第34話:真夜中の戦闘
「ふにゃああ。うへへ。見たか!私の実力.....ぐーすか、ぐーすぴ。」
うーん。
ミル......本当に寝ているのか.....?
とまあトリックフラワーに襲われ、そのままの流れで依頼主に泊まらせて貰うことになった。
だが、俺は寝ていない。
というより寝られない。
ミルを護衛しなければならないからな.....
最悪だ.....Sariのあの報告がなかったら安心だったのになあ.....
『報告します。もし、仕掛けてくるのならば深夜二時を過ぎたあたりだと思われます。』
今は日付の変わり目の0時と言ったところか.....
ああ、眠い.....
旅の初日っていうのもあるんだろうな.....眠すぎる.....
「うははは。私に勝てるものなどいないのだよ。ラーファル!ト!」
「ぐほ.....!!」
え!?なんで!?
ミルから殴られたんだけど!!??
寝てる.....よな?
うん。寝てるね.....
寝相が悪いのか......??
いや、でもおかげで眠気が吹き飛んだ.....なんかありがたい。
勘違いするなよ!決してM気質な訳ではない......!!
ガチャ......
ふいに、部屋のドアが開いた。
本当に来たのか.....?今、何時だ?
『深夜1時前だと思われます。誤差としては十分です。』
確かに.....
何をしようとしているかを見たい所だが.....
寝たふりを今はしておかなければ......
刹那、俺の魔力探知が作動した。
同時にSariも反応を見せる。
『あきらかな攻撃意志の魔力を感知。これより戦闘サポートモードへ切り替えます。』
そうか、本当に仕掛けてきたのか.....
《ムーブドウインド》
「なっ!」
攻撃を回避した俺にその敵は衝撃を受けている。
…..俺たちの依頼主が変わり果てた姿でそこに立っていた。
「やはりな。お前がトリックフラワーに絡んでいるとは思ってたよ。」
「な、なぜ......!!??」
いやあ、それもこれもSariさんのおかげなんですねえ.....
今日の夜......いや、正確には昨日の夜.....
『報告します。依頼主がトリックフラワーに食べられていないのは自身もトリックフラワーだからではないかと思われます。トリックフラワーの能力は擬態ですが多くの人間を取り込んだ際、高い知能を獲得し人間にも擬態します。』
って言われなきゃ気付かなかっただろう。
感謝感謝。って感じですねえ。
「さて、魔物退治といきたいが.....」
ミルを守らないとなあ。
このトリックフラワー.....強いんだよなあ.....
それに、昼間に戦ったレベルの奴が外に二体いるな.....
うーん。面倒くさい.....
俺が攻撃をかわしたからか警戒して迂闊に手を出して来ないのはむしろありがたいな。
猛攻を受けたらミルを守るのもきつくなる。
とりあえず、この部屋から出るか。
広い場所の方がミルも守りやすそうだ。
俺はミルを抱えて魔術を使った。
《コールドウインド!》
強風で家ごと破壊する。
そのまま、外へ出ると想像通り二体のトリックフラワーがいた。
まあ想定内だ。
それにしてもミルは起きないなあ.....
「ミルー。起きろー。」
うーん。叩いてもつねっても起きない。
「無駄よ。食事に睡眠粉を含ませていたからね。あなたには効かなかったようだけど。」
…..そうか?
そういや、眠かったな。
そしたら寝相の悪いミルから殴られて.....
ってミルのおかげで目が覚めたのか。
ありがてええ。
だけど、自分も起きて欲しいなあ。
「そうか、まあ寝ていても守り抜くさ。」
「ふん。出来るものならやって見なさい......!!荒野の覇者の四銃士の一人騙し討ちのピスターの名のもとに......!!!」
荒野の覇者.....??
『このあたりからルインド王国の国境付近の中の魔物の実力者です。悪の根源とも言われており、討伐軍の出陣も予定されていました。戦争によって延期となりましたが.....』
なるほど。聞いたこともなかったがそんな奴がいたのか.....
『なお、その支配領域を通って旅をするルートなので遭遇の危険はあります。』
うええ。面倒だなあ.....
「まあいいや.....!!とりあえずこの魔物を討ち取るとしようじゃないか......!!」
《ブロードフレイム!》
ミルの周りを除き、ピスターの周辺にまで炎を地面に巡らせる。
トリックフラワーの本体にとっては葉でそれらは反射できるものであるから脅威ではないだろう。
だが、地面からの根。
それを封じることが......
「こざかしい......!!」
「うおっ!
まじかよ!
無理やり風圧でレジストしやがった.....!!
やっぱ思ったより強敵なんだな.....!!
「まあ、まだ余裕か.....」
「そのすまし顔を後悔で埋めてやるわよ.....!!」
「貫かれろ.......!!!!」
《ゾーン!》
うお!まじかよ.....!!でけえ棘だな.....!!
それも全方位から同時にか。
トリックフラワーって連携とられると厄介なんだなあ。
《タワークラフト!》
岩壁で防御って訳にもいかないのか......
思った以上に威力が強い。
どうやってレジストすれば.....
『レジストではなく攻撃にすればどうでしょうか。』
攻撃?攻めは最大の防御とはいうけどどうやって.....
『この攻撃は魔力で動かされています。』
……魔力。そうか魔力か。
それなら簡単だな。
俺が手を前に出すと棘の攻撃方向は反対を向いた。
「な.....!!」
見事にそれは敵に命中する。
やはり不意打ちをするのが一番だ。
そりゃ攻撃が返ってきたら驚くよなあ。
「おのれえ!!!」
うお、再生してる。
そうか、トリックフラワーは生成コアを破壊した後に怪我を負わせる必要があったな。
運よく、一体の再生コアは破壊できているようだ。
さて、どうするか......
『報告します。敵の解析が完了しました。これより、戦闘掌握を開始可能です。』
戦闘掌握か.....良く分からないけどおもしろそうだな!
ミルは守り抜けよ。
『もちろんです。実行しますか。』
Yes!
『戦闘掌握を開始します。』




