第35話:戦闘掌握
『戦闘掌握を開始します。』
ん?変化はない.....
『まずは再生コアの破壊を優先します。地面を水中級魔術、アイスフィールディングで凍らせて下さい。』
おお、なるほど攻撃はこっちに全任せってことね.....
《アイスフィールディング!》
『これにより、敵の根は地面上へ出て来れなくなりました。』
おお.....
『次にロックショットを複数同時に放って下さい。』
お、おお.....!!
《ロックショット!》
『ロックショットの半分を囮にもう半分の軌道は逸らして下さい。』
了解.....!!
指示通り軌道を逸らす......
キュウイイイン!!
うわぁぁぁぁ!!
うん。命中した様だ。
命中したけど.....
あの、囮の分がこちらに反射されてますが.....
『問題ありません。回避可能です。』
ちょっ!こっち任せかよ.....
『あなたの身体能力的には容易いでしょう。』
うん.....まぁそうだな.....
そんなこと言われたら照れるな.....
『敵の再生コアを破壊。フェーズツーに移行します。』
華麗にスルーしてくるんだな.....
『ブロードフレイムで氷を溶かして下さい。』
まぁ、理由は分からないけど了解!
《ブロードフレイム!》
「んあ!?この馬鹿が!」
敵から馬鹿って言われてますけど!?
「馬鹿じゃない!アホって言え!」
「変わらんだろ!」
んあー?変わらないだと!?
お前は知っているのか?
日本の近畿地方ではな、アホはいいけど馬鹿っていうのは駄目らしいぞ!
本当なのかは知らん!
そこに住んでいたわけじゃないからな!
『馬鹿の言動を解析.....理解不能.....』
何やってんだこいつは.....
って言っても根は迫ってきている.....
このままじゃ危ないぞ.....!!
『問題なし。想定通りです。』
そうか。想定通りか。
って想定してるなら早く対処して!
『了解しました。水中段魔術、ライクオーシャンを放って下さい。』
え、でもそしたらミルが.....
『問題なし。』
え、問題なし.....??うーん。まぁ信じるか。
《ライクオーシャン!》
やはり俺の予想通りミルも巻き込んで.....とはならなかった。
「ふん。やはりお前は馬鹿だ!」
《ハイドレーション!》
うおお!水を全部吸収したー!!!
『勝利しました。決め台詞をどうぞ。』
え?勝ち?決め台詞.....??
うーん。
「俺の勝ち。なんで負けたか地獄で一生考えてろ!」
「んあっ!!??」
そりゃ混乱するよな.....
俺もしてるよ.....
『水上段魔術、ウォーターエクスプロージョンを放って下さい。』
《ウォーターエクスプロージョン!》
水上段魔術のエクスプロージョン。
自身の魔力がこもった水を爆発させる。
ライクオーシャンで俺の魔術が込められた魔術を吸収したのだから.....
「あ、うう、き、貴様ぁぁ.....覇者様が必ずお前をぉぉ.....!!」
パァン.....!!
俺たちの元依頼主は爆散して消えた。
「ふぅ.....」
『これにて戦闘掌握を終了します。』
そういえば、その戦闘掌握って何なんだ?
『敵を分析し、相手の行動を予測することで、勝利までの攻撃手段を構築する機能です。』
いや、強いな.....
『ただし、敵のレベルによって分析時間が異なります。』
長期戦になったら強くなりそうだな.....
「あ、ミル.....は無事か.....」
駆け寄ると傷一つない。
いやぁ、良かった守り抜け.....
「ぐはっ.....!!」
「むにゃむにゃ.....不意打ちじゃあ.....」
いてて.....いつでも叩くな.....こいつ.....
『強烈な痛みを確認。周囲の状況から命の危険はないと思われます。』
なんか、ムカついてきた.....
「ああ.....眠い.....」
睡眠粉の影響だろうか。また、眠くなってきた。
俺はそのまま地面に寝転で眠りについた。
ーーー
「——ファルト!ラーファルト!」
「んー?むにゃ.....」
「うーん。えい!」
「ふごぉ!!!」
いてて.....
もっと丁寧に起こしてくれたって.....
『起こしていましたが起きませんでした。』
……ミルさんごめんなさい。
「なんで私たち外で寝てるのよ!家も無くなってるし!」
「ああ、俺が吹き飛ばしたからねえ。」
「ん?は?えっ?」
「えっ?」
「ラーファルト.....?私の寝てる間に何やってたんだよぉぉぉ.....!!」
「うわぁ.....!!誤解誤解だって.....!!」
『命の危険を感知。逃走をお勧めします。』
よくよく考えたらミルって剣士だから.....
踏み込みがすごっ.....うわっ!
「捕まえたわ。一発殴っていいわよね?」
「駄目です!駄目!誤解ですから!」
「なら、説明しなさい!」
「あの依頼主は魔物だったんです。」
「嘘をつくなー.....!!」
えええ.....理不尽だ.....
ーーー
「いや、だから本当なんだって!」
「ふーん。まぁ、そこまで言うならぁ。」
と説明すること三十分やっと信じてもらえた。
それにしても旅の初めからあんなやつに出会うとは.....
冒険者って大変なんだなぁ.....
ーーー
「ピスターがやられたか.....あいつは四銃士の中でも最弱だったからな.....」
「申し訳ありません。彼女は私が推薦した者であります。なんなりとご処分を。」
「ふん。冗談を.....我が右腕。大波のカリウスよ。敵を殲滅するのだ。」
「勿論です。荒野の覇者の名の下に.....」




