第56話:森での初戦闘
「おお、木が沢山あるねぇ。」
「そりゃあ、森ですから。」
「......なんの会話をしているんだ??」
はい、私もそう思います.....
「森抜けに掛かるのはざっと二ヶ月ですか.....」
「ああ、相当過酷になるぞ。」
といっても今のところ魔物との遭遇はない。
あったことといえば.....
ーーー
「あー!あんな所に変な生き物が!」
ん?ミル.....??
「へへへ、触っちゃお。」
『危険を察知しました。触ると毒を噴出します。』
何.....!!??
「ミル!触るな!!!」
「分かってるわよ!」
触ろうとしていたくせに.....
「ロードリングがあるのはあなただけじゃないんだからね!」
ああ.....確かにそうだ。
なら大丈夫か.....
「でも、油断は禁物ですよ。常に注意して動いて下さい。」
「分かったわ。」
ーーー
っていうことがあったぐらいか。
ちなみにこのときジェットは黙って見ていた。
ジェットは過ごして分かってきたことがある。
いや、逆か、全く分からない。
何を考えているのかが全く分からない!
喋る時は喋るけど無口なタイプではあるし.....
あー、わからねぇ....読めねぇ.....
ま、悪いやつではないしいいんだけど.....
ただ、段々と本性は分かってきているな。
『前方から危険を察知。防御して下さい。』
いや、それは俺の仕事じゃない.....!!
「ジェット.....!!」
「荒野独流」
《壁山黒》
「こいつは俺に任せろ。」
ああ.....
「囲まれたようですね。」
「ええ、森での初戦には丁度いいわ。」
…..ボスはジェットの戦っているやつか。
相手は硬そうだな.....時間はかかるが負けはしないだろう。
ならば、俺は全力でミルのサポートを.....!!
『戦闘サポートモードへ移行します。及び、ミルのサポートを最優先項目に設定します。』
ああ、Sariも頼んだぞ.....!!
『先に注意しておきますが、火の魔術は使わないようにしてください。』
ああ、燃え移るからな。分かってるよ.....!!
「いくぞ!ミル!!」
「ええ!やるわよ!!!」
「ガルス流進手」
《斬》
前方の敵を斬撃が捉えた。
が、流石に硬い。
「荒野のやつの比ではないけど.....ミル!反撃に気をつけ.....」
「おりゃああああああ!!ガルス流!」
聞いちゃいねぇ.....
俺がしっかりサポートするしかないか.....
「ガルス流重」
《十連》
一度で通らないところに10回打ち込んで倒そうってか.....
でも、もしそれで倒せなかったら.....
カキイン.....!!
十連目.....傷はつけど敵は倒れない。
「ぐおあああああああ!!!」
魔物はミルへ襲いかかる。
…..が、ミルは怖がってさえいないな.....
俺に信頼置きすぎなんだよ.....
《デスマジックパワー!》
魔術は敵の手を消し飛ばす。
あるはずの手が消え、攻撃は風のみを残して空を切った。
魔物は困惑しているだろうな.....
『後ろから攻撃です。』
《タワークラフト!》
敵の魔力を読み、それに合わせてタワークラフトで顎を打つ。
大体これで気絶させることが可能だ。
『お見事です。』
どうもどうも。
それにしても.....
「数が多いな.....」
「ええ、強いのはジェットの相手してるのだけね。」
数と質、どっちも揃ってるってわけだ。
やっぱ森はやべえな。
だが、奥地に入ればこれも当たり前かもしれねえのか.....
「ここで立ち止まってられねえぞ!ミル!」
「ええ!ラーファルト!ギアあげていくわよ!!!」




