噂が出来れば神の耳にだって入る
別作品が50,000文字超えたので投稿のやり方が変わりますが、この作品はしばらく影響しないと思います。詳しくは活動報告の方を見てください。
題:やばいNPCが出てきたんだが。
1.やばい
2.NPCがバグまみれとか?
3.2≫そんな生ぬるいものじゃなかった
4.俺も見たかも
5.St10のNPCだろ?
6.そんな魔境にNPCとか弱いのか?とか思ったけど3の発言を見るにそうじゃないとは思う。
7.たしか「バーサーク」ってギルドの5番目に強いやつがやられたんだっけ?
8.俺、被害者だわ
9.ワイバーサークのギルド入ってるけどあのギルド殆ど魔境にいるから化け物しかいないぞ
10.8≫君の武勇伝を聞きたい
11.10≫それ思った
12.10≫同意
13.10≫聞きたい
14.10≫ナイスコメント
15.10~14≫期待するなや。俺の武勇伝は……
16.ワクワク
17.ワクワク
18.ドキドキ
19.ワクワクドキドキ
20.一撃死。
21.武勇伝じゃなかったw
22.静観してたからいってないが、NPCの詳細を話しておく。戦ったわけじゃないが、他の人の証言をゲーム内で集めておいた
・攻撃を躱される
・急所に攻撃される
・めっちゃ速い
・攻撃しなければ襲ってこない
あと一部の人しか言っていなかったが、会話もしてたそうだ。
23.22≫有力情報サンクス
24.22≫君将来有望そう
25.22≫現役で記者やってる方?
26.25≫ちゃうわ。絶賛ニートだよ。あとそうそう、これ運営から情報出てないんだけど先行公開なのかドッキリなのかミスなのかはっきりしないんだよ
27.26≫まぁ、うん、頑張れ。
28.26≫運営の情報に期待だな~
この後も突如現れたNPCについて話し合われたが、その時出てきた有力な情報はせいぜいネームである「スピア」くらいだろう。
+++
日曜日の夜、俺はまたプレコロを始める。朝、プレコロについて詳しいルールが書いている掲示板がないかと探していたが、俺のことを噂されてる掲示板があった。
特にコメントしたわけでもないけど、結構認知されているのでこれから先、迂闊に人間らしい行動が出来なくなってしまった。
そんなことを気にせず、ゲームを始めたわけだけど、フィールドに出る前に、一件のメッセージが届いていることに気付く。
「ん?差出人の名前が‘‘神‘‘ってなってるけど……」
俺は手紙の内容を読む。
内容をまとめると、俺に称号をくれるとのこと。ただ条件があるみたいで、詳細が明日の月曜日に開発会社で話したいということなので来れないか?ということ。行けなかったら別の日を用意できるみたいだけど、予定がないので行くことにする。
「まぁ、何はともあれ、とりあえずプレイしますか!!」
前回と同じようにSt10に入る。しかし、掲示板の「攻撃しなければ襲ってこない」の情報通りに行動する人が増えているせいか、誰も攻撃してこない。
しばらく歩いていても誰も攻撃しないので、あえて攻撃の当たりそうな中心部、それもプレイヤー同士の戦闘の最中に割り込んで行くことにする。
ほら、NPCってルート通りに進むからプレイヤーがそこに立ってもひたすら歩く……よね?
少し昔のNPCならではの行動で今時ないだろうとは思う行動だけど歩いているだけじゃ余計にストレスがたまるだけなので、戦える状況を自分から作りに行く。
「ウワアッ!!」
プレイヤーが攻撃を空振ったその時、俺に攻撃が当たりそうになり、槍で防ぐ。傍から見ればプレイヤーが攻撃したように見えるだろう。俺は振り向き、戦闘の意思があるように見せる。
「す、すまねぇ!!一時共闘してくれねぇか!?」
「お、おう!!」
争っていたプレイヤーが俺を見るなり、共闘し始める。このゲームはチームを組んで戦うことも可能だが、その分取得経験値が低くなったり、ステータスにハンデが加えられる。それでもしないと倒せないと判断したらしい。
俺は多対一の展開は何度もあったが、敵と共闘して新たな強敵を倒すバトル漫画的な展開が面白そうなのでいつもよりやる気が湧く。そして、このいい感じの展開を圧倒的な力でボロボロにするのも面白いのだ!!……俺、悪役の方が向いてる?
まあ今は目の前の戦闘に集中しよう。
2人のプレイヤーはどちらも双剣。おそらくAGI特化だろう。なぜなら双剣はリーチが短いので無理にSTRやHP、TPやDEFを上げると槍などのリーチの長い武器に対する対抗策がなくなるからだ。それに双剣は威力よりも戦術の幅を広げ、手数を増やすことに強みがあるので、一撃で試合が終わる展開を作るためのSTR特化や自分だけ攻撃を受けないDEF特化をしているのは縛りプレイでしか得られない快感を得ようとする人か、やり方の分からない初心者それか自分が世界一だ!!!と言う夢を見すぎる人だろう。
俺の予想通り、2人は一瞬で距離を詰めひたすらに攻撃する。
「「[十連斬り]!!」」
2人はスキルで手数の多い攻撃を行い、俺に攻撃の隙を生ませないと連携を取っている。スキルは基本決まった動きをするのでプレイヤーに使うとたいてい軌道がバレているのでがら空きの部分に攻撃を撃ち込まれる。そのためたいていのスキルはNPCやフィールドにいるモンスターなどのMOBに使う。
ただそのスキルを使っている矛先のNPCはプレイヤーな訳で簡単に軌道を読まれ一撃加えられた。ただ、スキルで大量に攻撃を行っていたせいで急所に打ち込めず、一撃死というわけにはいかなかったようだ。
男2人は一歩引き
「やった!!一撃死じゃねぇ!!」
「やるじゃねぇか!!武勇伝だぞ!!」
掲示板にあった武勇伝とは言い難い一撃死の武勇伝。それを塗り替える伝説が今生まれたが、戦闘中にそういう喜びに浸っているのは命取り。
俺はすぐさま前に走り、2人の首元に向かって高速で突きを放つ。2人は反応できなかったようで「DEAD」の表示が2つ出た。
俺は戦闘が終わったのでまた歩き出すが、その目線の先に煌びやかな装備に身を包んだ1人の男がいる。
「スピア。最近出てきたNPC。ここで[剣使い]の称号を持つ俺が倒させていただこう!!」
称号持ち。それに好戦的。俺にとっては最高な条件が整ったうえ、周囲はその称号持ちの男を応援する声でいっぱい。この歓声が嘆きの声に変わる瞬間はとても面白いのだ。……悪役の思考になっちゃった。
「俺の名前はユウト。NPCだから聞こえたわけじゃないだろうが、紹介させてもらおう。」
頭上を見れば名前が表示されるが、俺は視界の邪魔になるので設定で消しているので名乗ってくれるのはありがたい。お礼として、会話してあげよう。
「そうか……ユウト。では一戦交えるとするか。」
「ああ、そうだな!!」
ユウトは称号の通り、剣を持っている。
装備は勇者を感じさせるような装備であり、実際、装備を選んだ時にはあんな装備はなかった。
「ラアアアッ!!」
その雄叫びから、ユウトとの戦いが始まる。
ここでちょっと裏話。
称号持ちは基本的に運営側が設定した条件に当てはまると運営側に通知が届き監視される感じです。また運営もたまに余興としてプレイヤーに化け、戦ったりするそうです。本編にはあまり影響がないですが小ネタみたいな感じで覚えてもらえるとほんのちょっと嬉しいです。