第39話:古の傷
《デスマジックパワー!》
「ふぅ.....」
「ら、ラーファルト......!?どうやったの.....!!??」
どうやった?そりゃぁ.....
「普通に魔術使ったけれど.....」
「そんな技今まで使ってなかったわよ!」
「だってこの技は今しがた習得したところだからな。」
「今.....!!??」
ミルさんよぉ、そんなこともあるのだよ。
『いえ、普通ありません。ちなみに戦闘サポートモードを終了しました。』
ちなみにで言うなよ.....
まぁ、驚くのも無理はないか.....
「今日は疲れたしゆっくり進もう。」
ーーー
とりあえず優先すべきは早く帰ること。
二つ目が残りの依頼。今なら、荒野の覇者の拠点。
荒野の覇者からしたら、あいつは右腕だったんだよな.....
嫌でも動いて来そうだ.....
なんて面倒な輩なんだ.....
三つ目は.....特にないか.....
とりあえず先に進むことを心掛けよう。
「ら、ラーファルト疲れないの.....??」
「え?疲れますよ。」
「そ、そう、別に疲れたとかじゃないわ。」
…..うん、疲れたんだね!
前言撤回。今日はもう休憩にしよう。
「やっぱり今日は戦闘で疲れたので、もう休憩にしましょう。」
「ええ!分かったわ!」
まぁ、ミルは俺よりも動いていただろうからな。疲れるのは当然と言ったところだろう。
それはそうとして.....
Hey..…はやめるとして
Sari!荒野の覇者の拠点ってどこら辺にあるんだ?
『.....確認している場所ならば旅のルートと三日後にぶつかります。』
三日後か.....了解だ。
「ミル。」
「何よ、ラーファルト。」
「三日後、恐らく荒野の覇者の拠点の一つとぶつかる。」
「三日後.....!!」
緊張はしている様だ。
右腕と戦ったとはいえ、基本はそいつの召喚した軍勢と戦っていただけだからな。
どれほど強い奴がいるかは分からない。
あいつのレベルが三人いればミルにも攻撃がいくだろう。
二人なら.....まぁなんとかなるかもしれないな。
「とにかく警戒をしましょう。右腕を倒された以上、黙っておく訳はない。」
『いえ、四銃士一人の時点で黙っておかないと決めているでしょう。』
細かいことはいいの!
「なんにせよ、作戦は決めた方がいいわね。」
「分かってるじゃないか!」
「べ、別に!このくらい当然よ!」
と、夜まで作戦会議を行なった。
決戦は恐らく三日後だ.....
そこに荒野の覇者がいるのなら.....
俺は必ずミルを守り抜く.....!!
それにしても、今後、こんなのに巻き込まれたくないなぁ。
そう考えて眠りについた。
『それは無理ではないでしょうか?』
…..うるせぇ.....!!
ーーー
「.....カリウスが死んだ。」
「なんと.....カリウス様が.....!!??」
「信じられない.....あの方が.....」
「覇者の権威が.....!!」
「静まれい!覇者の御言葉の最中であるぞ!」
四銃士の一人、センジュの声に皆が黙る。
センジュはどの四銃士よりも本来弱い。
しかし、あのトリックフラワーのピスターが最弱と言われる所以がある。
センジュは飛び抜けて頭が切れる。
それはもう、鬼才と言う程だ。
頭脳戦で活躍する。
特に敵が軍などの大群であるとその強さは遺憾無く発揮される。
「センジュ殿の言う通りであるぞ.....黙れ貴様ら!」
もう一人の四銃士のドラフトも皆に威圧した。
が、もう、皆黙っている。
これだけで分かるだろう。
ドラフトは馬鹿である。
だが、強い。
パワーだけならば四銃士で一番だ。
センジュとドラフト。
この二人と同時に戦い、生き残ったものはいない。
そして、それを従える荒野の覇者の実力も想像を絶する。
「我が右腕の亡き今、敵を殲滅する。軍の指揮はセンジュへ一任。この戦い.....荒野の覇者の名にかけて、負けることは許さんぞ.....!!」
「うおおおお!!!」
「うおおおお!!!」
「うおおおお!!!」
荒野の覇者の号令により、敵は召集されている。
準備は着々と進んでいた。
「裏にあいつがいるのかもしれんな.....」
荒野の覇者は昔を思い出すかの様に、左目の傷をさすった。
決戦の時が近付いていた.....
ーーー
「.....どの拠点からも覇者の部下が消えていくな.....」
謎の人影は静かに、剣を鞘に納める。
「誰だ?あいつを本気にさせたのは?」
そして、敵の足跡を追い、歩き始めた。
右目の傷をさすりながら。
不敵な笑みを浮かべて.....