揺れる視線
第17話では、玲司の過去と京司の影が
ついに目前に迫り、サラの前にも
「挑戦状」が突きつけられました。
そして今回。
玲司の判断で、サラを守るために
3人のボディガードがつけられることに。
冷徹な蒼真、優しい蓮、無骨な隼人。
彼らの視線は守護か、それとも甘い誘惑か――。
サラの日常に忍び込む、危うい熱を描く第18話。
どうぞお楽しみください。
――その朝。
玄関の扉を開けたとき、私は息をのんだ。
そこには、三人の男が立っていたから。
鋭い目つきで無言のまま立つ、背の高い男――蒼真。
柔らかく微笑み、礼儀正しく会釈をする端正な男――蓮。
そして無骨な雰囲気を漂わせ、腕を組んで
こちらを見つめる隼人。
「……誰、なの?」
私の問いに、背後から現れた玲司が短く告げる。
「サラを守る者たちだ。今日から、常に傍にいる」
戸惑う私をよそに、三人の男は次々と名を告げた。
「蒼真です。」
冷たい瞳の奥に、わずかな熱が光る。
「蓮です。ご安心ください、大丈夫ですよ。」
柔らかな声が耳に心地よく響く。
「隼人。……どんどん頼ってください。」
低い声が胸に響き、思わず背筋が震える。
私はうろたえた。
護衛だというのに、その目はまるで……
私を女性として見ているようで。
その日から、奇妙な日常が始まった。
買い物に出れば、蒼真の鋭い視線が髪の揺れを追う。
その瞬間、彼は低く呟いた。
「……困った飼い猫ちゃんだね」
冷たいはずの瞳に、熱が宿っていた。
少し不安げに立ち止まれば、蓮がそっと微笑み、肩を寄せる。
「大丈夫ですよ。ほんとに……困った飼い猫ちゃんだね」
柔らかな声に胸が震える。
そして手元が震えると、隼人が無言で支えてくれた。
指先が触れたとき、彼は小さく唸るように囁いた。
「マジで……困った飼い猫だな」
その不器用な低音が、逆に熱を帯びて耳に残る。
(……守られているはずなのに……
どうして胸がこんなに苦しいの……?)
視線。
声。
仕草。
どれも“護衛”の域を越えていて、私の心を乱していく。
そして夜。
三人の気配を感じるまま眠りにつこうとすると、
背後から強い腕に抱きすくめられた。
「……視線を感じすぎて眠れないのか?」
耳元で囁く玲司の声は、氷よりも熱を帯びていた。
「俺の子猫に……あいつらが触れることは許さない」
その言葉に胸が締めつけられる。
守られているはずなのに、焼きつくような独占欲が、
私の心を恐ろしく甘く震わせた。
守られているのか。
支配されているのか。
その境界が、またひとつ曖昧になっていく――。
第18話「揺らめく視線」では、
新たに登場した3人のボディガード――
蒼真・蓮・隼人が描かれました。
彼らは護衛でありながら、サラに向ける視線は甘く、時に危ういもの。
そして玲司の独占欲は、ますます強く燃え上がっていきます。
守護か誘惑か。
愛か支配か。
次回、第19話。
玲司の嫉妬がついに爆発し、夜の独占が描かれます。
どうぞご期待ください。




