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第58話:妖精族

『現在40体。』


 よし、準備を始めるか.....!!


「ミル!俺の後ろの敵を倒してくれ。速度の出る技でだ。」

「ええ!分かったわ!」


 そう答えてミルは抜刀の構えを取る。


 その集中力は凄まじいものだ。


 さて、俺も準備するとしよう。


 《ロックショット》

 50個あればいいだろう。


 敵に向けて一斉に放つために技を生成する。


 無論、まだ放たない。


『現在45体。』


 あと5体だ。だが、幾つか失敗しても大丈夫なように55体ぐらいにはしたいな.....


 《ウォーターガン》


 ロックショットよりも更にコントロールのしやすいウォーターガンも生成しておく。



 そして.....

 《ウォーターソード》


 俺も斬り込むとしよう。


『現在50体。』


 まだだ.....まだ待て.....


 魔物は近付いて攻撃をしてこようとしている。


 《ウインド》


 だが、俺は殺さない。


 今はまだ倒さない。ウインドで離れさせている。


『現在52体。』


 もうすぐだな.....


「ミル!俺の合図で動きだせ。」

「ええ、分かってるわ。」


『現在54体。』


 あと.....少し.....!!


 まだ、まだ待て.....!!


『現在55体。』


「今だ!いけ!」


「ガルス流急手・改」

 《速光剣》


 ミルが技を放つ。


 急手の光剣を改良し、更に速度を高めた光剣速。


 威力は落ちるが、十分だ。


 速度は威力も底上げする。


 無論、全員が使えるわけではない。


 だが、ミルは天才肌の剣技を持っていた。


 バースが先日見せた、奥義・改。


 そこから着想を得て、一度で成功させてみせたのだ。


 この天才肌にはまだ、ほとんどの者が気がついていない.....


 ミルが光のように早く動き、敵はほぼ同時に処理される。



 一方、ラーファルトも同様に動いていた。


「クリス流(つらなり)


 《魔速剣(まそくけん)


 クリス流は魔術師が使うのに向いている剣術である。


 無詠唱魔術師となれば、その強さは格段に上昇する。


 人並み以上の踏み込みに魔術を乗せた。


 今回であれば、《ムーブドウインド》を同時に使用している。


 これにより、ガルス流の光剣。また、ミルの使った速光剣をも上回る速度を実現した。


 無論、これはラーファルトの膨大な魔力と無詠唱魔術があったからである。


 ミルと同じく光のように動き、魔物をほぼ同時に処理する。


 たが、ラーファルトはそれだけにとどまらない。


 《ロックショット!》

 《ウォーターガン!》


 この二つも同時に操り、自分たちの討ち残しそうな魔物をすべて処理した。


 これらの動作が終わり、ラーファルトとミルは動きを止めた。


 ほぼ同時に倒された魔物は同様に、ほぼ同時に崩れ去る。



 ドォン.....!!


 轟音が響いた。


 55体もの魔物を同時に倒したことにより呪いの反動性が機能した。


 ジェットがボスの魔物を一刀両断にしていた。




 ーーー




「呪いの反動性によって敵が弱まったんです。」

「なるほど.....呪いの反動性.....」


 ジェットがそう俺の言葉を繰り返した。


 魔物を倒し、余裕もできたということで、今は反省会だ。


 もちろん倒した魔物を調理して食べている。


 この魔物、意外と美味しい.....!!


 弾力があって、肉に脂がしっかりのっている.....!!


「おい、聞いているのか.....??」


 あ、ごめんなさい.....


「何も聞いてなかったわ!」 


 そりゃ、ミルは聞いてないわな.....


「はぁ、いいか?もっとあのレベルを迅速に倒せるようにはしたいって話だ。」


「そうですね.....これからあのレベルの敵は早めに倒したいです。」


 まあ、経験もあるだろう。


 慣れれば慣れるほど敵を倒すのは容易になる筈だ。


「パーティーの連携をもっと良くすることが大事かもしれませんね。」

「そうね、ラーファルトとなら連携は取れるけれどジェットとは難しいわ。」


 過ごした時間の差もあるだろうな。


「ああ、弱い敵の時は共闘の練習をするのもありだな。」


 ふむ、それもいいだろう。


 いずれ、その連携を強い敵に使うのが理想だ。


「方針はまた戦いながら考えましょう。基本俺は後衛。二人は前衛を.....」



 ん?.....なんだ.....??


「何かいるな.....」


 一瞬俺の魔力探知が反応した。


 かなり微細だ。


 が、確実に何かがいる。


 潜伏している。


「二人とも警戒してください。」

「ああ、分かっている。」

「ええ。」


 よし、警戒は万全。


 どこだ?どこからくる.....!!


『全方位から殺気を感知しました。戦闘サポートモードへ切り替えます。』


 そのSariの音声と共に俺も全方位から魔力を探知した。


「囲まれている。」


 潜伏をやめたか.....


『攻撃が来ます。』


 《ロックシールド!》


 土壁で防御を固める。



 プシュン!!



 攻撃が飛んできた。槍での攻撃だ。


 だが、その攻撃はラーファルトたちの目の前の地面へ突き刺さる。


 攻撃が当たらなかったというよりは当てなかった感じだな....



 刹那、風がラーファルトらを襲う。


 木の葉が巻い、ラーファルトの目の前で形作られた。


 一度瞬きをするとそこには一人の女性が立っていた。


「我はこの森の調停者、妖精族のルーナである。」


 妖精族.....??


『世界でも極少数しか存在しない人族です。五大人族にも数えられていません。』


 五大人族....人族、エルフ、獣族、ドワーフ、竜族のことだったか。


 それに対して五大魔族が、ミクロス系、オアフ系、ライドル系、エルフォ系、魔族の筈だ。


 その中に数えられない程の少数人族か。


 なんかめっちゃ昔の大戦の負けたやつが魔族、勝ったのが人族で分類されてたな.....


「何で俺たちに攻撃を?」

「質問は私たちの後にしてもらいましょう。」


 私”たち”か.....


「逃げようとしても無駄ですよ。世界で竜族の次に強いとされる種族。ミクロスの者たちがいるのですから。」

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