第40話:三日後
三日後.....
「拠点はここら辺のはずだけど.....」
充分警戒をしながら進む。
完全武装だ。
が、変わっているのはミルが剣を抜いているくらいである。
その他の変化はほとんどない。
まぁ、魔術を使う俺のすることっていったら杖ぐらいだな。
しかし、杖はバースのところで奪われてしまった。
俺の手元にはない。
そういえば、あの時に父さんからもらった短剣もなくなった.....
誕生日に貰ったもので残ってるのはもう地図しかないのか.....
寂しいなぁ.....
にしても拠点が全然.....
「って、えっ.....?」
「ねぇ、ラーファルト.....これ.....」
うん、これは拠点跡だな.....
敵がもういない。
Sari?
『現在思考中です。』
便利屋にもわかんねぇか。
『便利屋ではありません。』
はいはい.....
とはいえ、分からないのは本当だ。
ここに敵がいない理由が不明すぎる。
拠点は荒らされていない。
争った形跡もない。
まるで敵がふと出掛けて行ったようだ。
どちらにせよこれからも警戒するにこしたことはなくなっただろう。
敵の動向が読めない。
大変危険なことだ。
「ねぇ、ラーファルト。剣を収めてもいいかしら?」
うーん....
「ええ、でも警戒はして下さい。」
「分かったわ。」
「それと、今後、荒野の覇者の敵と戦うことになったら当初の作戦通りに。」
「ええ。」
『分析結果がでました。』
お、聞かせてくれ。
『考えられる可能性としては三パターンです。』
⓵全面的な戦いの準備
⓶拠点場所の変更
⓷何者かによって壊滅
『確率的に高いものを⓵から並べています。』
確かに考えられるのはこのくらいだ。
だが、恐らく⓷は無いだろうな。
『現場の状況から可能性は低いです。が、そのレベルの何者かがいた場合危険であることも否定できません。』
もし⓷でも味方とは限らないしな.....
どんな状況でも警戒に越したことはない。
まぁ、冒険者として当たり前なのだが.....
ーーー
《ファイアーアロウ!》
ふぅ、今日も無事、食料ゲットだぜ。
やっぱり食料のためには、火の中、水の中、草の中、森の中、またはスカートの.....
おっと、変なOPが流れて来た。
危なかったぜ!
今の時代これはコンプラ違反だからな!
いや、異世界にコンプラとかあんのか?
分かんね。
『一応あると思われます。気にする人はいないでしょうが.....』
異世界ってあったかい。
『.....??』
うん。よし、夕飯にしよう。
これ以上言っても意味不になるだけだ。
『現時点で意味不です。』
なんなんだこいつ偉そうに!
『事実を述べただけです。』
ううう、こいつうざい.....
「ラーファルト!何してるの!ご飯早く食べたいわ!」
「あー!ごめん!早く準備しよう。」
ーーー
「うん!今日も美味しいね!」
「あ、ああ。美味しいな.....」
どこがだよ!不味いだろ!
舌の感覚終わってんのか.....!!??
それとも俺が現代日本の神食事に慣れすぎたのか.....?
原始の時代はみんなこんな食事だったのだろうか.....
食事の味って大切なんだな.....
この異世界で味を追求できるかなぁ.....
今後の課題の一つだ。
頑張って生きていこう.....
ーーー
「敵が拠点の一つに到達しました。」
「そうか。では、周りこんで囲むぞ。」
「了解しました。」
何百、何千という大群が散っていく。
決戦の時は近付いていた.....
ーーー
「.....さて、敵はどこまで行っているのか.....」
そう呟いて歩く足を早めた。
左手に剣を携えて.....