【日常】年越し一週間前、とある平日
午前6時、起床するや手早く身支度を済ませ、電車に乗る。
乗り換えを二回経て出社。
年末の一週間前でも俺の日常は何一つ変わらない。
「はよっす」
「ぉざまーす。先輩、今日って平日っすよね?」
「は? 何だ急に?」
デスクに着いて早々、隣の席の後輩が謎の質問を投げてきた。
「曜日感覚バグったか? 俺が言うのもなんだが、休日出勤もほどほどにな」
「つまり先輩的には今日は平日です?」
「まあ祝日ではねぇよな」
「ですよね! よかった、オレだけじゃなくて」
「何が?」
「今日という日の脇役が、っす」
意味が分からんぞ。
だが、後輩の言葉はなぜか俺の頭に残り続けた。
その後淡々と仕事をこなし、いつもの如く残業してから帰宅。
夕飯を食って風呂に入って就寝。
そういや帰りの電車、妙に男女の二人組が多かったな。
それに何か忘れているような。
まあいいか。正月まであと一週間。
布団の中でスマホをぼんやり眺め、
…………ん? 正月一週間前って、
「今日クリスマスじゃねーか!!」
跳ね起きて叫ぶ。
平日すぎて全く気づかなかったぞおい!
「ああクソ! だから夜になってカップルが大量発生したのか! 爆ぜろリア充共!」
思い出さない方が幸せなことってあるんだなと、俺は痛感した。
【お題:クリスマス、脇役 テーマ:クリスマスは平日 文字数:500字】