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暗闇を駆けまわる暗殺者のように

 俺はすぐに走り出す。目の前で槍を振る男と、双剣を振る女性の連携を崩すべく、突き出された槍を左手で掴み、引っ張って双剣を当てる。パーティー間でダメージを受けることはないのはイベントで最初に戦った時の上位勢たちによって検証済み。それでも攻撃の手を止めることはできる。

 右手に持っている槍を男の体を盾にしながら女性に突き出す。死角だったのか、弾くのがほんの少し遅れている。このまま攻撃を続けようと思ったが、男が抵抗して蹴りを入れようと体を動かし始めていたので、女性に向けて男を投げる。

 ユウトがカバーに入り、追撃を止めさせようとしたが、俺は力任せに槍を振ってそのカバーをこれ以上させないようにする。ユウトは避ける判断を選んだが、そのおかげで、武器を交えることなく、追撃に入ることが出来る。


 男は女性を巻き込み大きく後ろに飛んで行ったので、追いかけるが、ユウトも行かせまいと俺を追いかける。ただ、AGIに差があるせいで追いつくどころか、どんどん距離が離れていく。

 男と女性に突きを数度放つが、飛んでいる間に俺が距離を詰めているのが分かっていたのか、女性が男を踏み台として蹴って、こちらへ向かい双剣で攻撃を防ぐ。

 それならばとあえて大きく溜めて力の籠めた突きを放つ。女性は危機を察知して回避したが、瞬時に距離を詰めて頭を掴み、思いっきり押し込み地面にめり込ませる。

 土煙が舞って視界が奪われる中、強調表示される赤いオーラを頼りに突きを放つ。

 槍は女性の腹部を貫き、「DEAD」の表示を出す。土煙が舞っているせいで姿を確認できずにそのままエフェクトとして散っていった。


 槍を持った男は土煙が舞っている中、闇雲に突きを何度も放ち、索敵する。俺はそれならと、槍を地面に叩きつけ再度土煙を舞わせた後、その勢いのまま引きずるように槍を動かしてバットのように大きく振る。かなり力を入れて、遠心力やらなんやらの力でより大きな攻撃力を持った槍は、土煙に視界が奪われ不用意に動けず立ち止まっている男に直撃する。

 土煙がその衝撃を追うようにふわりと動き、周辺の土煙を飛ばす。

 槍を持った男は大きく飛ばされ、「DEAD」の表示も見えないまま視界の外へと出ていく。


「さて……お前にない負ける要素を俺がたっぷりと作ってやったが、受け取る気はないか?」

「ハッ、受け取りたくもないし、むしろお返ししてやるよ!!」

 ゆっくりと振り向き、ユウトに挑発したが、ユウトは乗っかり、剣を大きく振る。

 避ければ剣が追ってくるというのなら、真っ向から防いで動かさなければいい。そう思いながら上から振り下ろされる剣を槍で止める。

 ユウトはこうやって武器が交わった時に別方向から攻めるんじゃなくて、力を入れて対抗しようとする癖があるから、槍を少し傾けて力の方向をずらすと、すぐにこける。

 そう槍の右側を下にずらし、ユウトを右に動くよう誘導する。体勢を崩しこけそうになる彼だったが、追撃の可能性を考慮して、受け身を取るのではなく、剣を横に振って攻撃してきた。後ろに避けるか、吹っ飛んでくれれば確かに追撃はできなかったかもしれない。でも俺はあえて正面から剣を受け、止めたところでユウトの背中に足を乗せる。


「カハッ!!」

 衝撃が腹部に広がり、声を漏らすユウトが動かないよう足に体重をかけながら、ユウトの背中に乗っかる。

「さ、これでお前は負けだな。どうする?」

「ハァ……これで勝ったと思えるお前にうんざりするね。」

「何言ってるんだ?現にお前は負けているからそうやって地に這いつくばっているんだろ?」

「うるせぇ!![筋力強化][瞬発力][跳躍]!!」

 ユウトは怒るように複数のスキルを叫ぶ。STRを上げ、大きく跳躍するスキルを使用し俺を無理矢理背中から離して空中で立て直す。そしてその怒りのまま走って距離を詰め、剣を振る。


 右横、上、足元、左下、突き、振り上げ。続けざまに何度も剣が振られるが、連撃を考えない、STRに頼ったような大振り。振る位置を考えて攻撃しているかもしれないが、避けられてしまえば常に隙を晒しながらただ闇雲に剣を振っているようなもの。

 一手一手防ぐことなくゆっくりと体を動かして躱す。当たりそうになったら槍で流してあげればもっと隙を晒す。別に攻撃してもいいけど、もう少し楽しんでいたいしね。

「ラアアッ!!ハァッ!!」

 汗を飛ばして必死に剣を振るが、段々と肩を大きく動かして呼吸しているのが目に見えて分かるほどに疲れてきている。


 そろそろユウトが疲れて来て振っている剣も、彼自身が振っているというより、剣に振られていると感じてきた。

「無駄な足掻きだったな」

 そう言葉を吐き、ユウトが剣を振り切ったタイミングで素早く槍を振る。たくさんの傷がついた彼の体からはたくさんのエフェクトがあふれ出す。

 一度は倒れて「DEAD」の表示が出てくるが、すぐさま復活してまた剣を振りにやってくる。前も復活していたのを覚えていたからね。


 ただ、疲れはこのアバターを操作している本人に蓄積されているから、一瞬で復活する程度じゃ溜まっている疲れは取れない。同じように槍を振って傷をつけ、今度こそ確実にキルする。

 「DEAD」の表示が現れ、しばらく経っても復活しないのを確認して、[愚者の矜持(フール・プライド)]を解除する。

 デバフとして所々に黒い斑点模様が現れ、視界の一部を遮る。

 現在はイベント開始から2時間40分が経過。ちょっと散策の時間が長かったから動き始めてからは40分経っているけども、戦闘数はたったの2。デバフ解除は……9分後か。

 休むのもいいけど、もうちょっと戦闘したいな……

 でも動き回りすぎると、最初の時みたいに花火かなんかでまたプレイヤー集められると思うんだよなぁ……

 ルリ達の時は、「自分たちだけでやってみたい」っていう理由で回避して、チェーンソー使いとユウト達はそもそも花火で集まってくる人たちのグループに入っていなかったから大丈夫だったのだろうけど。


 それならちょっとだけコソコソして動き回るか。

 モチベ回復してきました。ただ、また再来週あたりで投稿できない日が続きそう(詳細は後日活動報告に書かせていただきます。)なので、またモチベ下がりそうです……


 というわけで、ページ下の評価お願いします!(突然)モチベがぐんと上がるので!

 また最近、文章の確認が甘い気がするので、誤字や脱字の方が多くなっているかもしれません。もしあればご報告お願いします!

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