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変な終わり方

 少し変な終わり方だけどユルシテ。

 ミユが地面に閉じ込められたころ、エイタとフィリスは未だに地面を掘っている。

「やれた……のか?」

「知らん。まぁ閉じ込めることはできたし……」

 地面を掘りながら会話していると突然目の前の地面が掘れなくなる。

「あれ?掘れない……」

「?どういうことだ俺も噛み千切れない。破壊不能オブジェクトか?」

 薄暗い穴の中で掘り続けているため壊せないものの正体が分からない。試しに魔法で明かりをつけてみると、そこには大量の根が。

「まずい!!離れるぞ!!」

 フィリスが慌てて逃げ始めるが、すでに手遅れだったようで根が2人の体を絡めとり、固定してしまう。

 時間が少し経つと、地上では前触れもなく花びらが1枚落ちる。

 すると、地中の根が数本尖り、

「「やばいやばいやばいやばい!!!」」

 声を発し体を必死に動かす2人の体を貫く。

 2人は人知れず、キルされてしまったのだった。



 ワタルはまだ1人でカーズと戦闘している。ツリアを呼んで状況をよくしようと考えたが、ミユがさっき言っていた言葉と、エイタとフィリスが地中でチャンスを窺っているかもと考えていたため、迂闊に呼ぶことが出来なかったのだ。

 それにツリアもそれを理解しているため援護するにもできないのだ。2人は既にワタルのスキルによってキルされたというのに。

 ちなみにそのことを知っているカーズは誰も見ていない時に小さくため息をついている。

「おいおい、こんなにいい状況だってのに、1人ずつしか来ねぇのかよ!つまんねぇな!!」

 カーズは軽々と斧を振りワタルに攻撃を何度も当てる。

 盾をしっかりと構え、的確に攻撃を捌いていくワタルだが、一撃一撃が重く、だんだんと疲れがたまっていく。

「こうなったら![迎撃]!!」

 ワタルは花びらを一枚落とさせ、彼のいる方向へ蔓を伸ばすように指示する。

 リクたちが攻撃している様を見て、カーズは[破壊不能]の効果があると考え、攻撃せず蔓を避け続ける。

「[枝の(つるぎ)]!」

 スキルで短剣よりもリーチのある武器を生成し蔓の牽制に間を縫って攻撃していく。

「そんな軽っちい攻撃じゃこんな蔓に当たるわけないだろ!!」

 蔓に攻撃を当てて引っ掛かったり、蔓の動きに引っ張られたりすることで行動が制限されないよう、斧を肩に乗せながら叫ぶ。

 カーズが蔓を避けていると、突然、蔓の動きが止まる。

「クソッ!!射程距離の限界か……」

 ワタルが失敗したと言わんばかりに小さく独り言を漏らす。聞こえたわけではないがカーズはこれ以上蔓が動けないのを瞬時に理解し、反撃に出る。

「さっきまでの威勢はどうしたぁ!?」

 最初よりも軽そうに片手で斧を振り盾に当て続ける。

 絶え間なく続く攻撃にワタルの手の力はだんだんと弱まっていき、盾が斧の攻撃に巻き込まれ吹っ飛んでしまう。

「ハッ!!」

 カーズは斧を振り下ろし、ワタルの胸元から腰にかけての一直線の傷を作る。75%の被ダメージ減少という恩恵を受けながらも大きくHPを削られ半分まで減ってしまう。

 本当ならマリーが回復魔法を使い援護するべきなのだろうが、さっき使ったスキルの影響がまだ響き、スキル使用までほんの数秒足りなかった。

「[自己再せ───」

 ワタルは攻撃を避けながら自分のHPを回復するスキルを唱えたが、あと一歩のところで斧に追いつかれてしまい、そのままHPを削られきってしまい、キルされてしまう。

 だが、最後のひと踏ん張りなのか、歯を食いしばり根性でほんの一瞬生き残り、スキルを唱える。

「[暴走]……」

 絶え絶えになった息遣いのまま必死に話し倒れる。その時。

 最後の一枚である花びらが落ちる。

「逃げるよマリー!!私に捕まって!」

「はい!」

 2人は何が起こっているかが分かっているので、花から離れる。

 離れて数秒経った時。花が根を地上に出し、蛸のように移動する。茎や根からキメラでも作ったかのように葉や、薔薇の棘、彼岸花の花、チューリップの球根といった様々な植物の様々な部位がつくられていく。

「こりゃやべぇな……」

 少し驚きながら笑みを浮かべカーズはそう話す。こんな大きなものが破壊できるとなるとさっきの蔓を避けるときと話が変わるので試しに砂浜にあった貝殻を投げつける。

 太い蔓に当たった時、貝殻は砕けるが、割れた時に尖った貝殻の破片は蔓をほんの少しだけ、浅くだが切り裂く。

「攻撃が効くには効くが、硬いってことか?」

 カーズは腕を組み少しの間考えるが、そんな暇はないと伸びた蔓がカーズの脳天目掛けて振り下ろされる。

「少しは考えさせろや!![体術強化]!ラアア!!」

 カーズはスキルを使い、身体能力の強化をした後、蔓を素手で掴み、斧を思いっきりぶつける。

 切ることはできたものの、蔓の真ん中を通ったあたりで止まってしまう。

「2回切ればいいのか?ハッ!それなら楽勝だな!!」

 カーズはそう言い、斧を構える。ただ、それでも別方向から攻撃は絶え間なく来るもので、

「痛った!!ふざけんな!!」

 背中に衝撃を食らいそのまま運ばれてしまう。今の攻撃でキレたカーズは素早く斧を振り茎を千切りのように細かく斬り刻む。

 その勢いのまま走ろうとしたとき。地中からも攻撃が飛び、カーズはさらに吹き飛ばされる。

「ダアアアアアア!!!!!」

 叫びながらお手玉のように飛ばされ、蔓が斬り刻まれるのが繰り返される。


 しばらく続いた後。

「ハァ……バカ弟が。こんなんだから一位という肩書を持っていても負けることがあるんだよ。」

 ツリアがため息交じりにそう話し、ハンマーを持ったままカーズの元へ飛んでいく。

「ハァッ!!」

 ハンマーを振り下ろし一撃を加えると、カーズは慌てて止めるが、周りに蔓が集まっているのを見て、

「ああ!!負けだ負け。俺の勝ちは次回にお預けだが、今回は譲る。なんせこんなだし。知らんうちに味方全員死んでるし。じゃな!」

 少しキレ気味にツリアに説明して蔓に潰される。

「勝った……けども終わり方が……」

 ツリアは左手で顔を押さえそう言った後に、ゆっくり歩きながらマリーの元へと戻る。

「勝ったよ。なんかすっきりしないけども。」

「え?ああ……勝ったんだ……」

「そう。さ!ミユを助けるよ!」

「あ!そうだった」

 変な空気間の中、マリーのスキルが使用できるようになり、ミユがスキルで呼び戻され、ついでに復活したワタルもテレポートさせられる。

「寝てる……」

 テレポートさせられた時。ミユは盾を毛布のように体にかけ、鼻ちょうちんを膨らませて寝ているのだった。

「起きろ!!」

 ミユはツリアに蹴られ強引に起こされ

「痛ったあああぁぁぁい!!!!」

 フィールド中に響くような大きな声を上げて跳び起きるのだった。

 明日も投稿します。土日連続で出しますが、平日も出すつもりです。

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