禁断の檻の主
第19話では、玲司の嫉妬と独占欲がついに顕わになり、
サラの心を揺さぶりました。
そして第20話。
冷酷な仮面を剥ぎ捨て、理性を越えた“異常な昂ぶり”に
気づいてしまう玲司。
それはサラによって開花した、彼自身も知らなかった禁断の快楽。
愛なのか、支配なのか――その境界線は、もはや誰にも見えない。
危うい熱にのみ込まれる二人の関係を、どうぞお楽しみください。
「……めちゃくちゃにしたい」
熱を帯びた吐息とともに、玲司は浴室で呟いた。
熱いシャワーが降り注ぐ音さえ、乱れた呼吸を隠しきれない。
「俺だけの……子猫ちゃん」
その言葉は、水滴にかき消されず、空気を裂くように響いた。
閉じた瞼の裏に浮かぶのは、サラの姿。
――もし、あの三人の視線に縛られていたら。
笑みを向けられ、手を取られ、囁かれているサラを想像するだけで、
胸の奥が焼けるように熱くなる。
「……くっ、はぁ……はぁ……」
低く漏れた声は、欲望を堪えきれない獣の唸りに似ていた。
玲司の体を走る異常な熱。
普段の冷酷な仮面は剥がれ落ち、
そこにあるのは理性を壊すほどの昂り。
その熱は、長く閉ざしてきた“執着”の檻をこじ開け、
暗い衝動の扉を押し広げていく。
「……誰にも渡さない。俺のものだ」
水滴を振り払うように顔を上げた瞳は、
氷よりも冷たく、炎よりも激しく燃えていた。
その夜。
リビングで書類に目を落としていた私の背後に、影が落ちる。
「……玲司?」
振り返る間もなく、強い腕に抱き込まれた。
逃げ場を与えない力で、全身を縛りつけられる。
「サラ……」
低く押し殺した声。
その震えは、冷静さではなく抑えきれぬ欲望の証だった。
「お前のことを想像すると……狂いそうなんだ」
耳元に落ちた囁きは、甘さと狂気が絡み合い、私の心を強く締めつける。
「俺の子猫に……あいつらが触れるのは嫌なんだ」
玲司は囁きながら、サラを強く抱き寄せる。
そこには守ろうとする優しさと、
今まで知らなかった“愛の形”が混ざり合っていた。
そして玲司自身も気づいてしまった。
それが“最高の快楽”――サラによって開かれた、
決して閉じられない扉だということを。
(守られているはずなのに……どうしてこんなに怖くて、甘いの……?)
――愛は守護ではなく、禁断の檻。
サラを手にした瞬間から、玲司はもう後戻りできない。
そしてその快楽は、さらなる渇望へと彼を突き動かす。
次にサラを待ち受けるのは、守護か、それとも破滅か。
お読みいただきありがとうございます。
第20話では、玲司の“歪んだ愛の形”がついに姿を現しました。
守りたいはずが、誰よりも縛りつけたい。
独占欲は嫉妬を超え、
サラによって目覚めた快楽へと変わっていく――。
禁断の檻に囚われた二人の行方は、まだ始まりに過ぎません。
次回、第21話。玲司の渇望はさらなる衝動へと姿を変え、物語は新たな局面へ。
そして――解放された檻の“鍵”を握るのはサラ。
玲司の欲望が暴かれる時、京司との真実もまた、揺るぎない形で姿を現す。
ぜひ続きもお楽しみに。




