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新スキルのお披露目はプレイヤーではなく

 今回も微ホラーって感じです。次の話もそうかも……

「殺す殺す殺す!殺してやる!!」

 怒りの矛先を俺に向けながらも収まらない女性の霊の怒りは、むしゃくしゃしてひたすらに体を引っ掻くという行動に現れ、彼女自身の体を傷つける。

「アアアアアア!!!!」

 ひたすらに叫び、喉が潰れたのか、しゃがれた声になっても叫び続ける。

 女性の霊を見ていると、突然、皿を持っているのが見える。

「ウアアッ!!」

 皿を投げての攻撃。それについて来るように突然浮いた何枚かの皿が追加で攻撃してくる。

 槍で弾いたのだが、その時、弾いた衝撃で皿が割れる。割れた皿の破片は皿が投げられて速度のまま降り注ぎ、HPを削る。そして、

「一枚……割れた。」

 何かをカウントするかのように女性が声を上げる。とにかく、皿を割るとダメージを受けやすくなり、何かのカウントが進むというのが分かったので、皿の攻撃は割るわけにはいかない。

 だが、避けた皿の攻撃はブーメランのように帰ってくるため、より不規則に攻撃が来るようになってしまった。また、女性の霊が攻撃してくることに加え、女性の霊に皿が当たっても割れることなくすり抜けていく。そのため攻撃の幅が広くなり、対処がより難しくなってしまう。それに女性の霊の攻撃も拳だけの脳筋スタイルだけじゃなく、皿を振り回して攻撃するとかいう結構危ない攻撃に変わる。攻撃されたときに皿が割れるなんてしたら頭に刺さるだろうし、カウントも進むし。せめてフライパンで叩かれたかった感じがする。そもそも叩かれたくないが。

「死ね!!アアッ!!」

 皿をカードみたいに持って、刃物みたいに振り回す。皿全体を使った面攻撃ではなく皿の先で攻撃するので感覚としては短剣を避ける感覚に等しいので、皿の攻撃は避けられる。

 ただ、霊の桁外れな怪力のせいで、皿を持っていないもう片方の手と足で蹴りやらの体術を織り交ぜて攻撃されると、防げても大きく体勢を崩されるし、普通に痛い。

 霊が蹴りを入れ大きく吹き飛ばされたその時、「ピチョン」という水の音が鳴る。

 今は空中にいるため再度跳躍して離れるころにはもう霊に掴まれているだろう。

 だとしてもフレーム単位で避けられるかもしれないという可能性に賭けて一度足を付け跳躍しようと試みる。

 まぁ、避けられるはずもなく、霊に掴まれた。たださっきと違い引っ張る動きではなく、俺におぶさるように体を掴み、少しずつ、濡れていて冷たい青白い体で登ってくる。

 鳥肌がウニの針みたく、棘みたいに鋭く尖るような感覚がする。それだけ悪寒がするのだ。

 霊は俺の肩を掴み、太ももに足を置き、俺の目の前に立つ。

 その時、霊は持っている皿を俺の顔目掛けて割ろうと振り下ろす。慌てて槍を顔と皿の間に通し、直撃は免れたが、破片は顔を引っ掻くように切り裂き、女性の霊が少しずつ、

「二枚目、割れたよ。」

「三枚目……割れた」

「四枚目」

  ・

  ・

  ・

 そうしてついに、

「十枚目。全部割れたよ。」

 そう言った女性の霊が俺の体を掴むのをやめ、一歩下がっていく。それと同時に、周囲の木が見えなくなり、全てが真っ暗になる。

「何も見えないな……」

 俺は周りを見渡し、警戒していると、視線を外していた場所に1つの井戸があるのが見えた。最初、女性の霊が出てきた時と同じような井戸の見た目をしているそれから、またさっきと同じように、女性の霊が出てくる。

 さっきと見た目が違うのは、服装が豪華な着物に変わり、装飾品のついた簪が1本、長い髪をまとめている。顔も化粧をしたのか、さっきとは見違えるほどに変化している。ただ、女性の霊はスキルのせいで赤くなっているのでしっかりとは見えない。

「あなたにも、死を体験させたげる。」

 そう言った女性は、右手を前に出すと突如として俺の前に出てくる。そして、その出された右手には、中指がない。どちらにせよ、さっきの霊と変わりないのなら、ここで対処しておかないと、さっきの会話的に俺は死ぬ。せっかくの残機を無駄にするわけにはいかないし。

 俺は女性の首を一突き。女性は反応することなく、そのまま刺されたが、消える気配はなく、さっきみたいに振り向き、

「やっぱり、死を体験させるだけじゃ足りないわね。」

 そう言った女性は顔が溶けるように変形し、さっきのような白い見た目に戻ってしまう。強化でもされているのか、黒い背景でも見える、青黒い、紫の混じった禍々しい靄が見える。

「死ね!!」

 髪越しの目が赤くなり、口に入った髪の毛を食い千切るぐらい食いしばった攻撃は俺の腹部めげけて飛んでくる。槍で攻撃を受け止めたが、衝撃はかなり重く、槍こそ折れはしなかったものの、手に凄まじい衝撃が走り、痺れたまま後ろへと飛ばされていく。

 女性の霊は音もなく後ろに立ち、背中を殴る。お手玉のように吹き飛ばされた方向に移動しては殴る。

 そうして着実に減っていくHP。飛ばされた方向に霊が出るならと振り向いて対処しようとしたが、槍を掴まれ動きを止められた後、さらに攻撃してくる。

 その攻撃をギリギリで躱し、体勢を安定させることが出来たが、様々な場所に移動しては不意を突いての攻撃を行う攻撃をしてくるようになり、対処がさらに難しくなってしまった。

 その時、音もなく足を掴まれ、とてつもない力で引っ張られる。引っ張られるときにもHPが減り、握られる部分に痛みが走る。

「グアアア!!!」

 あまりの痛みに耐えられず、叫んでしまった。

「このまま、終わりだぁぁ!!」

 女性の霊は掴んでいる足を両手で持つようになり、ついには噛み付いてきた。そして、かなりの痛みが走った時、俺の足は食い千切られ、モザイクに包まれ消えていく。

 そして、足が食い千切られたことでもう片方の足を掴み、また食い千切ろうと、噛み付く。HPを見れば、残り1割になっている。恐らくこの足が食い千切られた後、もう一度同じような行動をするために掴んでくるだろう。その頃にはもう、お陀仏になるだろう。

「仕方ないか。これはもう少し取っておきたかったけども……」

 スピアの話し方を一度やめ、いつも通りの話し方で諦めるようにスキルを使い始める。

「[愚者の矜持(フール・プライド)]!」

 その時、残ったHPの3割が消費されたのか、HPバーの残りが糸みたいに細くなったが、体中に力がみなぎるように感じる。

 STRが上がったことで槍で追い払えるようになり、食い千切ろうと掴まれた足の近くを突き、そのまま槍を振り飛ばすことで霊を少し後ろに下げることが出来た。

 そして、その時、足が編み物で糸を編んでマフラーやセーターを作るように、失った足が形成される。さらに糸みたいに細かったHPバーがほんの少しずつだが、だんだんと太くなっていく。

「これプレコロでラスボス的なのが実装されたら俺より強いのかな?それだったらこういう回復できる強化スキル使ったら誰も倒せない気がするな…………俺もだが。」

 独り言のようにブツブツつぶやいた後は、スピアの口調に戻し、

「さぁ!!これで勝負の行方を決めようじゃないか!」

 霊に向けて叫ぶ。霊もそれに応えるように、一度立ち止まる。

 足を一歩踏み込むときに、霊も同じように一歩踏み込む。

 これで勝負が決まる。

「「オオオオオ!!!!」」

 一応、この霊の元ネタを書いておくんですが、元ネタは「番町皿屋敷」という話になりますね。参考程度なので結構改変しています。本当は夜に井戸から皿を数える声が聞こえ、十数えると、全部見つかったということで消え失せるそうです。(Wikipedia参照)この話では強化されましたが。

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― 新着の感想 ―
面白くてここまで読んでしまったけれど、改行が一切無いので、改行があって読みやすい物になれた人は、最初の数ページで読まなくなってしまうと思います。 情景描写 改行 「会話」 改行 「会話」 改行 情景…
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