使用2時間で改良される武器
本当は昨日出すつもりでしたが、パソコンの更新が思った以上に時間がかかり、最近買ったクロスワードを解いていたら……
あら不思議。こういうことになりました。
武器の改良を頼むため、路地裏のメルクのところまで走っていく。今は22:00。本来ならばやめるべきであろう時間なのだが、明日はイベントがあるので有休をとったので時間が多少過ぎて睡眠時間が変わろうとも、特に問題ないのだ。
しばらく歩けば案外、すぐにメルクのところへ着く。
「おう、お前さん突然どうしたんだ?ついさっき会ったばかりじゃねぇか」
メルクは俺に疑問を投げかける。2時間前に会ったばっかだけども、案外時間がかかってるわけじゃない気もする。
「いや~クルセイアがなんか僕の戦い方というか、突きだけの戦い方になると、柔軟に対応できなくなるというか……」
「……なるほどな。俺も今見てそう思った。本当は持ち手の端っこにもう1つ刃を付けて振り払ったりとか出来るようにしたかったんだが、そうするとお前さんの戦闘スタイルが変わっちまうからな……考えてたらそのまま忘れちまったんだ。なんかいい考えないか?」
メルクは作っている際に、疑問に思ったそうだが、そのまま忘れたらしい。覚えていてくれよ……
俺はメルクとクルセイアの改善案についてしばらくうなりながら考える。
振った時に刃が引っ掛からないのなら、流線形?だっけそういう滑らかな感じの形がいいはず。それにメルクの考えもとるのなら、十字に近い形でやるのなら……
「あ!そうだ!トランプのダイヤみたいな形にしたらいいんじゃないんですか!?それなら振った時も引っ掛かりにくいし、形も今の形に近いままですよ!」
俺はそう言って地面に落ちている石で地面にどんな形かを書く。その形はトランプのダイヤに近いが、点と点を結ぶ線は直線ではなく、十字の形に近づけるため、ダイヤの中心に寄るような弧を描く曲線にするよう提案する。
「なるほどな。分かった。クルセイアをくれ。10分で仕上げる。その間、この階段を上がって右に曲がった時にある木の杭を組み立てて人に見立てた的があるから、それでイネイシァルの練習でもしててくれ。終わったら呼ぶからな。」
そう言ってクルセイアを渡すように手を出す。クルセイアをもらった後は工房の奥へと行き、すぐに金属を打つ音が響く。
「じゃ、言われた通りに練習していますか。」
そう言って俺は階段を上る。階段の途中にメルクの言っていたであろう木の的がある。その的は杭というよりサボテンのような見た目をしていて、地面に刺さっている太い杭にさらに長さがバラバラな杭が撃ち込まれている。さらにそこに攻撃を加えると回転するというおまけつきだ。しかも頭部、腹部、脚部の3つに分かれている。
「なるほど。面白そうだな。」
俺はわざと杭がいくつか届く範囲で戦う。攻撃したときに反撃が来ると考えた方がやりやすそうだから。
「フッ!!」
試しにそれぞれの部分に一突きずつ。回転が交互になるように。案外早く回る杭は槍で対処してもそのまま弾かれるが、反対方向から更に攻撃してくる。また、回転の向きが違うことで長い杭が来るタイミングが揃い、同時に攻撃を捌いたり、避けたりする必要がある。といっても杭から離れると攻撃が当たらないのでせっかくの杭の意味がない。
一度深呼吸し、来る杭を見極め、槍を振り回し、対応する。長い槍でも対応できるようにひたすら工夫し、練習。杭に当たって痛くなろうが、吹っ飛ぼうが、体が汚れようが、関係ない。ひたすらに練習する。
ひたすらに頑張ってメルクが来る。10分経ったのだろう。感覚としては本当に一瞬だったけど、結構動いたのか、体中が少し重い。
「おう、結構動いてたっぽいな。持ってきた甲斐があったな。ほい。飲み物だ。」
渡された飲み物は冷たく、緑色の液体をしている。
喉が渇いていたのでそれを一飲み。強めの炭酸と甘い液体の味からメロンソーダのような感じがする。
「うまい!」
乾ききった体を潤す液体に刺激が加わればそれはうまいと言わざるを得ない。
「さ、疲れも吹っ飛んだところで、クルセイアの改良版だ。こっちに来い。」
メルクに言われた通りについてくると、デザインはそのままに、刃の形が変わったクルセイアがそこにある。
「お前さんに言われた通りの形状にした。これなら振っても引っ掛かる心配はないし、今までの性能を損なうことはない。いや~お前さん、いい考え持ってるな!これは俺のミスでもある!今回も金はとらない!」
メルクは当たり前かのようにお金を取らない。それはこちら側としては嬉しいことなのだが、心配になるにはなってしまうので、
「あのー……さっきのドリンクってありますか?」
「ん?あるが、それがどうしたんだ?」
1箱買うことにした。普通においしい。
ドリンクを買った後、
「そうだ、せっかくなんだから、クルセイアも使えるか、一回試してこい。」
そう言ってまたさっきの的へと連れられる。メルクも性能チェックとしてついて来ることになった。
俺は改善するべきだと思っていた、振る時の動き、前回と突きの精度が変わっていないのか、前通りの動きをしても問題ないかをチェックする。
「「まぁ、オッケーだな。」」
話し方が違い、俺は武器の性能がより使い勝手が良くなっていることに、メルクは改良した武器に不具合がないことに対するオッケーをどちらも独り言かのように話す。
「よし、じゃあ、頑張れよ!」
工房の前で別れを告げ、メルクは工房へ、俺は路地裏を歩きながら、ログアウトする。
「ふう。」
ギアを外し、起き上がったところで息を吐くように声を上げ、一度体を伸ばす。
「さてと……」
俺は明日のイベントに向け、一度起こりそうなこと、想定できる様々な状況を考える。
「掲示板のフウまるの書き込み的に大人数で来る可能性があるんだよな。とすると……」
俺は頭の中で起こりそうなこと、するべき行動を考える。
まず1つ。大人数で行動するパーティーへの奇襲。大人数で対処するとなると、連携が厄介になるので、予め先手を打ち、有利な状況を作る。ただ、これはあまりやりたくない。
理由としては、俺の行動が「NPCとしての行動」で考えるのなら、攻撃されるもしくは視認されるなどして後手に回る必要がある。また、フィールドの情報がまだ出ていない以上、藪などの奇襲しやすい場所が少ない可能性があるので奇襲するということを中心に考えてしまうと変に固執して動きが変になる可能性がある。
これは頭の片隅に入れるだけでいいや。
次は大人数で行動するパーティーへの戦い方。奇襲が出来ないとなると相手が準備万端な状態で戦うことになるのでその際、倒すべき順番を考える必要がある。そうでもしないと変に攻撃が分散してHPを大きく削れてもキルという決定打にはならないからだ。
パーティーは前衛となる剣や双剣、槍に槍。攻撃を引き受けるタンクとなる盾や斧、ハンマー。後衛になる弓、飛び道具、魔法。そしてパーティーを補助するバッファーとなる魔法使い。この4つのポジションが普通だが、このゲームでは遠距離はあまり人気じゃない。ダメージを与えても漁夫られたり、逆に攻められたりして負けるケースが多いからだ。その分、近距離が多い。
だから俺個人的に考えられるのは、前衛2~3人、タンク1~2、後衛1、バッファー1の構成になりそうだな。
俺が最初に攻めるべきはバッファーかな?別に後衛の攻撃は味方の邪魔にならないよう当たり判定の小さい攻撃を多用することが多いはずから、ルリのような攻撃判定が広い後衛が来ない限りは避けながらでも戦える。バッファーは味方のサポート、強化、相手の弱体化まで幅広くこなす厄介な立ち位置だから、結構早めに倒さないと長引いた時に、バフ・デバフがどんどん重なって負けやすくなるからな~……
それに後衛も魔法使いの時、どちらも使える可能性があるから、優先順位はバッファー、後衛、前衛、タンクの順番でいいと思う。タンクは正直言ってDEFとHP、TPに振ってる人が多いからAGIはそこまで高くない。ハンマー、斧みたいなSTRに振って攻撃を相殺するタイプでも、避けることはできるのでそこまで脅威じゃない。それなら速く動ける前衛の方が邪魔だから優先順位はこんな感じになった。
「さ!明日が楽しみだな!」
俺は嬉々としながら寝る準備を整え、すぐに寝るのだった。
今週の土日、ちょっと予定があるので投稿できません。執筆出来ても投稿は月曜日になるかな?
それでも来週からしばらく投稿ペース上げられるので頑張っていきます!




