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14浪生転生記~異世界にいる今、自由を求める~  作者: フィッシュスター
第六章:世界と呪いの森

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第62話:最初の同盟

 調停者。


 まだ姿を見せぬ調停神から力を受ける者。


 調停者に選ばれる基準は調停神にしか分からない。


 世界に数人いる調停者はそれぞれ調停すべき場所がある。


 私——ルーナはこの呪いの森の調停を任された。


 私には生まれた時の記憶が無かった。



 気付いた時、この森にいた。


 何処からか声が聞こえて来た。



 ——調停せよ。


 ——この呪いの森を。


「誰!?あなたは誰!?」


 ——調停神。


 そこで世界の真実を全て教えられた。


 さっきラーファルトらに話したことだ。



 ——お前には力を授けている。


「力?」


 ——調停に必要な力だ。


「.....調停って何をするの?」


 ——この呪いの森を守護せよ。


「.....守護?」


 ——ああ、いずれ分かる。


 ——その日まで待て。


 ——世界樹の根の暴走まで。




 ーーー




 これが約五百年前の話になる。


 それから時は経ち、三ヶ月前へ遡る。



 森に一本の柱が突如として現れた。


 恐らくその柱が世界樹の根なのだろう。


 世界樹の根からは魔物が出て来ていた。


 呪いのある強力な魔物だった。



 なんとか倒して世界樹の根を除去した。


 だが、異変は止まらなかった。



 次の日、別の場所に世界樹の根は現れた。


 その日もなんとか除去に成功した。


 次の日も、その次の日も世界樹の根は現れた。



 そうして二週間余りが過ぎた。


 流石の調停者の力でも二週間になると肉体的に疲れて来ていた。


 その時.....ミクロスの者たちが助太刀なな来た。


 だが、私はそのミクロスの者を攻撃しようとした。


 疲れもあるだろう。


 世界樹の根から出て来た魔物だと錯覚していたのだ。


 だが、攻撃はできなかった。


「調停の技」


 調停者にのみ使える技。


 ——今後、調停者に利益をもたらす者にその効果は発動しない。


 ミクロス族は初めての調停の協力者となった。



 ーーー



「これが今の状況だ。」


 ラーファルト、ミル、ジェットのそれぞれが頷いた。


 それを見てルーナは話を続ける。


「そして、調停の技が発動しない対象がまた現れた。」


「ラーファルト・エレニアだ。最も、覚えていないだろう。」


「え、あ、はい。覚えていません。」


「それは仕方がない。だが、調停の技が発動しなかったことから、ラーファルト・エレニアが私に協力するのは確定的になった訳です。」


「おい、ちょっと待て。」


 ジェットが横槍を入れた。


「この話とラーファルトの記憶に何の関係があるんだ?それに、この話自体に根拠もない。」


「呪い。」


 ルーナが静かに呟いた。


 その一言に皆が静まる。


「呪いが証拠だ。」


「呪い?何の呪いだ?」


 ジェットがそう問い詰める。


「お前たちが戦った魔物に呪いがあっただろう?」

「ええ、あったわ。」


 今度はミルが答えた。


「あれは世界樹の根から出て来ているやつだ。」


「じゃあ、仮にこの話が事実としてラーファルトの記憶と何の関係がある?」


「いいだろう。その話をする。ラーファルトの記憶喪失は呪いだ。」


 その言葉にジェットとミルは考え込む。


 ミルは普段考えないタイプだが、己にとって大切な人であるラーファルトの危機故、考える。


 大切な人の為に何ができるかそれを考えた結果、自身も思考することを答えとした。


「じゃあ、どうしてラーファルトは呪われているのよ。」


「それは分からない。だが、その鍵を握る黒幕がいる。」


「どうしてそれが言い切れる?」


「現在までに世界樹の根の出た箇所では六つの円が描かれた。今、七つ目だ。」


「円.....」


 ルーナの回答に対してジェットもミルも考え込んだ。


 そして、同時に答えを出す。


「魔法陣ね。」

「魔法陣か。」


「そうだ。恐らく何かを召喚しようとしている。その召喚者ならば何か知っているだろう。あるいはそれが呪いの発信源であるかもしれない。」


「呪い.....か.....」


 ジェットがそう呟く。


「さて、ここまでが私の話だ。」


 そうしてルーナがまとめに入った。


「そして、私から提案なのだが協力体制を結ばないか?」


「.....俺たちはラーファルトの記憶を取り戻すために用がある.....お前たちはラーファルトの力を借りてそいつを撃破。利害の一致か。」


 ジェットはそうルーナの言葉を先に言う。


「そうだ。」


「断る理由はないな。」


 こうして、呪いの森で最初の同盟が結ばれたのである。

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