明宏
明宏とわたしは、樹海でセックスをした。
一年前。
わたしが、中学三年生の夏休み前に十勝明宏は転校して来た。少し陰のある印象だった。夏休みに入るとわたしは、強制的に塾に通わされた。高校なんてどこでも良いと思っていた。制服が可愛いところが良いと考えてたぐらいだ。塾の隣の席にはなんと明宏が座っていた。
「十勝君?」
とわたしは勇気を出して声をかけた。明宏は、ん?っといった表情をしてわたしを見た。
「俺の事、知ってるの?」
と優しい声で明宏はわたしの顔を見て聞いてきた。
「うん、わたし今井奈美。十勝君と同じクラス。」
「あぁ、転校して来てすぐに夏休み入ったから分からなかった。ごめん。」
明宏は、礼儀正しくて優しい話し方をする。今まで会って来た男子とは違った。わたし達は塾が終わると自然と話が合って図書館に一緒に行った。そこで明宏が北海道から引っ越して来た事、彼女がいた事などをわたしは聞いた。
「彼女とは?どうなったの?」
「自然消滅だね。北海道と神奈川は遠すぎる。」
わたしの質問にふわりと明宏は答えた。その言葉に悲壮感は無かった。
「今井さんは、彼氏いるの?」
と明宏にわたしは聞かれた。
「いないよ。今まで彼氏いた事ないよ。」
とわたしは恥ずかしげも無く答えた。
少し意外といったような顔をして明宏はふーんと呟いた。