


驚きを隠せない私に、京司は穏やかな声で続けた。



「さっきの黒いフードの人……あれは悠真だと思う」


(ど……どうして? 悠真さんが……私を狙ったの?)




悠真は本当に玲司の“友人”なのだろうか。


それとも、もっと別の目的を抱えているのか。



(私が、ここに来ることを知っていたのは……“あの三人だけ”)


京司の微笑みが、心の奥の不安を和らげていく。



玲司が語る“京司”の像とは、まるで違っていた。


彼は強く抱きとめ、優しく微笑んだ。



「もう大丈夫。無事で良かったです。」



その言葉に、胸の奥で何かが揺らいだ。



第27話では、ついにサラが“微笑む影”と出会いました。


玲司の檻。

悠真の誘い。


そして――そっくりな人物の存在。

誰が味方で、誰が敵なのか。


そして、誰を信じるべきなのか。


全ての答えは、サラが“真実を知る覚悟”を持つかどうかにかかっています。



次回、第28話。

禁断の檻はついに決定的に揺らぎ、御曹司たちの本当の姿が明らかになります。



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