あの時ついていなかった決着を
本日、10万PV達成しました!!この作品の投稿を始めて約半年、皆さんのおかげで達成できました。次は20万PVを目標に、今後も執筆活動を頑張っていきますので、応援お願いします!!
上空から降り、槍で素早く突く。盾で流されたが、突きと同時にもう片方の腕を伸ばしていたので、盾を掴んで盾の下に入り込む。蹴りを入れて盾を持ったプレイヤーを吹き飛ばし、槍を一蹴させるように横に振る。2人のプレイヤーの距離を離し、先に小さめの斧を持ったプレイヤーを攻撃する。
距離を詰めるとプレイヤーは迎撃しようと斧を振り下ろす。槍を斜めに持って攻撃を流し、刃を振り下ろし腕を斬る。大きく裂けた腕は体と離れ離れになってはいないものの力が入らないのか、突きを放った時に、斧で弾かれたが、プレイヤーが衝撃に負けたかのようによろけて武器を手放してしまっていた。
「ハアアアッ!!」
後ろから双剣を持ったプレイヤーが援護に向かってきたので、後ろを向き攻撃を避ける。
右上から振り下ろされたプレイヤーの左手に持っている短剣を槍で右に弾く。左横からプレイヤーの右手に持っている短剣が振られたので姿勢を低くして回避し、槍の持ち手の端で上に突く。弾かれた右手に力を入れるように短剣を逆手に握りなおし左手も同様に持ち直して同時に振り下ろす。槍の持ち手部分で両方の攻撃を止め、立ち上がりながら押し返す。プレイヤーは両手を胸の前に引っ込め、横方向に腕を広げ斬りつける。槍を縦に持ち攻撃を止めると、音を立てながら武器の動きが止まる。
その間に斧が拾われてしまい、後ろから斧が振り下ろされる。右に一歩、小さく動き斧を避けると、双剣を持ったプレイヤーが槍から双剣を放し、蹴りを入れてくる。同時に、斧が逆方向から振られ挟み撃ちの状態になってしまう。
大きく跳躍してギリギリで回避すると、着地しながら突きを何度も放つ。着地際に盾を持ったプレイヤーが距離を詰め、盾で攻撃しようと、着地点で構えている。槍の端で盾を突き、2人のプレイヤーとの距離を詰めに、盾を持ったプレイヤーから離れようとする。それに気付いたのか、盾を構えるのをやめ体で槍の攻撃を受ける。飛ぶことはできなかったが、少しはダメージを与え、大きく吹き飛ばすことが出来た。
「貴様が望むのなら!」
盾を持ったプレイヤーとの距離を詰め、槍を突き刺そうと構える。プレイヤーは、慌てて盾を構えるが、俺は盾を掴み無理矢理盾を引き剝がす。プレイヤーもそうさせまいと手に力を籠め、抵抗はしたが少し開いたことで槍を刺し込む隙間はできた。そこに槍をねじ込むと、痛みが走ったのか、盾を押さえる力が弱まる。
2人のプレイヤーが距離を詰めてきたので、迎撃しようと槍を構えると、突然姿勢を崩してしまう。振り向くと、プレイヤーが盾を振って足を払い、転ばせたようだ。
「今だ!!やれーーッ!!!」
「「オオオオ!!!」」
「チッ![狂乱の宴]!」
少しピンチに感じたのでスキルを発動し、3人との距離を離す。
「行くぞ!俺たち3人で!」
「ああ!」「オオ!!」
3人はやる気に満ちているが、案外時間がかかってしまい、今はそんな真っ向勝負している暇はない。
一度退却し姿をくらます。
「あっ!逃げられた!」
「追うぞ!!」
茂みの多い場所に向けて走り、一度隠れる。3人は夢中になって追っているが、最初の事を忘れたとは言わせない。思い出させるようにまた背後から槍を突く。最も援護しやすいであろう双剣を持ったプレイヤーを第一に狙い、キルする。盾を持ったプレイヤーがそのことに真っ先に反応し、盾を構えながら突進するが、双剣を持ったプレイヤーは既に「DEAD」の表示を出している。大きく跳躍し、上空へ上がり、姿をくらます。[狂乱の宴]の効果で残った2人は赤く表示されているので木の葉越しでもはっきりと見える。
頭上から落下を始め盾を持ったプレイヤーを頭上から突き刺す。周りを見渡すように動いていたので、頭部に命中することなく、肩に深々と刺さったが、俺は槍を支えに落下しながら両足で腹部を蹴り追撃を入れる。まだ生きているが、動きがかなり鈍くなっている。
その間に斧を持ったプレイヤーを処理する。さっきからそれほど時間が経っていない筈なので腕の傷はそこまで癒えていないと思う。思いっきり槍を横に振り斧に当てる。[狂乱の宴]でSTRが上がっていることも影響しているのか、一瞬で斧が弾かれ、飛んでいった。
「終わりだな。」
首元を突き、キルする。残った盾を持ったプレイヤーも同様に首元を刺しキルする。
ここまでの時間で8分ほどかかってしまった。マップ上で俺のいる位置が点滅し場所が全員に通達される。スキルを解除し、走ってその場を後にするのだった。
+++
しばらく走っている間も、何人かを出会い頭にキルしたが残り47人で200人達成。つまりさっき数え始めてからさっきの集団を含めて8人しかキルできていない。残り時間も1時間と少しという中、かなりペースとしては良くない。それにたった今、よくないプレイヤーを見てしまった。こいつと戦闘なんて始めたらキル数を稼ぐことはおろか、普通に負けてこのままイベントが終わってしまう可能性だってありうる。そのプレイヤーは、カーズだ。あの時22:00になったから逃げられたものの、[狂乱の宴]の効果を加えても尚状況は拮抗するどころかだんだんと俺の方が劣勢に立たされるほどだ。
物音を立てないよう、迂回する形で逃げようと走り始めるが、その時、丁度タイマーが1時間を切り、位置が通達されてしまう。
「スピアアアアアアアッッッ!!!いるんだろ!!!俺と!戦ええぇえええぇぇえ!!!!」
喉を嗄らしながら空気をビリビリと震わせ、大声で叫ぶ。慌てて全力疾走して逃走を図るが、カーズにはその姿が見えてしまったようで、大きく腕を振りながらこちらへ走ってくる。
ヒィィッ!!来ないでよーーーッ!!
心の中で叫んで、涙を流す。無表情を貫いてはいるが、かなり限界が近い気がする。もういっそのことログアウトしたいくらいだ。
だってあれだよ?全身真っ黒で顔が見えない大柄なやつが全速力で低い声で叫びながら追いかけてくるんだよ?全速力で走って逃げても普通に追いつくんだよ?恐怖以外に何があるの?
俺はカーズから逃げるため大きく跳躍し空を飛んでカーズが行けない道を通ろうとする。
大きく跳躍し、槍に足をかけさらに飛んだ。だが、カーズは今いる地点まで一回の跳躍で追いついた。多分だけど、今の高さは15メートルくらいある。どんだけ化け物なんだよ。
空中で振り向き、槍を振り下ろすが、普通に斧で弾かれる。それにカーズも負けじと空中で武器を振る。ブオンと空を切る音が目の前で響き、風が吹く感覚が肌に伝わる。
さらに高く逃げようと槍に足をかけ上空へと逃げるが、カーズはスキルを使ってさらに追いついてきた。
「[空中跳躍]!!」
俺みたいに武器を使っているわけではなく、足場を出現させ大きく跳躍しているので、さっきと同じくらい───だいたい15メートルくらいの高さを一回の跳躍でさらに追いついてきた。
それに上空に逃げたことで障害物がないので、速く反応されたので、跳躍で追いつかれてしまった。
目の前で斧を横に振られ、槍で防ぐが、空中だから踏ん張るような場所がない。カーズが振った斧の力に乗せられ、遠くへと吹き飛ばされてしまう。
空中で体を捻って回転し、体勢を立て直したところで、槍を踏んで飛び、カーズから離れる。
「あっ!!テメェ!!逃げんな!!」
カーズに大声で叫ばれる。
「悪いな。今はそれどころじゃないんだ!」
できるだけ小さな声で話すが、カーズにははっきりと聞こえるくらいの声量で話し、森の中に自ら落下し、彼から逃げる。
全速力で走って逃げてはいるが、かなり遠くに黒い人影が見える。諦める気配は……なさそうだな……。




