第36話:今一度
Hey!Sari!今日の依頼は.....??
『.....次の三つがお勧めです。』
ん?何か間があった様な.....
まぁ気のせいか!
⓵畑の雑草取り[報酬]世界銀貨一枚/kg
⓶シュトルムホークの狩り[報酬]世界金貨一枚/匹
⓷荒野の覇者の拠点の破壊[報酬]世界金貨五枚
『ちなみに、私はHey!Sariの意味を理解していますので。』
…..そうか、こいつ記憶読めるんだった。
それにしても、なんで荒野の覇者の拠点破壊なんてものがあるんだよ.....
『四銃士の一人を撃破しましたのでどちらにせよ攻撃を受けると予想されます。』
うわぁ.....なんて面倒な.....
「結局、荒野の覇者って何なんだろうな.....」
「えっ!?」
『えっ!?』
「なんでラーファルト知らないの?」
嘘やん.....ミルさん知っとるのですかい!?
「ちょっとは勉強しないと駄目だよ.....」
「一応してるんですけどねぇ.....」
『されている勉強は魔術ばかりでは?』
…..確かに
「荒野の覇者ってのはねぇ、進化した魔物なんだよ。」
進化した?
『先のトリックフラワーのように高い知性を兼ね備えた魔物です。』
なるほど.....
「進化の原因は様々だけど、元々人よりもいい身体能力を持つ魔物が高い知性を持つんだから強いんだよ。」
「なるほどねぇ.....」
「で、荒野の覇者はその知性を持つ魔物をこの地域で取り仕切っているの。」
「それはなんとも恐ろしい.....」
そうか、知性か.....
俺は当たり前の様に高い知性を持っていたが厄介だな.....
下手をすると人間の兵士よりも強いってことだ.....
「なぁ、ミル。」
「何?ラーファルト!」
「どの依頼がいい?」
⓵畑の雑草取り[報酬]世界銀貨一枚/kg
⓶シュトルムホークの狩り[報酬]世界金貨一枚/匹
⓷荒野の覇者の拠点の破壊[報酬]世界金貨五枚
『これらをミルのロードリングと共有します。』
おお.....やっぱり便利だ.....
「なんで私に聞くの?」
「え、前、怒ってたし.....」
「......ああ!確かに!」
忘れてたのかよ......!!
なら、俺が安全なのにすればよかった.....
「うーん。じゃあ全部!」
え?全部.....!!??
それはだ.....
『ミル・ルインドによる依頼受諾を確認.....承認しました。』
あああああ.....
全部はきついだろ.....
もう、ミルには聞かない.....
と心に決めたのであった。
ーーー
「ふう.....ここか.....!!」
「うん!ここだよ!ここ!ついたー!」
とミルは何故か喜んでいた。
いや、今から雑草を取らないといけないんだけど.....??
なんでそんなにテンションが高いんだ.....?
『推察するに戦闘できると考えている模様です。』
いや、なんで.....!!??
雑草取りに戦闘なんてないんだけど!?
『しかし、四銃士撃破により追っ手の可能性もありますので警戒はするべきです。』
うーん。それは確かに。
はぁ.....本当に面倒なものに会ってしまったなぁ.....
「警戒はいいけど、戦闘は多分ないからな。」
「え?なんで?」
いや、逆になんで.....??
「これ、ただの雑草取りだし。」
「た、確かに.....!!」
納得するのかよ.....
「そうだなぁ.....三kg分ぐらい取って終わるぞ。」
「うん!わかった!」
それじゃあ.....始めるか.....
とまぁ雑草を取り続けること一時間.....
「うわぁ.....きつい.....」
「雑草取りって大変なのね.....」
いやぁ、農家ってすごいんだなぁ.....
これからも依頼でこんなのがくるのか.....
『いえ、それは少なくなると予想します。』
えっ!?なんで!?
やっぱり農家不足.....!!??
『いえ、全く関係ありません。』
なんだ....関係ないのか....
『更に付け加えるとこの世界で農家不足は起こっていません。むしろ多すぎです。』
いや、マジか。
で、なんで依頼が減るんだ?
『街から離れるためです。今、いる位置はギリギリ一日で街までいけ距離ですが、これからはそうではなくなります。』
なるほど.....街へのアクセスが悪くなるから畑も減るわけだ.....
「いやぁお疲れ様ですねえ.....」
と依頼主のトールさんがやって来た。
「これをどうぞ〜。」
と水を差し出してくる。
うーん。
飲むか.....
『ご安心下さい。敵意なし。及び毒の検知も無さそうです。』
おお、なんか安心.....
疑うのも悪いしなあ.....
「ありがとうございます!」
「あ、ありがとうござい、ます!」
と俺を真似てミルもお礼を言っている。
印象って大切だからな。いい癖がつくといいなぁ。
「ところで随分若いねぇ。」
若い.....
若いというより幼いが.....
「ええ、まぁ、成り行きで。」
「そうかい。まぁ、気をつけいよ。」
気をつけてか....
そうだな、気をつけなければならない。
ミルを送るのだから.....
安全な旅を、楽しい旅を心がけて。
「はい!」
今一度そう決心して返事をした。