ゲームを楽しんでもらうためにNPCは改造されるものである
久々の投稿なのに今回ちょっと短くなっちゃいました。ゴメンナサイ。
電車のドアが閉まり、動き出したので、俺は再度掲示板を確認する。
3056:あ、そうだそうだ、俺、バーサークのギルド所属だけど、ギルド長がギルドチャットで叫んでたわ。
3057:その報告ってここでするもんじゃなくね?
3058:そうだぞ、ここはNPCの事だけだぞお前みたいな部外者は黙ってろ
3059:3057、3058≫まぁ待てって、俺が書いたのはNPCに関することだからだぞ
3060:なん……だと……
3061:それは誠か!?
3062:教えてくれ!
3063:叫んでたっつても、テキストチャットだから分からんが、ギルド長、カーズがあのNPCと対戦したんだとよ
3064:!?!?!?
3065:結果は!?勝ったの!?ついに俺たちの救世者が現れたの!?
3066:結果は……
逃げられたんだとよ
3067:???
3068:どういうこと?
3069:実力的にマズいとかで逃げられたとか?
3070:あいつの強さならありうるけどなぁ……
3071:3070≫まだいるフウまるご本人。
せっかくだからカーズを知らない方々に解説どぞ。チャットの内容は終わったら言うから
3072:よっしゃ俺のターンキタァ!!!
まずカーズは[斧使い]の称号持ち。多分だけど普通に一番強いと思う。たまにやられるけど
3073:そのやられるってのは誰にやられるん?
3074:3073≫それが殆ど情報がないんだよ。なんかそこら辺のフィールドで戦ってキルされるというよりはカーズ自身が誰かとお遊び感覚で戦って負けたのをギルドのチャットで言って、それが掲示板に流れたって感じの情報ばっかだから、キルされても、誰にキルされたかが分からないんだよなぁ……
3075:なるほど。つまり俺たちに知る由はないと
3076:3075≫諦めましょう。私たちはこんな高度な世界の情報はおろか、立ち入ることすらできないのだから(泣)
3077:終わったっぽい?じゃあ説明の続き始めるわ。
まずカーズが戦った時間帯が21:40過ぎ。
そしてチャットが来た時間帯が22:00。ここから導き出される答えは……
3078:急に推理始まった
3079:やっぱり、カーズの圧倒的な力に逃げ出さざるを得なかった?
3080:3079≫不正解や
3081:カーズが強面だったから本能的に逃げた?
3082:3081≫確かに強面やがそれで逃げ出してたらイベントの頃には全員強面に設定してるやろ
3083:分かった!時間過ぎたからだ!
3084:3083≫正解!!ちなみにカーズは目の前で消えた時、攻撃したけど逃げられたので怒りのあまり俺がログアウトするときもまだログインしてた。ちなみにその時は朝の2時ね
3085:ストレス発散のためのゲームで貯まるストレスをまた発散……なんかこう、うん。
3086:3085≫実際ゲームってそんなもんだし、運営側の狙いもそういうもんだろ
3087:そうだな!俺たちはエンジョイ勢!ゲームを楽しめれば別にどうでもいいのよ!!
そんな決め台詞を最後に、目的の駅へと着くころに掲示板を閉じ、電車のドアが開くのを待つ。そして、出ていき真っ直ぐ仕事場へと向かう。
今日の仕事は特段忙しいわけでもなく、いたって普通な感じだったが、1つだけ違うことがあった。それは、部下たちが熱心に仕事に取り組んでいること。今までやることなどせず、俺たちに任せられそうなことがあればすぐさま渡してくるような最低にも近い人たちが、今、自分の力で仕事に取り組んでいるのだ。おそらく先週末の会社全体のモチベ上昇に応えてくれたのだろう。そんなことだけで俺は嬉しすぎて、会社で1人、思いっきり叫びそうになった。
そんなことより俺が本題として出したいのはグリードからの連絡だ。
連絡としてきているのはNPCの第3形態について。おそらくルリやカーズとの戦闘を見ていてイベントでの多人数戦だと結構苦戦すると思われたのだろう。実際そうなりそうだからありがたいんだけども。
最初に話題として出てきたのは第3形態のコンセプト。実はこれに結構悩んでいる。
どうしてかと言えば、第2形態、[狂乱の宴]のコンセプトは「狂戦士」をイメージしたものだけど、それの上を考えればどうなるのか。という話。
思いついたもので「神」を挙げたら、[神化]に近くなるのでデメリットが大きいし、スキル名からして揃えないとゲームバランスが良くないので却下された。まぁ、もし違っていても性能がほぼ同じのデメリット0だったら不公平感があるし……
その後も何個か候補を挙げようと頑張ったものの、結局何も思いつかなかったので、「そのまま強くする感じで!!」って送信したらオッケー出てきた。悩んだ時間、返して……
そのまま次に話題に出てきたのが、スキル名。そもそもそれが決まらないとデザインやら色々決めにくいしね。狂乱の宴の上なので、もっと狂ったイメージを持たせるようなスキル名を考える。考える過程で出てきた名前はちょっと恥ずかしくなるので伏せておくが、最終的に決まったスキル名は狂気と私。意味は……ちょっと……言いにくいけど、狂った末にその狂気が一緒になった……的な……うん。恥ずかしい!!!
どうせ意味なんて気にしないだろうプレイヤーしかいないことを願って次に移る。
次はエフェクト。前回決めたエフェクトより一層しっかりしたものを作らないと、せっかくの第3形態の意味がなくなってしまうのでしっかりと選ぶ。
まずは前回と同じ目が赤く発光するエフェクト、黒い炎のようなエフェクトに加えて、ルリの目元の模様が変化したように、顔に何か変化を入れたいと思い、右目部分に3本の縦線を入れてもらうようにする。それに目が発光するだけでなく、充血させたように赤くしてもらい、体が靄に呑まれているかのように髪の毛や服の動きをそのエフェクトと同化させるようにする。これ以上やると俺の精神が羞恥心によりボロボロに崩れそうなのでこれでオッケーということにしておいた。
最後に決めるのは、スキルの仕様。前回のTPを犠牲にSTRを上げ、敵を強調表示する効果に加えAGIも上げるようにし、ルリとの戦闘で失った腕からこれからも失う可能性を考え、回復速度が大きく上昇しステータスの上昇幅も50%まで上げてもらえることになった。その代わりにTPを50%失うのに加えて、発動の際にHPも残っているHPの3割奪われることとなった。
そうして決まったことでグリードは「頑張るわ」のメッセージを最後にスキル開発に取り掛かり始めた。
時計を確認すると、20:10。つまり今日はプレコロにログインできないので、PSPをやる。
ルリの広範囲攻撃を避けたり、カーズのあの素早い対処を上回る速さで攻撃を出来るようにしたり、やるべきことがとにかく山積みだ。
「いっちょやってやりますか!!」
意気込みに声を上げ、ギアを装着しすぐにゲームを起動する。
18話まで会話と文の間に改行をいれたり、文が続きすぎないよう改行を入れる等の修正を行っています。(2025年5月30日現在)
19話より修正が入っていませんのでこれより先に進む場合は少し読みにくくなっているかもしれません。




