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入学
わたしは高校に合格したもちろん明宏も。
合格発表の時、明宏はわたしの震える手を握りしめてくれていた。
「大丈夫。今井さんなら。」
と明宏は優しく微笑む。
合格が決まった瞬間、明宏とわたしだけが盛り上がっていて抱きしめ合った。明宏は涙を流しているわたしを見て右耳を優しく触ってくれた。
学校に戻ると明宏見たみんなが驚いていた。
みんな明宏には相応しくない高校の名前が書かれた封筒を見てショックで声も出なかった。光子が明宏に詰め寄った。罵倒する言葉だった。わたしは、必死に二人の間に入り込んで明宏を守った。光子は恐ろしい顔をして立ち去った。明宏がわたしを背中から抱きしめてありがとうと小さく言った。
わたしと明宏は、卒業式を終えて図書館で小さな声で雑談した。
「卒業したね。」
とわたしが明宏を見て言うと明宏は頷いた。わたしはあえて明宏の心の中を知ろうとはしなかった。何も言わなくても伝わる気がした。
しかし、入学してすぐに二人の時間は無くなった。光子が転校して来たのだった。
二人の間を割くために明宏を手に入れるために。