デバフがあっても状況次第では問題なく戦える
久々に連続投稿できた。ワーイ
「第二ラウンド……か。」
女性は俺の言った言葉に少し不満げに考える仕草をするように目線を上に向ける。
「第三ラウンドの間違いじゃないかな?[荒振神]」
その声と同時に女性の雰囲気が変わる。風が吹いてもいないのに服がなびく。
さらには蒼に光る目がより深い蒼に光り、目元の赤い模様がさっきよりも広く枝分かれしている。
女性は元々使っていたスキルかのように当たり前に空中を浮遊する。
「[流星群]」
そのままスキルを唱えたかと思えば、灰色に覆われた空が突然明るくなる。覆っていた煙が無くなり、青い空が広がったかと思えば、スキル名の通り、大量の隕石がこちらに飛んでくる。
オレンジに光り、燃えながら向かってくる大量の隕石。もしこれがこちらに来なければ絶景とでもいえるだろう。それでもこちらに来ることは変わりない。地面を抉り、辺りを燃やし何発も地面に当たった時の衝撃の強さで爆破する。
右左に避けているものの、避けたところですぐに範囲外にも逃げられず、逃げれば逃げるほど逃げ道がなくなる。
「じゃあ、こっちだ!!」
そう叫びながら俺が向かった先は、勿論女性のもと。本人が発動したのだからわざわざ当たるようにはしない。それに攻撃が当たって運よくキルされてくれればスキルの効果は中断される。
「ラアアア!!」
自分の出せる限界の力で思いっきり槍を振り下ろす。技術なんて今はいらない。今は目の前にある勝利を目指してがむしゃらに攻撃するだけ。
女性は攻撃に対して防御魔法を展開する。攻撃をして一撃で壊れたわけじゃなかったが、俺はそこに力いっぱいに何度も攻撃を繰り出す。連撃に耐えられず割れた防御魔法は女性をほんの一瞬だけ守るも、その守りは意味を成さず、女性は叩き落とされる。
「[雷霆]!!」
落ちながら女性はスキルを放つ。枝分かれし広範囲を覆う雷の弾幕。遠くから見ればどんな景色になっているのやら。だが今はそんなことを考えるタイミングではない。
「フゥッ!!」
槍を即座に手放し足場代わりにする。
蹴りだし体を逸らしながら雷を数発躱す。
彼女を目の前に一発腕に直撃して、右腕を失う。
「終わりだ。」
図太く、低い声で笑いながら右足の蹴りを脇腹に叩きこむ。
大きな音と舞う煙が目線に映る。そしてその奥に勝利を告げる、赤い「DEAD」の文字が表示される。
「ふぅ……終わったぁ……」
心の中で安堵の声を広げる。
ゆっくりと歩き、落ちた槍を拾う。
「ありがとな。」
お礼を言っても何も返ってこないが、無性に言いたくなったので言っておく。
「[解除]」
[狂乱の宴]を解除していないので解除する。
「ウッ……!」
目線が暗くなり、画面の隅が黒塗りとなりところどころ血のような飛沫が散らばっている。この部分は完全に見えない。
「今は21:00……戦闘開始から40分か……」
つまり21:40までこの状態は続く。それに欠損した部位は30分ほど治らないしHPも1秒に1しか回復しないのでかなりの時間まともに戦えないと言ってもいいだろう。
こんな状況を見れば俺を倒す自信が無くても今ならできるとたくさんのプレイヤーが寄ってくる。
「覚悟!スピアァ!!」
最初にやってきた刀を武器に戦う人は前戦ったフウまるとは違い、スキルというより自身のSTRで戦うスタイルなのだろうか、駆け引きというよりゴリ押しすれば勝てる!といった感じがする。
そんな感じの相手には負けない。ゴリ押しは対処法さえわかれば簡単に封じ込める。
例えばタックルしかしてこない闘牛がいたとしよう。こういうのには横に避ければ牛も対応しにくいし、速度に身を任せているので側面から攻撃すれば簡単に倒せる。まぁ、だからと言ってずっと側面から攻撃すると、それに対応するために首を曲げたり、急停止して懲りずに至近距離でタックルされるから対処するにも、頭上を飛び越えるとかのバリエーションがないとね。
刀持ちのプレイヤーはさっきも言った通り、ゴリ押ししていて基本的に素振りみたいなことをしている。
こういうのは片腕でも対処しようと思えば対処できる。
まずは射程外から一突き。こうすればゴリ押しする人は焦って一直線に突撃して反撃の一太刀を浴びせに来る。あとは闘牛を対処するのと同じ。
横に避け側面から攻撃。俺は出来るだけ楽に対処できるよう、槍を足に引っ掛け転ばせたところに足を乗せ、身動きを取れなくさせたところで「さようなら」と言い、二度と向かってこられないように軽く脅すつもりで話した後、槍の刃先近くを持ち、滅多刺しにする。
歩いている間、次に会ったのは、短剣を武器に戦う人。
AGIに多く振っているのか、速攻仕掛けてきた。
連撃に対処してピンチを装っているが、実際は斬り方が規則的すぎる上に、斬り込む場所が胸元なので、実に対処がしやすい。
「今だ!!」
短剣を持っている人は俺が手こずっているように見えるのか、突然叫ぶ。すると、奥から矢が飛んでくる。もともと弓使いいたの知ってたけど。
矢は頭を狙って飛んできているので、頭を傾けてヒラリと避け、足を払い転ばせたところで槍をさっきと同じように持ち、首元を斬る。「DEAD」の表示が出たところで槍を背中に差し短剣で戦っていた人の体を持ち、弓使いのもとへ突撃する。
気づいた男は焦って一目散に逃げるが、俺から逃げられるはずもなく
「ヒイイイィィィィッッ!!」
声を上げながら俺に背中を斬られ、倒れる。
しばらくそんな自信に満ちた対処のしやすいワンパターンプレイヤーが多くて助かった。
St11にそんなプレイヤーばっかいていいのか?
+++
腕がさっき治り、視界も完全に治ったので時刻はだいたい21:40分。
全快になったので、さっきのような手負いならキルできると思っていたプレイヤーは完全に来なくなってしまった。
誰か来ないかな~と思いながら歩いていると、後ろ側から足音が聞こえる。
「フッ!!」
突きを食らわせたが、その頃にはもう一歩下がられていた。
そこに映る姿は顔が黒くボロボロな包帯で覆われ何本、何十本と包帯の端がヒラヒラとしている。足には罪人が付けるような重りがついている。体格がとても大きく、纏っている黒い鎧の隙間から見えるほどのすっごいゴツゴツとした筋肉が見える。恐らく男だろう。顔が見えないから断定はできないけど。
「なるほど。「庭師」がやられたのも納得がいく反応だな。」
男と思えるようなとても低い声で、包帯で少し籠った声でそう話す。
「庭師?誰だそれは。」
俺は思ったことをそのまま話す。
「俺の可愛いメンバーさ。俺はギルド「バーサーク」のギルド長カーズだ。よろしく。そして死ねェ!!!」
男は殺気の無い姿から突然、剝き出しの殺意を放ちこちらへ攻撃をする。男の使う武器は大斧。地を大きく抉るその力からは想像もできない程の速さ。反応し避けこそしたものの
「ガルアァァ!!!」
覆われている包帯を破って見えそうになるほど大きく口を開き、籠った低い声で叫び斧を思いっきり横へ振る。辛うじて避けたものの、かなりギリギリと言ってもいいのだろうか。
「オ゛オ゛オ゛!!」
斧を竜巻のように回しながら振り、すかさず攻撃してくる。流石の攻撃量に一度退かざるを得なかった。が
「ア゛ア゛アァァ!!」
そんな暇を作らせないように突撃し斧を振り上げる。これも何とか避けた。
体勢が安定していたので反撃に突きを繰り出し、横に振ったり、振り上げたりしたが、重そうな斧を器用に動かし全て防がれる。
包帯を巻いていてる間から少しだけ見える口元が笑っている。
「ハッ!!」
俺はそんなこと気にせず攻撃を続けるがそれでもカーズには攻撃が通らず、むしろ攻撃なんて来ていないかのような余裕を持っている。
それに俺は無意識に顔をしかめ、今まで以上に全力を出すべきだと、そう思ったのだった。
最後の方、どんなキャラ出すか悩んだんですが、展開を考えた結果、カーズになりました。
「男なのだろう」とかもしかしたら女性なんじゃ……?みたいな書き方になっちゃいました。男です。
彼は顔を包帯で覆われていますが、頭装備としてついている包帯にあるスキルで視界が確保されているのです!!




