NPCは完璧でなくちゃいけない
書き溜め投稿が初めてで、投稿するとき、ドキドキしています。でもそう考えると、私の投稿ペースって遅い方……?
「アバターの設定を開始します。」
ゲームが始まり、システム音声と共に、設定画面が開かれる。でもここに時間を割く暇はないので、元々設定されているアバターでゲームを始め、名前も考えている余裕はないので、「ああああああ」で済まそうとしたけど、どの文字数の名前も他のプレイヤーが使用している。
「これはどうだ!!」
そう言って俺が入力したのは「わわわわわわ」である。「いいいいいい」も考えたが、「あ」の次は「い」という考えをする人が多いかもしれないと、「わ」にしたのだ。そうして終わった設定。
プレイ画面には「弾避け」「音感知」「反撃」など、プレイヤースキルに関する練習がたくさんある。
「最初はマスターしやすいこれだな!」
そうして選んだのは、「弾避け」。もともとゲームをたくさんやっている身だし、反射神経には自信がある。次に画面に出てきたのは、難易度選択。勿論自信があるので「難しい」を選択。
その後に広がった空間はカウボーイがいる荒野を連想させるような一面黄土色の空間。俺のイメージに出てきたカウボーイが画面にも出てきた。馬に乗り、銃を持っている。
カウボーイが一定数現れると、「ひたすら避けろ!」の文字と共に、頭上の3:00のタイマーが動き始める。
カウボーイの撃った銃弾は速く、目だけでは反応しにくい。俺は瞬時にこの攻略の方法を理解し、ひたすら周りを見て、予想し、避ける。
カウボーイの描写は、銃口の向きや、音、トリガーを引く動きに至るまで全て正確に表示されている。つまりそれを見て、弾幕を避けろということなのだ。ただ甘く見ていたのもあって、対応しきるまでに銃弾が10発当たってしまい、ライフが0になりゲームオーバーとなってしまった。
「ダーッ!!ミスった!!というかムズッ!」
俺はこのゲームを甘く見ていた。流石はプロ御用達。反射神経だけを鍛えるんじゃなく、その反射神経
を生かすために、視る力、状況判断の力、体の使い方を鍛えていくのだ。
「俄然やる気が出てくるなぁ!!」
その叫び声と共にもう一度挑戦。最初は慣れず、全弾命中し、ゲームオーバーとなった。ふと浮かんだゲーム開始前に「移動したら回避できるのでは?」という考えのもと動いてみたが、カウボーイの射撃は正確に俺の方を狙って撃ってくる。
数回挑戦しても一向に避けれる気配がない。かといって難易度を下げて練習するのは気に食わないし、プレコロを始める時間が延びるだけだ。
というわけで俺はこの難易度をクリアするためにどうするかを考えた。
まずこのゲームで鍛えられるのはさっきの通り、反射神経、視る力、状況判断、体の使い方を同時に鍛えていくこと。もちろん、全部マスターするのは大前提だが、俺がやっていたやり方は、これらすべてを同時に鍛えていくことで、ゲームで言うならステータスポイントを全ステータスに1ずつ振っていくこと。まぁ、この鍛え方だとどのくらい上達したかの実感が得にくい。
そこで俺が考えたのはどれか1つを実感が得られるまで鍛えること。ステータス全部に1ずつ振っていくより、1つのステータスに全部ぶちこんだほうが目に見えて変化がある。
というわけで俺は最初に「視る力」を鍛えることにした。
カウボーイが撃つ銃弾の方向を銃口の向き、トリガーの動きから予測する。今すぐ避けるわけじゃなく、予測して、その方向と同じ方向に弾が飛ぶか。そして出来るなら避けてみる。これを何回も何回も繰り返していく。
確かに、予測した方向通りに弾が飛ぶようにはなっているけど、そもそも見て予測していない弾の方向や、1つの球の動きに注視しすぎて近くの予測できていない弾の動きはどうすることもできない。
だから俺は、視る力を1つをまじまじと見て予測するんじゃなく、目に見える全ての物をしっかりと見て予測する。それも後ろを見るために常に動き続けて。
しばらくこの考え方を持って実践してみたら、あら不思議。全部の弾の予測ができておまけに全部的中。ひとまず「視る力」はほぼ完璧となったのだ。
ただ「避ける」という動作を殆どしていないので、予測していたのはたったの10発だけ。さらに避けてこれから出てくる弾の動きも完璧に予想できなきゃいけない。
というわけで次に鍛えるのは、「体の使い方」。体全体を使って、弾を避ける。
――と考えたものの、体をどう使えばこの先出てくるであろう弾をきれいに躱せるのか。
と手順をゆっくりと重ねていく俺。体の使い方をマスターするということは、すべての弾を避けれたということ。つまり「状況判断」が出来ているということ。
だから俺は先に状況判断を鍛える。
やり方は弾がどの順番で来るかを考え、その順にどう動けば避けられるかのイメージトレーニング。
同時に体の使い方も鍛えるような感じになったけど、俺がどうやれば1個ずつ鍛えられるかのアイデアが浮かばなかったのもある。
「そんなことでモヤモヤする暇はない!とにかくやろう!」
そう叫び、何度も何度も挑戦する。
予測し、順番を整理し、避ける。簡単そうに聞こえる手順だけど、いざやってみると、最初の3手順を達成するのは容易だが、常に撃ち続けられる弾幕の中、避けてから予測という繰り返しの動きでどうしてもミスってしまう。それでもめげずに何度も挑戦していく。
しばらく挑戦して、いい感じに弾を回避できるようになったころ、
「あっ!!やっべ!!」
画面右上にある時刻が22:19となっていた。仕事は9:00から昼休憩をはさんで18:00までなのだが、通勤が電車移動なので少し時間がかかるうえ、俺は朝が弱くすぐには行動できない。
「続きは明日かな……」
そういいながら、ゲームを終了し画面が真っ黒になったところでギアを外す。
「ふぅ……そういえば、ランキングがあるってきいたけど、俺ってどんくらいなんだろ?」
スマホのサイトからPSPのランキングを調べる。
「俺の名前は…」
俺はそう言いながら上位から下にスワイプし、確認する。
俺のユーザー名であるわわわわわわの名前は200位帯と上の方にある。でもその下に記載されているプレイヤーはどれも10発撃ち終わる10秒程度でゲームオーバーとなっている。
「そういえば流し見で確認してなかったけど、1位ってどのくらい生き延びてるんだろ?」
そう言って確認したが、1位のプレイヤーでも、3:00ずっと生き延びているわけでもなく、2:30ちょっとでゲームオーバーとなっている。
「そう考えると、俺の目指す完璧なNPCのハードルかなり上の方だな……」
弱音を吐いてしまったけど、やるって決めた以上、諦めるわけにはいかない。
「いちいち考えるのも面倒だ!寝よう!!」
そうして、消灯し、ベッドに入ることで一日を終えるのだった。
書いている私が言うのもなんですけど、本編結構先になる予感がする……
けどまぁ何とかなるか!!




