【ダーク】天罰の弾 ※残酷な描写あり
深夜の雪山に銃声が鳴り響く。
暗闇の中、村を飲み込む炎が血痕残る雪景色を赤く照らしていた。
「ハハッ! バ〜カがぁ、捕まるワケねぇだろ!」
最後の追手が倒れると、男は銃を掲げてゲラゲラと嗤った。
財宝を強奪し、村民は皆殺しにした。
もはや男がこの村に留まる理由はない。
「さぁて、次はどこの集落を襲うかねぇ、……ん?」
と、そこで男の足がふと止まった。
一羽のフクロウが木の上から見下ろしている。
迫りくる炎から逃げようともせず、金色の双眸でジッ……と男を見つめていて。
「……何見てんだよ?」
フクロウは動かない。
男はなぜか意識を反らすことができなかった。
自分の悪事を見透かされている気がして、苛立ちを隠せない。
「どっかいけ! 撃ち殺されてぇか!」
そのとき、遠くで発砲音が響き、男の胸から血飛沫が舞った。
「……は!? バカ、な……」
一体どこから撃たれたのか。
考える間もなく、男は血溜まりの中に崩れ落ちる。
その村は代々フクロウを守り神として祀っていた。
だが、信仰を続ける村民はもういない。
消えゆく村を見つめながら、フクロウは悲しげに一声鳴くと、闇夜の中に飛び去っていく。
この地に金色の目のフクロウが現れることは、二度となかった。
【お題:闇、フクロウ テーマ:守り神による天誅 文字数:500字】