第57話:呪いの反動性
「ガルス流進手」
《斬》
ミルが次々と出てくる敵に対し斬りかかっていく。
「ガルス流奥義」
《一閃》
そして、できた隙を.....
《ロックショット!》
俺がカバーだ。
が、これじゃ時間も体力も取られるな.....
敵の弱点とかないのか?
『現在分析中です。引き続き戦闘を継続して下さい。』
よし、Sari!そっちは任せる。
俺の死角のカバーもなしでいいから全力を注いでくれ。
『了解しました。』
死角のカバーは魔力探知でも行えるし、大丈夫だろう。
《ウォーターガン!》
敵の頭を三つ連続で貫いて倒す。
やはり初級の魔術は扱いやすい。
威力は落ちるが倒せる。ある程度の敵までは初級で十分かもしれないな。
最もそれはラーファルトのみである。
莫大な魔力が威力を底上げし、初段ほどの威力まで増す。
並の冒険家ならば上級を使わなければ倒せない魔物だ。
「ガルス流龍麟」
《黎銘剣》
…..威力に全振りした剣技。
次の敵の攻撃を回避する余裕はない。
いや、回避するつもりがないのか.....
《ウォーターガン》
ミルの隙に対して反応してくる複数の魔物に対して魔術を放つ。
もちろん全部頭を貫いて倒した。
「せめて回避する余裕ぐらいは残して下さい。」
「まぁ、ラーファルトが倒してくれるし.....」
はぁ.....信頼度が上がるのはいいが.....
「油断しないでくださいよ。」
「ええ、微塵もしていないわ。」
ほんとかな.....
『敵の弱点がの分析を完了しました。』
よし、どんな所だ?
『主に二種類。一つ目がジェットの戦っている魔物を倒すことです。この魔物の魔力によって多くの魔物が吸い寄せられているためこの一体を倒せばあとは楽に終わると考えられます。』
吸い寄せられる?魔力にはそんな特徴が?
『この魔物特有の呪いです。何年もの間をかけて洗脳するようなものですので、影響は現在ありません。また、禁忌魔術の一種とする説もあります。』
へぇ.....で、もう一つは?
『吸い寄せられた魔物を五十体ほぼ同時に倒して下さい。』
五十体同時.....!!??難しいな.....
で、それはなんでなんだ.....??
『この呪いには反動性が付与されています。それにより五十体同時の処理によって敵に呪いを返します。』
呪いを返す?
ああ、フィックス先生もそんなこと言ってたな.....
呪いには反動性があるって。
俺って結構忘れてるんだなぁ.....
確か.....
〔呪いの反動性とは、同じ効果で呪い返すということではありません。そして、私たちが何かをするわけでもありません。呪いや魔力の力の源から逆に自身の魔力や生命力を吸い取られるのです。〕
って言ってたな.....
フィックス先生にはやっぱりたくさんのことを教わってたんだと実感できる。
ま、忘れてるのだが......すみません.....
何はともあれ、フィックス先生が言ってたなら大丈夫だろ!
『私は信用されてないのですか!?』
よしらそんな声は無視して.....
「ミル!一旦攻撃をやめろ!」
「え!?」
困惑しながらも攻撃を止めて、ミルは俺の方まで下がってくる。
うん。信頼してくれてありがとう。
「どうして攻撃をやめるのよ。」
「今からこいつらを五十体同時に処理する。」
「え?」
《ウインド!》
魔物を減らして五十体同時処理がしにくくならないように近付いてくるものはウインドで吹き飛ばす。
「ん?五十体.....同時?」
「ああ、五十体同時だ。」
「はぁ.....へぇ.....えぇ.....なんで?」
だよなぁ.....
「ま、それで敵が倒せるんだよ!」
「なるほど!倒せるのね!分かったわ!」
ありがとー!ミル!
理解があって助かるよ。
Sari!今半径30メートル以内に何体いる?
『.....28体です。』
やや不機嫌そうにそう答える。
信頼してないわけじゃないんだよ.....ごめんって。
『.....魔物が増え次第、随時お知らせします。』
相変わらず不機嫌だ。
こんな人工知能にも機嫌ってあるんだな.....
さてと.....
《ビルド!》
敵を減らさないように攻撃を極力やめる。
そのためには防御を固めなければならない。
こっちがやられたら元も子もないからな。
『現在40体。』
よし、準備を始めるか.....!!
ーーー
ジェット視点
この敵.....面倒だな.....
「荒野独流」
《獄極斬》
結構な威力のはずだが.....こいつちょっと傷がつく程度なんだよな.....
その代わりに動きは鈍いしやられはしない。
最悪逃げきれそうだな。
だが、剣士としては逃げるわけにもいかない。
もう、二度と逃げない。
荒野の覇者から撤退した。
もう、逃げない。かつての仲間に心で誓ったことだ。
「荒野独流」
《煉獄龍麟斬》
先程より威力が増す。
確実に傷口を深くできている。
このまま.....押せ.....!!
「荒野独流」
《黒連龍撃》
10回などではない。
100回などでもない。
永遠と.....敵に攻撃を読まれ、剣を止められる。
または、敵を倒す。
それまで高速で剣をふるう技。
黒連龍撃。
その速度は技巧級ガルス剣士の光剣よりも遥かに速い。
1000回。
今、1000回目の剣をふるった。
だが、魔物は倒れない。
その遅さゆえに止めることは出来ずとも耐久力を武器として耐え続ける。
圧倒的にジェットが格上。
だが、それでも魔物は倒れない。
2000回に差し掛かろうとした時だった。
パシュ.....!!
突如敵の耐久力がなくなり魔物の体は真っ二つに切られた。
もちろん、魔物は絶命していた。




