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タクシー

わたしは、小遣いもお年玉も全部持ってタクシーに急いで乗り込んだ。


「富士の樹海まで。」


と若いタクシーの運転手にわたしは言った。


「お嬢ちゃんも無理言うな〜。」


と軽い調子で運転手は言った。


「もって?何ですか?」


わたしは、明宏を思い浮かべた。


「昨日も、少年を富士の樹海まで送って行ったんだよね〜。」


「この人ですか?」


とわたしは、明宏の写真をスマホで見せた。


「そうそう、顔色悪くてね〜。珍しいお客だから覚えてるよ。」


と運転手は、答えた。わたしは、当たりだと思った。やっぱり明宏は樹海に向かったんだ。でも、何で?まさか!


「富士の樹海といったら自殺の、」


「知ってます!それ以上言わないで!」


とわたしは、 叫んだ。


「まぁまぁ、お嬢ちゃん落ち着いて、顔をこれで拭いて。」


と運転手はウェットティッシュを渡してくれた。


わたしの顔中血だらけだった。手には包丁を握っていた。


「長い旅路だ。話し聞くよ。」


わたしは、運転手に今までの事を話した。


「そうか、少年の事が大好きなんだな。」


不思議と、この運転手には何でも話せた。そのはずだ。運転手は、零士の父親だった。


「お嬢ちゃん、零士をありがとうな。」


と言ってタクシーのドアを開けた。


「ここから少年は森に入って行ったぜ!」


いつの間にか富士の樹海に着いていた。


「金は、いらん。」


と零士の父親はわたしからのお金を受け取らなかった。わたしは、タクシーを降りてありがとうございますと頭を下げて暗い闇の中に入り込んだ。


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