第43話:助けて
それにしてもどうやって倒すか.....
持続時間はどのくらいだと考えられる?
『一分が一年と考えますと一時間以上はあると考えられます。』
魔物の寿命は長いからなぁ.....
これは厳しい.....
時間をかけるのではなく全力で潰しにかかる.....
まずは.....
《マグウィップ!》
俺の今出せる最高火力で常時攻撃.....
「ミル!こっちは俺がやる!もう一方を頼んだ!」
「ええ!分かったわ!」
よし、こっちはこのまま....
「ふんっ!この程度で.....!!」
なっ!「マグウィップ」を薙ぎ払って突進だと.....!!
《タワークラフト!》
《ソイルハード!》
「ぐっ.....」
ふぅ.....
随分と吹っ飛ばされたな.....
が、お陰で今出せる最大火力は上昇した。
『敵の遠距離攻撃が来ます。防御して下さい。』
いや、俺の防御はそんなに強く無い.....
ならば....避ける.....!!
《ムーブドウインド!》
足りない.....!!
《デストロイフレイム!》
この風圧で飛んでも.....まだ足りないか.....!!
範囲がでかいんだよ.....
《ビルド!》
「ぐっ.....!」
よしっ!あぶねぇ....!!
自分の攻撃を受けることで避けることはできた.....
元から荒野だったが、地面が抉れている。
威力も範囲も文字通り桁違い。
勝ち筋が見えねぇな.....
『勝ち筋なら一つあります。』
なんだ?
『ゼロ距離で貴方の最大火力をぶつけて下さい。』
それだけで倒せるのか?
『可能性は薄いですがやる価値はあります。敵の膨大な力が共鳴し内側から爆発を起こす可能性が高いからです。』
それなら、可能性が薄い理由は?
『敵なら、それも耐えうるかもしれないと.....』
確かに.....
こいつなら耐えそうだ.....
まあ、やるしか無いな.....
致命傷は避けつつ、接近.....
サポートしろよ!Sari!
回避のみでいい!そこに集中だ!
『了解しました。回避に特化した、戦闘サポートモードへ切り替えます。』
敵の怖いところは、技の出が早い所.....
そして、高威力、高速度。
詠唱等の必要はなく、突然と目の前に.....来る.....!!
『正面から攻撃です。右への回避を.....』
ああ、分かってる!
《ムーブドウインド!》
そして.....そのまま前に.....
『再び正面から攻撃です。上への回避を.....』
《ムーブドウインド!》
攻撃早すぎるだろ!
Sariの指示を最後まで聞けねぇ!
『左右から攻撃です。デストロイフレイムによる後ろへの回.....』
《デストロイフレイム!》
なんとか回避といった所だが.....
近づけねぇ.....!!
なあ、これ攻撃は跳ね返さないのか.....?
『魔力操作による支配は困難でしょう。敵の魔力の膨大さ、使われる攻撃の質から操れる代物ではありません。それに.....』
それに.....??
『段々と敵の様子が変化しています。恐らく自我が無くなっているかと、代わりに神の意識が流入し、より強力で、良質な攻撃になります。』
なるほど.....確かにその可能性はある.....
敵が全く喋らなくなった.....
それにいつからだ.....??
目が白目になっている.....
敵の判断力は正常のままなのか.....??
くそっ!予想ができない!
敵の攻撃の威力から不意がつけない.....
敵の目が届かない場所が.....
敵の目.....
そうか.....敵の目が届かない場所か.....!!
敵までの距離は何メートルだ?
『約35メートルです。』
これならいけるかもしれない.....!!
『ミルが戦闘不能です。』
「なっ!」
《ロックショット!》
「ミル!逃げろ!!」
『敵の全方位攻撃が来ます。』
全方位.....!!??
くそっ!マジかよ!
やば....い.....!!
ーーー
「ミル!こっちは俺がやる!もう一方を頼んだ!」
「ええ!分かったわ!」
と、言ったものの.....こいつは強い.....
さっきまではラーファルトの支援でなんとかなっていたけれど.....
私一人じゃ、耐えることができても倒せるかは分からない。
勝率は三割と言った所だが、それでもラーファルトの相手よりはマシ......
私が勝たないと始まらない!
「ガルス流進手!」
《斬》
相手は恐らく力任せの強打を放って来る.....
ならばタイミングをずらす.....!!
「ガルス流見切り!」
《合わせ太刀》
「うおおおお!!!」
相手の攻撃が来る.....!!
《共振打!》
ここだ.....!!
キィン!
鈍い音がした.....
完璧に合わせた.....
が、切れていない。
私では剣の重さが足りない.....!!
「うっ!!」
何.....!!??いきなり全身に痺れが.....
「俺の共振打をくらったなぁ。」
共振打.....!!??
『恐らくパンチをしている際に触れたものに、振動を付与する技です。』
何それ.....!!
動けない.....
敵の目の前で座り込んだまま.....負ける.....
「止めだ.....!!」
死ぬの......
嫌だ.....
嫌だよ.....
助けて.....ラーファルト.....
《ロックショット!》
横から魔術が飛んでくる。
間一髪のところで敵の腕に命中した。
が、致命傷になってはいない.....
ラーファルト.....!!
「ミル!逃げろ!!」
まだ、戦っている.....
私の方には集中できないんだ.....
ラーファルトは私のことを助けられない.....
そして、まだ私も動けない.....
嫌だよ.....まだ死にたく無いよ.....
また、あの故郷に帰りたい.....
誰か.....助けて.....
「ふんっ!」
そんなミルの頭目掛けて、無慈悲に腕が落とされる。
パシュ.....!!
ミルの頭に腕が落ちて来た.....




