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14浪生転生記~異世界にいる今、自由を求める~  作者: フィッシュスター
第四章:まだ旅は始まったばかりだ
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第47話:まだ旅は始まったばかりだ

 ダインの隙を作る.....


 隙を突くのではない.....作るのだ.....



 どうすれば隙を作れる.....



 何をすれば.....!!



『左へ避けて下さい!』


 《ムーブドウインド!》



 もう一回攻撃が来る.....!!



 上へ.....!!


『上へ避けて下さい!』


 《ムーブドウインド!》



 反応した.....??



 今のは反応できたのか.....??



 確実に上へ行く必要性を判断した.....



 どうして.....??



「先程から逃げるばかりだな.....本当に小賢しい奴よ.....はぁ.....」



 息があがってきている.....!!



 疲れてきているのか!



 魔術を使う俺とは違い、体術を主に戦うのだ疲れるのは当然だろう。



 つまり.....スピードが落ちている.....!!




 ならば.....俺はその落ちたスピードに反応しろ.....!!




 ジェットは相変わらず遠距離攻撃を受けているな.....


 だが、気のせいか先ほどよりも余裕があるように見える。



 彼なら俺の作る隙を突けるだろう.....




 ここで.....決める.....!!




 来た.....!!



 が、スピードは落ちているな.....!!



 右だ.....!!



『左へ避けて下さい!』



 いや、右だ.....!!



 回避の為に動くのは左だろう。



 だが、回避と攻撃を同時に行う為には右へ避ける。



 魔術の攻撃が通らないならば.....直接仕掛ける.....!!



 その為には右側に移動し、右腕に渾身の力を込めての攻撃が必要だ。



 ここで決めろ.....!!



 隙を作れ.....!!



 《ウォーターソード!》



 俺は剣術も多少は使える.....!!



 敵の思い込みを利用するのだ.....




 ウォーターソードだけでは火力が足りないな.....!!




 《デストロイフレイム!》

 《デスマジックパワー!》

 《マグウィップ!》



 今、出せる俺の最大火力で斬るんだ.....!!


 どこかを斬るだけでいい.....!!



 隙を作るんだ.....!!



 怪我を負わせろ.....!!



「はああああああああ!!!」


 ガチン.....!!



 鈍い音がして、ウォーターソードと荒野の覇者の腕がぶつかる。



 斬れていない。


 止まっている。



 腕に食い込み、止まっているのだ。




 このままでは倒せない.....!!



 意地でも斬るんだ.....!!



 《デスマジックパワー!》



 内側からの振動.....



 魔力の爆発.....!!



 そして.....



 《マグウィップ!》


 ねじ切れ.....!!




「おおおおおおおおおお!!!」



 シャキン......!!




 不意に力が入らなくなる。




 斬った。



 腕を斬り落としたのだ。




「貴様ああああああ!!!」



 残るもう一本の手で殴りかかってきた。



 が、それはもう俺の仕事じゃ無い。




「よくやった。あとは任せろ。」


「荒野独流」



 《零雷一閃(れいらいいっせん)神聖斬》




 胴を真っ二つにして荒野の覇者.....ダインは倒れた.....



「倒した....」



『荒野の覇者の生体反応消失を確認。戦闘サポートモードを終了します。』



 そうか.....



 勝ったのか.....



「おい!覇者様が.....」

「撤退だぁ.....!!」

「バカが!今攻めるんだよ!敵討ちだ!」


 敵の群勢は混乱に陥っている。



 終わらせるか.....



 俺たちは丁度真ん中の方にいるから規模を調整すれば攻撃が当たることもない。



 《デスマジックパワー!》



「うわああああああ!!」


 辺りから叫び声が聞こえてくる。



 土煙が去ったあと、そこには何も無くなっていた。




 ーーー




「ラーファルト!」

「あ!ミル大丈夫ですか?」

「それより勝ったのよ!荒野の覇者に勝ったわ!」

「とりあえず治癒魔術かけますね。」



 《ハートヒール》


 始めにミルへかけ、そのまま俺にかける。



「もっと喜びなさいよ!」

「喜んでますよ!!」



 とはいっても勝てたのはジェットのおかげだろう.....



 勝てた喜びよりも助けてもらえた感謝の方が大きい。



「ラーファルト。」


 不意に名前を呼ばれた。


 あれ?名前言ったっけ?


『ミルが呼んでいましたのでそれで知ったのではないでしょうか。』


 なるほど!


「どうしました?ジェットさん。」

「礼を言いたい。お陰で荒野の覇者を倒すことが出来た。」

「そんなっ!むしろ助けていただいてありがとうございました。」

「そうよ!ありがと!」


 ミルもこうお礼を言っているし.....



 ミルが素直にお礼を言った.....!!??



 あのミルが.....!!??



『ミルはあなた以外には普通に接していると思われます。』


 なんでだよ.....


 俺、そんな悪いことしたのか.....



 まぁ、そんなことはどうでもいい....


 よくないけどな!



「それより、怪我見せて下さい。直しますから。」

「ああ、悪いな。」


 《エクストラヒール》


 怪我の具合が俺やミルよりも酷かったため、中級の治癒魔術で治療をした。


 攻撃を庇ってくれていたのだろう。


 ありがたやーありがたやー。



「ラーファルト。お前はどうして旅をしている?」

「どうしてですか.....故郷にミルを返す為ですかね.....」

「お前帰らないのか?」

「僕は.....まぁ気が向いたら帰ります。」

「そうか.....」



 ジェットが少し考え込み、俺の方へ向き直る。


「俺もその旅に着いていってもいいか?」


 ジェットが旅についてくる.....??


 確かに強い仲間がいれば心強い。


 一緒に戦ったのだからある程度の信用もできる。


 むしろ大歓迎と言いたいが.....


「ジェットさんはいいんですか?その、何かやることとか......」


 そう聞くと懐かしむ表情を浮かべて過去について語り始めた。



「俺は昔パーティーを組んでいたんだ。」

「黒殲の獄ですか.....??」

「ああ、そうだ。」


 黒殲の獄.....三十年前に名をあげたパーティーだ。



「俺たちのパーティーも故郷を目指して帰っていた。全員年齢は十代だったよ.....」

「全員.....十代.....」


 子供だ.....この荒野を生き抜けるとは考えられない。


『あなた方は十代ですらありません。』

 

 うるさい。細かいことは後だ。


「だけど、荒野の覇者に倒されたんだ。俺を除いてな.....」

「それは.....」


「可哀想だとか思うなよ。仕方なかったんだから。これは運命なんだ。」


「.....」

 かける言葉が見つからない。


 何て言えばいいのかがわからないのだ。


「だから、お前達を送り届けてやりたいんだよ。俺の仲間の分まで.....」


「.....でも.....」


「それと、お礼もしたいしな!」


 ジェットが今度は少年の様な笑みを浮かべる。



 仲間のためか.....そしてお礼か....


「分かりました。じゃあお願いします。」

「いいのか!?」


 自分で聞いておいて驚くのかよ.....



「よろしくお願いしますね。」

「ああ、こちらこそよろしく頼む。」


 ジェットが手を差し出してきた。



 俺はその手を強く握る。



「痛.....!!」


 ミルのやつ.....今は感動のシーンだったのに.....


「どうしたんですか?」

「まだ治癒できてなかった部分があったみたいで.....」


 ああ.....


 初級じゃ足りなかったか.....


 《エクストラヒール!》


「よし.....これでなおっ.....」

「えっ.....!!ラーファルト.....!!大丈夫.....!!??ラーファルト.....!!」



「大丈夫.....ただの魔力切れだよ.....」


 久しぶりになったなあ.....魔力切れ.....



 もう動けそうにない.....



 けれど大丈夫だろう。



 俺はミルを無事に送り届けなければならない。



 だが、当のミルは強い。



 強くなろうともしている。



 そして、信頼できる仲間も増えた。



 ジェットよりも強い人などそうそう見つからない筈だ。




 まだまだ目的地は遠い。




 強い敵にも困難にも出会うかもしれない。



 だが、乗り越えられる.....



 俺たちならば。





 旅はまだ始まったばかりだ。

これにて四章完結です。


五章の連載は10月25日から始めますのでよろしくお願いします!


ちなみに、この話が番外編を含めると50話目となっています!

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