02話③:収穫祭の延期
「………ってことがあったんじゃ」
「若い娘だから信じたんじゃないですか?」
「女の涙に騙されてないですか?」
「お前らと一緒にするな!!」
婆さんも疑いの目を向けんでくれ。
ちょうど収穫祭の準備で村人全員いたから丁度よかった。
「ワシが見る限りあの娘は大丈夫じゃ。
変なこと考えとるようには見えん」
「まぁ、村長の人を見る目は確かだしな」
うむ。婆さんの目つきが和らいだか。
さっき言ったやつ、後で褒めてやるぞ。
「それと、今日の収穫祭は明日に延期じゃ。
今から準備して始めてもすぐ日が暮れるしな。
あとは…明日の朝にその娘のところへ
薬と食べ物を届けてやってくれ。
女が持ってく方が安心するじゃろう」
うむ、言っておくことはこのくらいか。
収穫祭も出来なくはないが、今日はもう疲れた。
ワシ一人で気疲れした。
…あの娘。人を騙すようには見えんかった。
騙されたところでこの村から取る物もないんじゃがな。
じゃが……若い娘に誑かされるのもそれはそれで…
おっと、婆さんが睨んでおる。何もしとらんぞ?
ん?クッキーが欲しい?
そのくらいなら今度商人が来たときに買ってや…3つ??
う、うむ。3つでも4つでも買ってやろう。
ワシは婆さん一筋じゃからな。はっはっはっ。
すまん、孫娘よ。
クッキーはキャンセルじゃ。
自分で買うから忘れてくれ。