【コメディー】冷蔵庫の奥の骨董品
今日、我が家の冷蔵庫から骨董品が発掘された。
らっきょうとジャムの瓶が一つずつ。
開封した時期は不明。
賞味期限は印字がかすれて判読不能。
そして、これらが可食か否かをめぐり、うちの母と対立した。
「どっちも保存食だし大丈夫じゃない? 火を通せば大抵のものはいけるわよ」
「開封した時点で保存食としての資格は無効でしょ普通。てかどっちも過熱する食材じゃないじゃん」
「らっきょうは刻んで炒めものにできるし、ジャムは焼肉の漬けダレとかカレーの隠し味に使えるし」
「今は発揮しなくていいから、その高い料理スキル」
脳天気な母に思わずツッコミ。
「でもそんなに気になるなら、少し味見してみる?」
「あ、ちょっと!」
私の静止もよそに、何の躊躇もなく瓶の蓋を開ける母。
途端、強烈な刺激臭が鼻腔を襲う。
「うわ何この臭い! すっぱいんだけど!」
「らっきょうなんだしお酢の臭いはするでしょ。……あ、これジャムだった」
「ギルティだよ! 一刻も早く捨てなって!」
「大丈夫よ、火を通せば」
「その火に対する絶大な信頼は何!? 拝火教徒かアンタは!」
結局、私の強行により二つの瓶は破棄となった。
あと私が料理を手伝う頻度も増えた。もちろん監視の意味も込みで。
【お題:らっきょう、ジャム テーマ:期限切れ食材の加熱信仰 文字数:500字】




