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決着はつくけども

 評価ポイントついに1000に到達しました!!パチパチパチ!!

 次の目標は2500ポイント目指します!!

 これからも執筆活動頑張っていきますので、応援お願いします!!

 お互いが姿を消すような速さで距離を詰めて攻撃する。

 俺はカーズの腹部目掛けて突きを繰り出す。カーズは防御のためなのか、同じように斧を前に突き出すことで突きの軌道を逸らす。槍は右方向へ弾かれ、カーズはその軌道に合わせるように斧を後ろへと動かすと大きく斧を振る。弾かれた槍を引っ張るように手元に近づけ、足を軽く引いて衝撃を受け止めるように防御する。

 防御を崩そうとカーズは振った斧を槍から離し、再度斧を振って槍に当てる。緩急ある攻撃によろけた俺を見てカーズは振り下ろした斧の刃の向きを変えて大きく振り上げた後、左上からも斧を振り下ろす。

 下から振られる斧を槍を縦に向け、これ以上責められないよう、斧を流す。その後、連撃のように振り下ろされた斧を右に避け、反撃に突きを入れようとしたが、突きが届くより前に、カーズが振り下ろした斧をすぐさま横方向に振ってくるので反撃する間もなく防御に徹するしかなかった。それでも高い威力を殺しきることが出来ず、足が地面と擦れて音を立てながら動いてしまう。

 カーズが大きく跳躍し、空から斧を振り下ろす。

「オラアッ!!!」

 頭上から振り下ろされた斧を避ける。地面にヒビを入れて大きな音を立てるほどの威力があり、防御していてもかなりの衝撃が体に伝わると思うと少しゾッとした。

 先に斧が振り下ろされたことで、カーズはまだ浮いている。着地させないよう、足が着きそうなタイミングに合わせて槍を振る。コッと小さな音が立ち、カーズの足も若干ずれたが、カーズは最初から着地する気がなかったのか、支えとして使っている地面に刺さった斧を地を裂くように強引に縦に振り、俺を狙うように縦に一回転しながら攻撃してきた。

 2歩分下がり槍を引く。目の前に斧の刃が着たタイミングに合わせて……全力で突く!


 その攻撃でカーズは回転が少し乱れ、体勢を崩す。チャンスと思い3発突きを食らわせる。表情は見えないが、慌てるかのように逆さまな体勢のまま斧を小さく振って突きを止める。

「シャラッ!!」

 カーズはその状態のまま斧を横に振って追撃を阻止する。だが、さっきの跳躍が少し大きかったこともあり姿勢を低くし、スライディングすることでその攻撃を回避する。

 カーズは回転するように攻撃したことで俺に一瞬、背中を向けてしまった。そのタイミングに合わせてしゃがんだ状態から立ち上がるように背中に突きを食らわせる。グサリと刺さった背中から赤いエフェクトが漏れ出てくる。カーズは斧を器用に振ることで槍の持ち手に当て、槍を傾けさせることで傷口から槍を抜く。斧を当てたことで自分の体を持ち上げられたのか、俺から距離を離すように移動し、空中で体勢を立て直す。


「ハァ……ハァ……」

 カーズは体力が減って来たのか、それとも活発に動きすぎたせいで疲れたのか、息を切らし、肩を動かして呼吸している。まぁ、俺なんて2時間くらい休憩できてたし、みんなも疲れる頃なんだろう。

「来ないのか?」

 カーズが前みたいに積極的に攻めてこないので挑発するようにそう話しかける。

「ハァ……ダァッ!行けばいいんだろッ!」

 息を切らしながら、一度疲れを吹き飛ばすかのように大きく声を上げて、そう答えた。同時に俺の元へ詰めてくる。

 斧を振り上げ、2回連続で上から斧を振り下ろす。右から、左からと順に斧を横に振ると、さらに距離を詰め左斜め下から刈り上げるように斧を振る。だがその攻撃はどれもさっきより速さが感じられない。それどころか、防御するときさっきほどの威力を感じられない。

「どうした?まさかもう燃え尽きたとは言わせないぞ?」

「チッ!!うるせぇ!」

 スキルの効果でも切れてデバフがかかったのか、そう匂わせるような発言をすると、予想が合っていたのか、その話題に触れたくないかのように怒り気味に返答が帰り、同時に斧が大きく振られた。

「なら、こちらから攻めていくぞ!」

 カーズが斧を振った時も、息を切らしていたのか、振った後一瞬だけ斧が止まる。その隙を狙っていつもより多めに突きを繰り出す。


「グッ……!!」

 最初はカーズも猛攻に食らいつき、持ち手でも突きを防げるほどの素早く正確な斧捌きだったが、だんだんとその精度が落ち、斧を動かす手が鈍くなっていく。そのため、斧の防御が間に合わず、斧の持ち手に掠って体に刃の先が刺さったことを起点に、段々と突きが通って行ってしまう。

 10回ほど突きが直撃した辺りで攻撃をやめ直立する。カーズは腕をだらんと垂らし、膝をつき正座するようにその場で止まっているピクリとも動かない。それに、血のエフェクトを纏うかのように体中から赤いエフェクトが大量に漏れている。

 俺よりSTRとAGIが高いはずなのに、HPとDEFも高い。スキルも使っている以上、TPがそれなりにあるはずなので、少し不思議だ。

「ハァ……。俺の負けだな……。」

 カーズは最後の力を振り絞るように大きくため息を吐いてそう話す。だが、それは最後の力じゃなかったらしく、

「だが!!!次は勝アアァァァァつ!!!!」

 本当に最後の力を振り絞り、頭を上に向け空にその声を響かせる。そのまま「DEAD」の表示を出して死んでしまったが、その堂々とした生き様が示されるかのように死ぬ直前の状態で死体として残っている。


「さて……と。[解除]」

 [愚者の矜持(フール・プライド)]を解除し、デバフをなるべく早く無くせるようにする。ただ、[愚者の矜持(フール・プライド)]の回復効果は大きく、HPが全快になっている上、傷口もまるで最初から無かったかのようにきれいになっている。ついでに[イネイシァル]を[クルセイア]に持ち替え、NPCの状態をデフォルトにしておく。

 あとはキルするべき人数が43人なので、1人当たりにかけられる時間を計算するために残り時間を確認すると、あと22分……

 1キル辺り30秒……流れ作業レベルでキルできないと達成できないじゃん……


 今までキルした相手は流れ作業でキルできる相手こそいるものの、5人に1人くらいはしぶとく生き残る。そうなれば1キル辺りの時間も減っていくし、そのタイミングで点滅なんてすれば増援が来ること間違いなし。それに、デバフが残っている中、視界が狭まっているのでそう言ったプレイヤーを見つけることも困難になっている。

 そう考えるとカーズ……それとあの羽の生えた男……結構苦戦したな。そのせいでデバフが伸びたじゃん!


 そう言えばカーズたちとの戦闘中も点滅していたはずなんだけど、なんで誰も集まらなかったんだろ?カーズが怖いとかなのかな?


                      +++


 少し時が遡る。


 NPCである[スピア]を追うために僕たちは数十人の同盟を組み、マップに表示される場所へと向かった。

「次はきっとここら辺に出るはずだ!」

 イベント時間の残り42分。2分後に点滅するタイミングを見た後、NPCの方向へ行き包囲殲滅する作戦なのだ。

 残り30秒。点滅するというタイミングで全員がマップを注視している。

 残り10秒。その時、誰かの叫ぶ声が聞こえる。

───陸裂(りくざ)き]ァ!!」

 横方向から聞こえたスキル名と共に木をバタバタと薙ぎ倒すように飛んでくる斬撃。幸い、木を伐る音が大きかったおかげでデスした人はいなかった。だが、それと同時に驚愕の事実が知らされる。

 なんとその場にNPCがいるのだ。

「い、行くぞ!!」

『オォ!!』

 全員でその場へ向かう。

 誰と戦っているかが気になるので全員が開けた場所の手前の茂みに身を潜め、観戦する。

 そこには、NPCと、サーバーで1位を取っている[カーズ]がいるのだ。お互いが素早く武器を振るい、お互いが何か禍々しいエフェクトまで纏っている。

「あのー……こんなんじゃ突っ込んでもエサになるだけじゃないですか……?」

「そ、そうだな。撤退!!」

 そんな会話がすぐ近くで聞こえ、みんなが帰っていくのだった。

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