【日常】私達フェチ友!
デパートで買い物すると、いつも我慢できなくなる。
フードコートの席に着くと、食事より先に買ったばかりのブーツを取り出して、
おもむろに顔を突っ込んだ。
そして嗅ぐ。新品の靴の香り。
スー……ハー……、クンカクンカ。
はわぁ……幸せ。
「やっぱりブーツは鮮度が命だねぇ……」
「魚か。ったく、マナは相変わらず変態ね」
「いやいや、サキちゃんには負けますよ〜」
「なんでよ! てかそれよりさっさとお昼食べちゃいなよ」
気づけば空のトレー越しにサキちゃんがジト目を向けていた。
いけないいけない。思ったより時間が経ってたみたいだ。
私も自分のハンバーガーを手にとって頬張る。
ムシャ、ムシャ。
「そういえばさっき――」
「食事中は静かに」
「アッハイ」
なんか怒られた。
あれ? でもサキちゃんだって喋ってたような。
ムシャ、ムシャ、……コクン。
「〜〜〜〜っ!!」
「……ねぇ、サキちゃん」
「もうっ、食事中は静かにって」
「聴いてたでしょ? 私の咀嚼音」
ギクリ、と露骨に反応するサキちゃん。
「は? はぁ~? 聴いてないし? 咀嚼音とか知らないし?!」
「男子小学生の否定じゃん。肯定と同義だよそれ」
うん、やっぱ私の見込みに狂いはない。
サキちゃんも立派な変態だね!
【お題:デパート、ブーツ、嗅ぐ テーマ:××フェチ 文字数:500文字】




