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予期せぬイベント

 1個目の拠点のオーブを破壊したはいいが、誰もキルしていないため10人ほど残っている。槍の先にもまだプレイヤーがしがみついているし。

「離れてくれないか?」

 俺は槍の先にいるプレイヤーを寄せた後、足を乗せて力いっぱいに槍を引っ張り、無理矢理プレイヤーから放す。

 コルクを飛ばした後、大量に噴き出すシャンパンのように赤いエフェクトが溢れる。

「てんめぇ!!」

 その姿を見て怒りに満ちたプレイヤーが真っ先に突撃してくる。それに合わせ、周囲にいるプレイヤーも魔法や飛び道具で援護を行う。

 消えていくプレイヤーの屍を咄嗟に掴み残っている判定を盾のように利用して飛び道具を防ぎ、飛びかかって剣を振り下ろしてくるプレイヤーを上段の蹴りで横に飛ばす。

 すぐに走り出し残っているプレイヤーを処理するため、一番近くにいたプレイヤーの右太腿、腹の中心、左胸を一直線に結ぶように深々と槍の刃を入れて攻撃する。援護しようと近接武器を持っているプレイヤーが後ろに集まるので、振り向きざまに7回突き、前列にいた2人を滅多刺しにする。

 その人影に隠れて視覚から攻撃しようと短剣を逆手に持ったプレイヤーが足の隙間を縫うように動いて武器を振り下ろしてきたが低すぎるので軽く跳躍し弧を描くように槍を振り背中を斬る。地面と逆さまな状態のままお構いなしに魔法や飛び道具は飛んでくるので、槍の持ち手部分で防いだり避けたりして対処する。


 その時、ハンマーを持った大柄なプレイヤーが空中にいる俺を落とそうと振り下ろしてくるが残念。無策で跳ぶわけないじゃん。

 地面に槍を突いてその反動で移動する。途中で体を大きく捻らせ反動を殺しその場に留まる。捻ることで回った体を駆使し槍を振って首を斬る。回った時についでで周囲を確認していたが攻撃してくるようなプレイヤーや魔法、飛び道具が見当たらなかったので、地面に手をつきバネの様に弾いて起き上がる。

 残っているプレイヤーは遠距離で攻撃してくる後衛と、戦意を無くしたプレイヤーだけ。

 ただ、さっき倒したプレイヤーが復活してしまう可能性もあるので出来るだけ早く戦闘を終わらせたい。

 すぐに走り出し後衛をキルしに行く。距離を詰められてしまい冷静でいられないのか、飛んでくる魔法や飛び道具は精度が悪く、走っているだけでも当たる気配はないが、もしものこともあるし一応警戒しておく。

 完全に距離を詰め、槍の射程内に入った時も、冷静でいられずに後衛のプレイヤーは叫んでしまっている。1人ずつ槍を振ったり突いたりして処理していき残るは戦意のないプレイヤーのみとなってしまった。


 戦う気がないのにキルしてしまうのは申し訳ない気がするけども、そもそもとしてこのゲームで優しさなんていらない。キル目的のゲームだもの。

「すまないが、目的である以上殺させてもらう。」

 一応謝っておけば許されると思うので謝罪した後に、全員をキルする。


 拠点に誰もいないのを確認した後、洞穴を通り外へ出る。

 今回の拠点襲撃だけで13もキル数を稼げた。時間も16分。キルペースとしては十分だろう。それにしても、拠点襲撃のメリットが大きい。洞穴の形状からして攻めにくいというのがデメリットかもしれないけど、別に1人で攻めるから特に問題ない。俺の中では普通に戦って大人数をほぼ確定でキルできるのだから、拠点なんてお宝箱同然だ。それにオーブを破壊できるからかなりイベントにも参加できる。

 何回か繰り返してグリードに怒られるまで続けよーっと。


                      +++


 はい、というわけで何回か拠点破壊を繰り返しました。1時間と24分かけて合計4つの拠点を襲撃しました。その内2つはオーブがなかったけども、プレイヤーはいたのでお構いなしにキルしてきました。

 最初の1つは、13人。次の拠点では29人。おいしかったです。その次の拠点は8人。少なかった……。で、最後は17人。合計で67人のキル。1時間に42人だから……1時間30分で63人キルすれば……おっ、ペースいいな!

 それにしても、この時間帯は普通に戦っているプレイヤーよりも逃げているプレイヤーの方が多い。キルできずに残機が無くなっていったとかなのかな?


 でも、それなりに時間が経って残り2時間と少し。キルできるギルドとできないギルドでどんどん差が開いちゃっていたから、キルがあまりできずポイントが少し低いギルドは無理にポイントを稼ぐより今あるポイントをキープした方がいいって考えたのかな?……そう考えると悪いことしちゃったと思うけど、まぁ、拠点が特定されるリスクを考えていない方が悪いよね!!


 ただ……今問題が発生。拠点を攻めすぎた影響なのか、逆転のチャンスとしてこうなってしまったのか、10分おきに俺の位置が通達されてマップで点滅されて表示されるイベント的なものが発生してしまった。一応時間制限を設けるみたいな感じで右上に「2:00:00」と、カウントダウンを示すデジタルタイマーが出てきた。もう俺に休憩の時間を作らせないように感じる時間の長さ。というかイベントの残り時間と同期しているならタイマーいらないだろ!!



 位置を特定されないよう走っているものの、脳裏に羽の生えたプレイヤーの姿がよぎっている。あいつなら点滅した一瞬で俺の位置に追いついて戦闘を始める可能性がある。右上のタイマーを注視しつつ、10分おきに攻撃しにくそうな木の近くに移動するが、普通に突撃できそうで怖い。さっき見た時もスキルを使って雷の網を破壊してたし。大木を折ることくらい造作もなさそうだからな……


 俺の点滅イベントが始まって3回目の点滅がきた。イベント開始のタイミングで1回なので、開始から20分経った頃だ。近くにいたプレイヤーに見つかってしまい追われている。走っている目線の先にいたので最初は近くにいて攻撃が届きそうにもなったが、俺のAGIの方が高かったのか、少しずつ距離を離せている。

 しかし、そのプレイヤーはもう追いつけないと思ったのか、花火を打ち上げてきた。そのせいで点滅関係なしに位置がバレてしまった。上手い人ならさっきの点滅位置と花火の位置から進行方向を理解していそうなので一度方向転換する。

 方向を変える分には問題ないのだが、最初点滅した場所に少し近づいてしまうので新たなプレイヤーに遭遇する可能性が高い。それに花火で位置がバレた後も、後数分すればお構いなしに点滅するのでさっきよりも短いスパンで位置がバレる。そうすればより多くの人に見つかりやすくなってしまう。そしてさっきと同じように何度も花火が打ち上げられる。余計に見つかりやすくなる。


 これ以上、負のループを繰り返すわけにもいかないけども、逃げてばっかりじゃ余計に敵が増えるし、点滅する事態はどうやっても防げない。それに、キル数も稼ぎたいし。

 多人数戦があまり得意でないグリードからの試練として受け取っておこう。

 ……とは言っても、結構な人数が集まるはずだから一斉にすべてのプレイヤーと対峙するより分散して戦いたいなぁ……

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