ついにNPCが復活する
最近になって読み返してくれる人、最初の方を呼んでくれる方が多いのか、昔の話の誤字報告が届きます。最近書いたばかりの話は自分でも確認する機会があるので、何とか対処できる(できてない)んですが、昔の話は触れる部分があっても本当に一部なので、報告してくれることがあってとても助かります!!これからもこんな感じで誤字ることがあるので、誤字った場合は報告お願いします!
「よっしゃ!パーティー壊滅成功!」
キルされたプレイヤーから一番近い場所にいたさやのところへ移動するとそんな元気な声が聞こえる。
「おーい!バーン、ブルー!ここら辺の奴らならそこまで警戒する必要なさそうだから、お前らも1人でやってこい!!」
そしてバーンとブルーにも個人での戦闘を促す。
「そうなのか!だが、万が一のこともある!お前もそうやって油断していたら、死角から攻撃されて死ぬんじゃないのか!?そのためのパーティーでの行動だろ!?」
「あーもうしょうがないなぁ……」
バーンが反論するとさやは小声でそう呟きながら面倒くさそうにルリのもとへ歩き出す。
その時突然、後ろに引っ張られるような感覚と共に、見ていた画面が真っ暗になる。
「もうそろそろ1時間経つぞ!準備しておけ!」
引っ張ったのはグリードだった。どうやらカメラに憑依していたのを強制的に解除され、そのまま[モニタールーム]へ連れてこられたようだ。
「え~!?今いいところだったのに~」
俺はさっきのさやみたいに面倒くさそうにグリードに一言。するとグリードは
「そうか、見ていいぞ。もう復活しないならな。」
「あー!!ダメダメダメダメダメダメダメ!!(早口)」
これって子供が物を片付けるときに「自分のものじゃないから、お母さんが代わりにやって!」とか言ったら「じゃあついでにあなたの大好きなゲームとか、おもちゃとか捨てておくわね。私の物じゃないから」とか言って子供がマズいって思いこんで自分から片付けに行くやつだろ。まぁ、こいつならやりかねないって考えからこういう行動になるんだろうな。
「分かった!分かったから!戻りたいから!」
「はいはい分かった分かった。あと2分でスポーンさせるからな。ちゃんとお前の要望通りになるよう、位置を調整したからな。あと、デスしたから分かるだろうけど、[狂乱の宴]の使用後の制限効果は切れてるから、安心して冒険して来い。」
グリードは俺の胸にポンと軽くグーパンを当ててきた。
「分かった!頑張ってくる!」
「よし!気持ちは十分だな!行ってこい!」
グリードが何かの画面を操作すると、俺の画面に「リスポーン」の文字が出てくる。
「じゃ、行ってきます!」
俺はその文字を押す。すると、フィールドを移動するように、画面が切り替わる。
広がる景色は最初スポーンしたときと同じように一面木と草の森林。最初とは場所は違うけども。
俺が選んだ場所は、とあるパーティーの近く。リベンジの意味を込めてだけども、一回対面したくせにまともにスキルや戦い方を見ていないというのがあるから、普通に好奇心で戦いたいという感じ。
「さてと……さっき見ていた風景的に……というより、分からないか。まぁ、会えればラッキー程度に考えておくか。」
周りを見渡し、戦えるプレイヤーを探して、誰もいないのを確認した後、独り言を漏らす。そして、いないならととりあえずそこら辺を規則的に歩き続ける。
しばらく歩くと、少し遠くの方から大きな爆発音が聞こえる。それも何度も。
「そっちかよ……離れちゃってたじゃん……」
俺はルリの広範囲攻撃ができるような魔法系の攻撃を持っているのは恐らく[ロッズ]のメンバー、そして爆発が何度も起こっていることから、バーンのスキルと予想し、そちらに向かって走り始める。
少し先を見ると、茂みと木の枝の隙間に小さな人影が見える。
そこにいたのはバーンではない別の人。よくよく見ると、俺が実装された頃に、俺と戦って負けた爆弾ばかり使う[爆弾魔]の称号を持っているであろうプレイヤーだった。前よりも威力が上がっているのか、爆発の轟音が広範囲に響き、爆発で広がる煙が辺りを包む。時々その煙が広がりすぎてプレイヤーの姿が見えなくなる。
「オラオラどうしたぁ!?足りないぞ!もっとその爆音響かせろォ!!」
この時、そのプレイヤーが叫んでいるのかと思ったが、当の本人は口を塞ぎ、汗を垂らしながら爆弾を投げている。そして、プレイヤーの視線の先に視点を少し変えると、そこにはバーンが映っていた。
俺は予想が合っていたからホッとしたものの、さっきのバーンのセリフ的にこれよりも大きな爆発を起こせるのだろうか。本当にそうならば同じような広範囲攻撃ができる計4人の相手をすることはできないので逃げざるを得ないのだが。
爆発音がいったん止むとバーンの声が聞こえる。
「もう終わりか!?じゃあ、こっちから行くぞ![ニトロインパクト]!」
バーンが杖を大きく振ると、そこら中が光り、瞬時に大爆発を起こす。ある程度離れていたからダメージを負うことはなかったものの、その場にいたであろうプレイヤーは跡形もなく消えているどころか、森林も爆発の範囲に合わせて爆発の跡である灰色になった地面だけ残して消えてしまっている。
「ちょっとバーン!やりすぎ!」
「スイッチ入りすぎだな。」
「結構やりすぎ。きっとすぐ敵が来る。」
「悪い悪い。似てる系統の敵と戦うとちょっとやる気が出ちゃってな。」
「まぁいいや。一応[ソナー]っと。あ、もう敵いるよ。しかも1人。どうする?」
ルリがとりあえずで索敵スキルを使用する。すぐに位置を特定されるが、まだそこに隠れているプレイヤーが俺ということをまだ知られていない。そのアドバンテージを生かして、少しだけ隠れ続ける。
「出ないなら撃つよ?いいの?」
俺はどんなに出てくるよう言われてもまだ動かない。というかさやの行動的に出てきても殺されるだろ。
「もういいや。[飢餓の死者]」
さやが一番最初に痺れを切らして攻撃を始める。さっきの攻撃と同じような手を伸ばす。俺はさやの攻撃が大抵防げないことが分かっているので、木の上にジャンプして乗る。手は俺を追いかけるように急カーブしてきたので俺はルリ達に姿がバレないよう、攻撃を避けて逃げる。少しの間逃げると、射程の限界になったのか、手が消える。
「逃げるんじゃない!大人しく出てきなさい!」
さやが声を上げる。誰かを人質にとった犯人を呼び戻すように話しているが、今俺は加害者というより被害者の立ち位置にいる気がする。
「仕方ない。では貴様らの目の前に出てきてやる。」
「ああ?お前、なんて話し方し……」
さやが俺が話したことに対して怒りを露わにして声を上げた時、俺は立っていた木を蹴り、さやの目の前に移動して、槍を振る寸前までに行動していた。
「「[防御魔法]!」」
ルリ、バーン、ブルーの3人がそれぞれ反応し、防御魔法を展開してきたが、俺は即座に槍を振るのをやめ、防御魔法を壁として蹴り、防御魔法を飛び越え、さやの背中を刺す。
「痛ッた!!」
そこまで深くなかったのか、さやは声を上げて離れていったが、
「危ない危ない。HP上げられた。ギリギリだったよ。」
とステータスをいじったような意味深な発言をする。
「さや、お前それ出来るんなら、前線で戦っても大丈夫だろ。」
「いや、これ調整難しいんだからね?攻撃手段もTP使用するスキルしかないから!」
「そうか。ま、今はNPCに集中しねぇとな。」
「花火上げとく。」
「ありがと。ブルー」
ブルーが花火を打ち上げようとしたとき、俺はさっきみたいに大勢のプレイヤーに囲まれるわけにはいかないと、花火を即座に攻撃する。
全員が反応したが、その動きはブルーを守る動きだったため、伸ばした槍はブルーに向けることなく、花火を突き刺し、暴発させる。
「二度と同じ轍は踏まない。」
俺はそう言い、槍を向ける。




