冬休み
塾は、冬期講習に入った。明宏と光子は付き合ってるようだ。仲良く話している。わたしは、辛くて寂しくて明宏の背中を見つめていた。夏期講習の時が遠い日々のよう。やっぱり明宏と光子は画になる。美少年と美少女。
「今井さん、元気?」
と光子は微笑む。
「う、うん。元気。ありがとう。」
とわたしはびっくりして答えた。
「どこの高校受けるの?」
と光子は興味深そうに聞いてきた。
「恥ずかしくて言えないぐらいレベルが低い高校。」
実際、夏休みから成績はダダ下がりで一番レベルが低い高校を受験する事になっている。
「そう。」
と光子は、少しホッとしたように言った。
やっぱり、光子は、手段を選ばない女だった。今のは警告だ。わたしの明宏に近づいたら許さないという。明宏とは、あれから話してない。きっと光子が現れてわたしなんかと一緒にいた事を後悔して楽しくしている。そんな事よりも受験だ。本当に一番レベルの低い高校を受験する事になっていた。親には塾に行かせた意味が無かったと苦言された。わたしは明宏を忘れるので必死だった。別々の高校に行けば苦しくて切ない気持ちも忘れる。わたしには明宏は一夏の王子様だったんだと良い思い出だと思う事にした。
でも、わたしに勇気があったらと思った。あの時、明宏を傷つけるような事を言わなければ未来は変わったのかな?




