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闇に潜む名


第14話では、玲司の「狂おしいほどの愛」と

黒いフードの影――京司の存在が

はっきりと匂わされました。



そして今回。


ついに玲司の口から、

“京司”という名が語られます。


サラの夫をも利用した見えない影。


駒のように人を操る男の本質とは――。


狂気と罠が交錯する第15話、

どうぞお楽しみください。



夜は静かに深まっていた。



しかし、その静けさはむしろ不気味で――

私の胸を締めつける。



ソファに座る玲司の横顔は、窓の外の闇よりも硬く、

冷え切っていた。



「……京司」



低い声でその名を吐き出す。


その瞬間、部屋の空気がぴたりと張り詰めた。


私は思わず問いかけてしまう。



「やっぱり……あの黒い影は、京司なの?」



玲司の瞳がわずかに揺れた。


だがすぐに、鋭い光を宿して私を見据える。



「サラ。京司は、ただの人間じゃない。

欲望と権力に取り憑かれ、人を駒のように扱う。」




「……俺も、かつては駒として動かされ、大切なものを失った」




「駒……?」



「一度与えられた“地位”と“金”に人間は縛られる。」



「あいつはそれを巧みに操るんだ。

お前の夫も――例外じゃない」



胸がざわめいた。


(……夫まで、京司に利用されて……?)



玲司はグラスを強く握り、低く吐き捨てた。



「京司は、壊すことに執着している。

人の信頼、愛情、居場所……大切なものほど、あいつは狙う。」



「サラ、お前が俺の傍にいる限り――お前も狙われる」



私は息をのんだ。



背筋を冷たいものが這い上がる。



(……狙われる? 私が……?)



けれど、震える指先を包む玲司の手は、驚くほど温かかった。



「怖がらなくていい。

俺が君を守る。たとえ檻に閉じ込めてでも――絶対に」



その言葉は甘美で、同時に恐ろしくもあった。



愛と狂気が混ざり合い、私の心を揺さぶる。



しかし――その直後。



――カチャリ。



玄関の扉に、何かがかけられるような音が響いた。



(私は息を止めた。最上階の部屋に、どうやって……?)



恐る恐る扉を開けると……

ドアノブに、黒いカードがぶら下がっていた。


(……誰かが、ここまで来た……?)



震える手でそれを外すと、赤い文字が浮かんでいた。




そこには――


『次はお前の番だ、玲司』



赤い文字は、まるで血で書かれたように、生々しく刻まれていた。



喉が焼けつくように乾き、声が出ない。


(……この赤、胸の奥に焼きついて離れない)



(……京司……!!)


その瞬間、玲司の瞳に冷たい殺意が閃くのを見てしまった。



――もう、逃げ場はない。




そして。


その瞳に宿るのは、京司との決着を予感させる――



逃れられぬ“決戦の炎”だった。


お読みいただきありがとうございます!


第15話「闇に潜む名」では――

玲司の口から京司の正体と執念が語られました。


玄関に残された黒いカード。


『次はお前の番だ、玲司』。


これは警告ではなく、

避けられない“対決”の始まり。


玲司の瞳に宿る冷たい光は、

過去との決着を望む炎でもあります。



次回、第16話。


京司の過去、そして玲司との因縁が

ついに明らかになります――。



続きが気になる方は

ぜひ【ブクマ・感想】で応援いただけると嬉しいです!



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