第46話:隙
手に掌印を結んだ瞬間周りは闇に包まれた.....
暗い.....
これは.....
『荒野の覇者による世界構築です。』
世界構築?
『自身の精神世界を基礎に物理世界にもその影響をもたらす技です。』
精神世界.....物理世界.....難しいな.....
『簡単に言えば超強化される世界です。』
…..簡単で絶望的な世界だな。
《深淵巨岩》
「うおっ!」
岩が飛んできたぞ.....!!
『敵の攻撃です。』
大規模だな.....魔力操作で.....
『この世界での攻撃にはすべて敵の魔力で生成されています。そのため魔力操作の隙などありません。』
嘘だろ.....!!
こんなの避けられ.....
「荒野独流」
《断魔》
おお!岩を断ち斬った.....
「気をつけろ!」
「あ、ああ!分かった。」
この世界では油断も隙もないな.....
もとからそんなもの無いに等しかったけど.....
どうやって倒すか.....
「来るぞ.....!!」
ダインの元へ魔力が集中する。
「消えた.....?」
一つの瞬きの瞬間にその姿が消えた。
魔力探知はこの世界が構築された瞬間から全方位で鳴り止まない。
使い物にはならないな.....
どこに.....
『後ろへ避けて下さい。今すぐに.....!!』
《ムーブドウインド!》
ドガン!!
この世のものとは思えない音が空気を切り裂く。
「ほう.....今のを避けるか.....」
やばい.....こいつはやばい.....
今までのこいつとは次元が違う。
全く反応できなかった.....
攻撃が掠っただけで致命傷になりそうだ.....
Sari、回避だけに集中しろ。それ以外何もしなくていい。
『既に回避に集中しています。』
おお、やはり優秀.....
Sariの指示通りに回避.....そして俺が攻撃に集中する.....
問題はこの相手の隙を付けるかどうかだな.....
『上へ回避してください。』
《ムーブドウインド!》
ドゴン!
またもや轟音が鳴り響く。
当たっていたら怖い攻撃だ.....
『右へ回避してください。』
《ムーブドウインド!》
そこに.....
《ロックショット!》
…..ダメージなしか!!
「逃げ回るのが得意そうだなぁ!」
来る.....!!
『左に避けて下さい!』
《偽弾殴》
左に.....!!
なっ…..!!??拳が.....??こっちに.....!!??
『上へ避けて下さい!』
駄目だ.....!!間に合わな.....!!
「荒野独流」
《光線斬速》
「ジェット!」
「気をつけろと言っただろ!」
気をつけても避けられないよ....!!
「あいつはフェイントもしてくるぞ!そこも考えて動け!常に次の行動を予測しろ!」
予測.....
予測するんだ.....
動きを考えておく.....
そして敵の隙を付く.....
「次で当ててやる.....!!」
《偽弾殴》
『右へ回避して下さい!』
《ムーブドウインド!》
避けるのが間に合わないならば.....
魔術の発動が間に合わないのならば.....
『上へ回避して下さい!』
常時展開をしておく.....!!
「.....っな!これも避けるか....!!」
…..よし!!
いいぞ.....!!
このまま次は隙をつく.....!!
「小賢しい.....!!」
こいつ、俺ばかりに攻撃を仕掛けてくる.....
いや、近接戦を俺とやっているのか.....
魔術師に対してそれは有効だ。
ジェットは.....飛んでくる遠距離攻撃を受け流すので精一杯か.....
恐らく俺が隙を狙えば斬り込みにきてくれるだろう.....
『上へ避けて下さい!』
《ムーブドウインド!》
《デストロイフレイム!》
「ここだ.....!!」
なっ!更にスピードが上がって....
《劉繊斬》
ガキン.....!!
金属の当たるような音がする。
生物から出る音じゃ無いだろ.....!!
「ちっ!」
「今のは.....危なかった.....」
もっと今のを続ければ.....
「おい!今の続けなくていい.....」
「どういうことだ?」
「今のではいずれカバーできなくなる。死にたくなければ隙を突こうとするな。」
隙は狙わされているということか.....
「いいか、隙を狙うんじゃない。隙を作りにいけ!」
隙を作る.....
やってやろうじゃないか.....反撃の時間だ.....!!
次回四章完結予定.....!!