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22.密告

カナトはネラとヘレンに鍛冶師から聞いた情報を共有した。

鍛冶ギルドの背後に潜む陰謀を知り、明日にはこの街を出発しようと決める。


しかし、明け方、異変に気がついた。

鍛冶場の外に重厚な鎧をまとった騎士団が集結していたのだ。


「まずい、誰かが密告したな……」


カナトがそう呟くと、騎士団が鍛冶場の門を強引に開け放った。弟子の一人が密告したことで、情報を与えた鍛冶師が拘束され、さらにはカナトたちも秘密を知ったとして捕らえようとしている。


「逃げるぞ!」


カナトたちはすぐさま鍛冶場を飛び出した。

しかし、街の至るところに配置されていた騎士たちが逃げ道をふさいでいた。

絶望的な状況の中、カナトは囚われた鍛冶師の姿を目にする。


「くそっ……見捨てられるかよ!」


カナトは単身で騎士団に飛び込んだ。彼の剣が唸りを上げ、鍛冶王国の騎士たちを斬り伏せていく。しかし、その瞬間、圧倒的な存在感を放つ男が前に立ちはだかった。


「お前がやつの弟、カナトか……この場は収めさせてもらうぞ」


S級冒険者、「鉄壁」のディシド。その異名の通り、彼は巨大な盾と大剣を携えた騎士だった。

カナトはすぐさま構えを取り、鉄面のゲイルとの戦いで習得した技を繰り出す。


剣の重心を先端へと移動させ、爆発的な加速力を生む一撃——それを、ディシドは微動だにせずに受け止めた。


「なっ……!」


カナトの攻撃を盾で完全に防ぎきると、ディシドは一瞬で間合いを詰める。その巨体とは裏腹に、異常な跳躍力を持っていた。


「悪くない技だが……甘いな」


次の瞬間、大剣の柄がカナトの側頭部を打ち抜いた。

意識が遠のいていく中、カナトはディシドの圧倒的な力を思い知る。


騒ぎの隙に隠れたネラとヘレンは地面に倒れ込むカナトを見つめながら何もできなかった。



「騎士団も……鍛冶ギルドの手足となっているのか……」


ネラが呟く。その言葉が、ただ寒空に虚しく響いた——。

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