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99/100

死神の炎を散らし

 最近スランプ気味で物語の構成に若干靄がかかってます。原因としては話の進行が遅いことと、新作の方に力を注いでいるからかもしれないです。ゴメンナサイ

「よし、倒せた!」

 ミユが敵のいない空間で1人、そう叫ぶ。

「そうだ、さっき「避けろ」と叫んだが、別にパーティーの仲間であればダメージは受けないはずだが……何か意味があるのか?」

「あっ、そうそう。説明しておかないとですね。今私の使ってる[死神]のスキルで発生した炎……これですね。」

 カトリーの質問にミユは丁寧に答える。鎌を振って炎を出しわかりやすく「触れれば死ぬ」ということを説明している。

「───ということです。」

「避けておいてよかったな……」

「あと、このスキル時間制限もあるので、折角使ったならということで走りましょう!」

 カトリーがホッとしたように話したが、そんなことも束の間、すぐに走り始めることになった。

「あっ、私AGI低いので下準備だけ……[ハイスピード]!」

 マリーがAGIが低いからとバフをかけ始める。それだと差が縮まることは無いと思ったが、どうやらこのバフは俺達にかけたわけではなく……

「[一極集中]!」

 多くのパーティーメンバーにかけたバフを自分に還元するためだったようだ。


「さぁ、行きますか!」

 マリーがそう言葉を発すると一瞬にして消えていった。AGI低いって言ったくせにバフ集めた瞬間にあそこまで速くなるのは以上だろ……

「やっべ!追いかけねぇと!」

 鶏むね肉がそう叫ぶことでハッとなり、慌てて全員が走り出す。てっきりミユについて行くものだと思っていた上、ミユも先導する側だと思っていたのでマリーの突然の行動に慌て始めている。

 マリーを追いかけるように全員が走っているが、マリーは走りながら[ソナー]のような探知スキルでも使っているのか、案外すぐに敵キャラに遭遇することが出来た。だが、今の時間は作業と化しているようで、

「えい」

 ミユが走りながら通り魔みたいに鎌を当てるだけで溶けるように……というか灰になって敵がどんどん死んでいく。それに加え一部の敵に当たらなくても鎌に当たってしまったプレイヤーに触れてしまえば炎が燃え移り被害が拡大するのだ。

 たとえ見えなくとも、少しずつ増えていく経験値を見ているとだんだんと「可哀想」という気持ちが失せていき、もう他のプレイヤーが経験値の塊としか認識できなくなってしまった。

「あっ、いいこと考えた」

 そんな光景を走りながら見ていると、本当にプレイヤーを経験値の塊として考え始め、経験値をいかに効率よくとれるかという考え方に至ってしまった結果、1つの案が浮かんだ。


「ちょっと皆さん止まってください。」

 森の近くで全員を止めるように促し、早速試したいことを試してみる。

「ミユさん、この炎って武器とか障害物とかで燃えたりしますか?」

「え、うん燃え広がるからそうだけども……」

「じゃあ、ちょっと検証開始。」

 俺はそう言い、木から枝を折り、長めの棒を手に入れる。

「先っちょに火を点けてください。」

「こう?」

 ミユは俺に言われるがまま、手持ち花火の火を別の手持ち花火に移すかのように鎌の先で点いている火を木の棒の先に近づける。ゆっくりと棒の先から火が燃え始め、青い光を放つ松明のようになっている。

「じゃあ、これを一回地面に刺しますね。」

 俺は放った言葉通りの行動をし、火が地面を焦がすくらいまで時間を計りながら待つことにする。


                      +++


「5分32秒くらいか。人に燃え移るのは早いのに、不思議な火だな。」

「……それで、その火をどうするんですか?先輩。」

 待っている間、カトリーやマリーから質問が来たが、「できてからのお楽しみ」と一旦返答をやめていた。

 説明を始めるように再度長めの棒を手に取り地面で燃え続けている火をもらい、棒の先に火を点ける。

「この火は、人には素早く燃え移りますが、こんな感じの物体には燃え広がりにくいです。それに、さっき走っている時に大体分かったんですが、この火は普通のとは違い、振っても消えないです。だから、激しい衝撃を食らっても消えないので、これを持って走り回れば……」

 説明していると、だんだんと実行に移したくなってしまい、体がうずうずし始めてきた。

「……先輩、まさか、その火を人に当てて燃やすんですか……?」

「え、だってミユさんだって同じようなことをやっているし、みんなも走ってるよりかは絶対楽しいでしょ。」

「そうだけども……!」

「まぁ、面白そうですし、やってみましょうか!」

 鶏むね肉と時給三銭が必死に抵抗したが、マリーの言葉に促されるように同意した。

 そんなに俺の提案が嫌なの……?


 全員が木の枝を折り、棒を手に持つ。一応棒が燃え尽きた時用に同じような棒をもう一本インベントリにしまい込んでおく。棒の先に青い火を点けると、移動速度を上げるバフをマリーがかけてくれた。

「[ロークイック]!」

 炎に巻き込まれるような事故防止のためなのか、速すぎて敵を視認できなくなるような現象を危惧したのか、バフの効果はそれほど大きくはないが、自身のステータスのAGIが高いので上昇率は大きい。

 炎を掲げながら聖火リレーをするかのように走り回り敵を探す。

 暫くの間、平地を自由に走り回っていたが、それだけじゃ敵は見つからない。それに経験値も増えていないので誰も見つけていないのだろう。

 そのため敵を見つけられるようマリーがスキルを使用したようで、近くにいる敵の位置を強調表示してくれた。

「ありがたいね!」

 視界の中に入った丘の裏側にいる強調表示されたプレイヤーを狙って走る。丘の頂上まで登ると、直接プレイヤー数人を視界に捉えた。だが、それと同時に目の前のプレイヤーも俺のことを察知して戦闘態勢に入る。

「かかって来いやー!!!」

 叫びながら走って丘を下る。プレイヤー3人は槍、大斧、大槌を構え丘を登り、距離を詰める。

 3人の射程に入ると、大斧が振られる。それを軽く跳躍することで躱し、首元に火を当てる。ジュッと音を立てた途端、青い火が首を中心に燃え広がる。

「なんだこれ!?!?」

 燃え広がった体を見てプレイヤーは暴れるように体を乱暴に動かす。パニック状態になったことで周りが見えなくなったのか、もう2人のプレイヤーに腕が当たってしまう。

「俺にも移ったぞ!」

「どうなってるんだ!?」

 2人も同様に火が移り、暴れ回るが、必死の抵抗も(むな)しく、HPが0になり倒れてしまったのだった。

「……楽しいなこれ。」

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