避ける
わたしは、イジメを受けたく無かった。だから明宏を避けるようになった。明宏の事は好きだがイジメを受ける覚悟は無かった。
塾の帰り道で明宏にわたしは呼び止められたが無視した。それでも明宏は追いかけて来た。
「どうしたの?今井さん?」
と明宏は困った顔で聞いてきた。
「別に。」
とわたしは冷たく答えた。
「こないだのイタズラと何か関係あるの?」
と明宏は感が鋭い。
「別に無いよ、ただ十勝君の事、飽きただけ。」
とわたしは、真逆な事を口走ってしまった。
わたしは、明宏が怒ったと思ったが明宏は優しく笑って
「そっか。」
と言ってわたしの横をすり抜けてった。
明宏の去りゆく背中にわたしは好きだよと呟いた。それからわたしと明宏は関わる事が無くなった。わたしへのイタズラも無くなった。わたしはこれで良かったんだと自分に言い聞かせた。
しかし、成績は下がる一方だった。
明宏と光子は、成績を競い合う仲になっていた。そしてある日、わたしと明宏の塾に光子が入って来た。光子は、確か大手の有名な塾に通っているはずだった。
「十勝君、来たよ。」
と光子は、明宏の隣の席に座って言った。
「あぁ、本当に来たんだ。」
と明宏は、優しく光子に言った。
「だってこないだ約束したじゃない。中間テスト負けたら勝った方の塾に通うって。」
光子は、わざときっと負けたんだと思うとわたしは感じた。わたしは、明宏と光子の背中を見つめる事しか出来なかった。




