【ローファンタジー】現代に身を隠す魔道士界隈
「皆の者、コレを見るのじゃ」
長老が開いた一冊の古本。
そこに描かれた紋様に、集まった魔道士達は一斉にどよめいた。
「な、何ですかこの刻印は!?」
「あり得ません! 正方形だけで描いた魔法陣なんて!」
「これを描いた術者は何者ですか?!」
「分からぬ。じゃが」
長老は険しい表情で語る。
「ワシには感じるぞ。この刻印の奥には膨大な情報が封印されておる。まさに全知に匹敵する程の、のぅ」
「では早速解術を」
「無理じゃ。ワシにも解き方が分からぬ」
長老が静かに首を振り、魔道士達が動揺する。
って……え?
「長老でさえお手上げなんて!」
「なんて強力な魔法なんだ……!」
「は? え? 皆さん本気で言ってます?」
ギャグかと思って黙ってたけど、さすがに口を挟んでしまった。
案の定、魔道士達がギロリと私を睨む。
「小娘が。貴様に何がわかる!」
「何って、コレの読み方ですけど。ほら」
私はスマホをかざし、本の情報を画面に表示する。
おいしいポトフの作り方、だってさ。
「なん、だと……!」
「待て! 何だその板のような魔道具は!?」
「このワシが……小娘に負ける、とは……」
QRコードも知らんのか、このジジイ共。
魔道士界のジェネレーションギャップ、エグ過ぎ。
【お題:特になし テーマ:現代技術を知らない魔道士達 文字数:500文字】