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ジョブチェンジしてアサシンになりました

 視点が回復しておらず、未だに黒い斑点が残っているが、まぁ隠れて奇襲するわけだし、大抵一撃で終わるから大丈夫だろう。それにそこまで戦闘に時間かけてないからすぐにこのデバフも治るだろうし。


 さてと……音を立てないようにゆっくりと移動。腰を低くして茂みから体からはみ出ないようにして武器は一応しまっておく。槍は棒状で長いから、横にすれば移動の邪魔だし、縦にしても茂みからヒョコっと出ているわけだから、簡単に見つかっちゃうからね。

 音を立てないようにしている分、隠密に行動するために音を消したり姿を消せるようなスキルを持っていないわけだから、カタツムリくらいの速さでゆっくりと移動しているわけだ。


 え?NPCらしくないって?知るか!そんなもん!!さっき連携でいい感じにプレイヤーをキルできてないからちょっとぐらい俺にもいい思い出をくれよ!

 まあ、それでもNPCらしくない変な行動を見られればなんか変な噂が流れそうだし、接敵するときは、奇襲だけども「実は後ろにいて気付けていませんでした」みたいな感じに認識させられれば……?

 いや、もういいや。後々問題が起こったらグリードに「そういう行動をするようにプログラムさせておきました」なんて言わせておけばいいか。

 じゃ、俺の尻拭いはグリード君、任せたよ!

 俺はそう心の中で思いながら、右手の親指を立ててグッジョブマークを作るのだった。


 さっきも言った通り、カタツムリみたいにゆっくりと移動しているわけだけども、別にプレイヤーを追いかけているわけではないので特に問題はない。最悪デバフが治ってから普通に行動しなおせばいいわけだし。いやでもちょっとこのまま奇襲するのもありかもな。

 でも、デバフが治るのを待ちながらゆっくり移動していても、プレイヤーは勝手にこちらへ向かってくる。俺に気付かずにね。

 数人で構成されたパーティーが談話しながら移動し、こちらの方へやってくる。ゆっくり移動していても音を完全に消せたわけではないので、一度移動するのをやめ、相手の動向を観察する。相手は3人組で全員剣を持っている。魔法も使えるタイプだから後衛がいないのかな?そう考えるのは後にして何か話していることだし、何か有益な情報が聞けるかもだし、聞いておこう。

「いやー、NPCに会ってる人がいるのいいなぁ……」

「ほんとね。NPCにキルされたアナウンスが流れているし、NPCがキルされたアナウンスも入っていないからどこかにいるはずなんだよねぇ……」

「早く会いたーい!!そしてみんなで倒して有名になりてぇ!」

「それは無理だろ!俺たちの戦力じゃせいぜいこの花火で同じくNPCを倒したい人たちを呼び集めて連携するくらいだ。」

「[NPCを見つけた人]みたいな称号貰えないかな~?」

「それはもう先客がいるから無理だなきっと!」

 1人の男が称号を欲しがっている少し背の小さい、元気な男の背中をバシバシと叩く。

「実はここに隠れていたりして!?」


 男の1人が茂みを指差してそんなことを言っていたので、サプライズに登場してあげることにした。デバフは治っていないけども、不意打ちくらいなら何とかなるでしょ。

「そんなわけないだろ!もし本当なら……」

 ツッコミとして男が笑いながら答えたが、そんな笑い声は一瞬にして消え、戦闘態勢へと移る。

「どうした?まさか本当に……」

 その姿を見て茂みを指差していた男も振り向くが、武器を抜いていない。

「サプラ~イズ」

 明るい声色で笑みを浮かべながらそう話す。武器を抜いていなかったせいで反応が遅れ、俺の振った槍が首元に当たってしまった。

 男が倒れたのを見て、残った2人組は慌てながら

「はっ、花火を点けろ!みんなに知らせるんだ!」

 着火した花火から離れ、招集しようとする。

「させねーよ!」

 筒に槍を押し込み、花火玉が空高く飛んで爆発するのを防ぐ。地上で爆発した花火は俺の体を多少焦がすように傷つけて大きな音を放ったことで、HPが2割程減り、[聴覚障害:中]のデバフを負ってしまった。要するに少しだけ音が聞こえない。

 常に視界にとらえていれば特に問題はないし、相手も逃げ回って俺を撒こうというのは考えていないのか、剣を抜いて構えている。

「花火は?」

「セットで少し時間がかかる!足止めするか、逃げながら戦って誰かに救助を頼むか!」

「バカ!全員が律儀に守るわけない!俺たちをキルした方がNPCをやるよりもポイントを稼ぎやすいんだからその考えはやめとけ!」

「分かった!じゃあ、足止め頼む![疾風(はやて)の祝福]!」

 花火をセットしなおしてもう一度呼ぼうとする男は、俺を足止めする男に何らかのバフをかけた。

「[帯電(たいでん)]。持って10秒くらい!頼んだぞ!」

「ああ、頑張ってくれ!」

 男は体と剣に電気を纏い、もう1人に足止めできる時間を話した後、俺の下へ突撃してくる。


「ハァッ!」

 剣を体の前に構えたまま走り、振りかぶらずに剣を振る。隙が少なく、狙って攻撃しても恐らく弾かれるだろう。それに、纏っている電気に触れて麻痺属性か何かの状態になってしまえば、一時的に身動きが取れなくなってしまう。

 キルには時間がかかるけども、足止めを避けて本命である花火を止めることはできる。

 それならばと、大きく後ろに下がり攻撃を避ける。そのまま花火をセットしようとする男の方へ向かおうとしたが、不運なことに、視界の黒い斑点とその男が重なってしまったのか、見えなくなってしまった。花火をセットするときってしゃがむから斑点にぴったり収まっちゃったかなー……

 斑点で見えなくなってしまった部分を見るように少しだけ跳躍しながら横に移動する。

 動いたことで男が見えるようになったけども、跳躍してしまったせいで急な方向転換が出来ない。跳んだ先にあった木の幹を蹴り、花火をセットしている男の背中を一突き。狙いもしっかりと定まり、足止めに入った男の刃も回避して一撃を加えることが出来た。

 胸を貫通した槍を抜き、後ろから走ってくる男が振る剣を躱し、懐に入り3回槍を刺して、2人はその場で倒れ込んでしまった。

 エフェクトが漏れ出し、花火をセットしていた男は「DEAD」の表示を出している。


 少し安堵したそのとき、俺はついうっかりして大事なことを忘れてしまっていた。

 ヒューンという音と同時に一閃の光が空を舞い、爆発音とともに赤い光が広がり空を照らす。

 花火を止め忘れたのだ。

「ハッ、せいぜい……頑張れよ……な」

 男がしてやったりという感じで最後の力を振り絞ってこちらを見てくる。そのまま「DEAD」の表示を出して動くことはなくなった。


 丁度そのタイミングで黒い斑点がドロッと溶け出すように視界外へ出ていきデバフが治る。[聴覚障害:中]のデバフも治った。武器をしまい体を伸ばす。


 逃げますか!!

 来週投稿できないかもしれません。活動報告に詳しい内容を書いておきます。

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