表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14浪生転生記~異世界にいる今、自由を求める~  作者: フィッシュスター
第四章:まだ旅は始まったばかりだ
36/139

第33話:トリックフラワー

 『まもなく任務地です。』

 ふぅ、2kmって意外と遠いな.....


「ここら辺、魔物に会わなくて助かりましたね。」

「うん。良かったけど、けど、良くない!!」

 ん?良くない?え?

「な、なんででしょうか?」


「だって成長出来ないじゃん!!!私だって戦える様になりたいの!」

 

 理由が幼稚すぎる......


「魔物は危険なんですから戦わせませんよ。」

「えっ!?パーティーって一緒に戦うんじゃないの!?」


 こいつ、一緒に戦おうとしてたのか!?

 いや無理だろ!無理だよな!?

 どう考えてもできるわけない.....!!


「だめです!私が一人で戦います!」

「えー。ケチだぁー。」


 ふん.....絶対だめだ。


 怪我でもさせたらどんな目に遭うか.....


『よほどの目には遭わないと考えられます。生きて帰ってきた感動の方が大きいかと推測されますので。』


 …..まぁそれは確かに


『それに彼女の経験はまだ浅いですがある程度ならば戦闘もできるかと。』

 

 いや、そんなことはさせないぞ!


 戦闘なんて絶対にさせない!


 確かに良くみたら剣士の歩き方してるし、俺より才能がありそうだけどだめだ!


『任務地に近づきました。』


「こんにちは〜。」

「あら、こんにちは。冒険者の方?かなりお若いわねえ。」

「ええ。ラーファルトと言います。こちらは......」

「ミルよ。よろしくお願いします。」


 なんか敬語がいい加減だなぁ.....


 まぁいーや。


「ええ、よろしくね。今日は野菜の収穫を手伝ってもらうのだけど.....」

「ええ、分かっています。」

 ということで早速、畑で収穫を開始だ。


「うー、えいっ!」

 おー。大きいのが採れたな.....

「やったわ!大きい!」

『通常の2倍の大きさと推定されます。』


「おお、よかったですね。」

「ねぇ、ラーファルト!勝負よ!より多く収穫した方の勝ちね!」

『勝率は50%です。』

 そこまで考えなくていいだろ.....


「いいですよ。じゃあ勝負やってあげましょう。負けませんよ.....!!」

「じゃあよーいスタート!」


 ふむふむ。なかなかいいペースだなぁ。


 だけど俺には奥の手があるからな


 ふふふ

 《タワークラフト!》

 ということで畑にタワーを建てて植物を持ち上げた。


 そして、植物の周り以外の部分の魔術は解除だ。


 これで植物は土から抜ける。


 いやぁ......!!楽だなぁ。


「ラーファルトずるいっ!」


 ずるではない。魔術を用いた効率的収穫法だ。


「あ、私もこっちから採ればいいんだ。」

 なっ!?


 俺が土から引っこ抜いた植物をミルが拾い始めた。


 ずるいっ!


 『ずるではなく効率的収穫法です。』


 くっ.....何も言えねぇ.....!!


 数は今のところ同じぐらい.....


 あとは引っこ抜いた数が多い方が勝ちだ。

「えいっ!えいっ!」


 早い.....早すぎる.....


 若いっていいなぁ.....


 一つを引っこ抜く速度が早い.....


「よし、これを抜けば、ラーファルトに勝てる.....うーん。あれ抜けない。」


 ……ミルは何をやっているんだ?最後に手間取りやがって.....


 …..ん?


 魔力探知が反応した.....?


 まさか.....!!


 《ムーブドウインド》

「ラーファルト?」


 なっ!!


 ミルが引っ張っていた植物は口を見せた。まずい.....!!


 よりによってミルはこっちを見てる.....!!


「後ろ!危ない!」

「えっ!?」


 俺はミルを突き飛ばしながら転がる。


 間一髪のところで捕食しようとする口を回避できた。


「ラーファルト!何あれ!」


『トリックフラワーです。花に擬態しており、近づいた人間を捕食します。』


「トリックフラワーだ。」


『魔物の出現により戦闘サポートモードへ切り替わります。』


 戦闘サポートモード?なんだそりゃ?


『今に分かります。』


 そりゃ戦闘中だから今から分かるに決まってるか。


「ミルは遠くへ離れ.....」


『いえ、それは危険です。トリックフラワーは土のあるところならばどこへでも潜って移動できます。離れず近くで守る方が安全と考えられます。』


 なるほど、厄介な敵だな.....!!

「やっぱり、俺の後ろに隠れておいて。」


「え.....でも......!!私も.....!!」

「だめだ!俺が戦う。」

「.....うん.....」


『下から攻撃が来ます』

 それと同時に俺の魔力探知も反応した。


 《ムーブドウインド!》


「根っこでも攻撃をしてくるのか.....!!」


『その通りです。根は無数にあり再生します。葉には魔術の反射作用も備わっており、撃破するには花の中心部分の再生コアを破壊した後に攻撃を当てる必要があります。』


 なるほど、コアの部分に養分を蓄えているのか?


『その認識で間違いありません。』


 面倒だな.....


 根はいくつだ?

『現在は15本ほどと推測。ただし増殖できるためこの情報は使えません。』


 やりにくい.....


 魔術も反射されないようにしなければならない.....


 ならば.....


 《ロックショット!》


 もちろん、その攻撃を反射しようと葉を出してくるだろう.....


『攻撃の意図を把握しました。フォローします。敵の未来の動きを描写します。』

 うお!なんだこれ!


 敵の動きが分かるぞ.....!!


 やりやすい.....!!


「クリス流主」

 《開》


 相手の防御をずらし、放たれた魔術を敵へ当てる技。


 魔術師のよく使う剣技だからこそこのように使えるのだ。



 キュウウウウウウウロオオオオ.....!!


 トリックフラワーが悲鳴をあげた。

『敵の再生コアに命中。再生が不可能となりました。』


 よし、後は葉の反射に気を付けながら攻撃を当て続けるだけだ.....!!




『警告全方位から根の攻撃が来ます。』


 全方位.....!!囲まれたのか.....


『推奨:ファイアーサイクルを使うことを推奨します。』


 なるほど.....!!

 《ファイアーサイクル!》


 敵の根は俺を囲んだ火にすべて焼き払われた。


 だが、すべてではない......!!



 ……魔力感知がミルの方向から.....!!


『トリックフラワーがミルを人質に取ろうとしていると推測されます。』


 させるか......!!


 《ビルド!》

 技巧級土魔術でミルを囲い防御をする。


 …..だが、トリックフラワーは俺の予想を遥かに超えてきた。


『警告:ビルドが破壊されます。』


 なっ!


 意外と力が強いのか.....!!


 このままではまずい......!!中にいるミルに危険が.....



 バリイン.....!!


 ガラスのような音を立ててビルドが崩れた。


 やばい.....!!


 そう思った時だった。


「はあああああ!!!」

 中から雄たけびが聞こえてきた。


「燃えよ剣!」

 ミルの持った剣が炎に包まれる。


 おお!すげえ。


『ミルの強さを検証。検証結果トリックフラワーに正面から敗北することはないと予想されます。』


 えっ!?


 ミルってそんなに強かったの.....??


『平均よりも剣の扱いに長けています。理由は不明ですが鍛錬は詰んだことがありそうです』


 いや、なんで......??



「ガルス流大剣」

 《雷光》


 うお.....!!すげえ。


 ミルの周りの根は吹き飛んだ。


 それと同時に敵全体が怯んだ。


『今ならば不意打ちが85%で決まります。』


 そうか.....!ならば.....!!


「燃やし尽くせ.....!」


 《ブロードフレイム!》


 敵全体へ炎の攻撃。



 トリックフラワーはこの攻撃を反射しきれずに燃え尽きた。


「ふう.....」


『これにて、戦闘を終了。同時に戦闘サポートモードを終了します。』


 うむ.....戦闘サポートモードすげえな.....


 敵の動きや能力、色々お見通しだった。


 負ける気がしない。


 だけど、今はそれよりも......


「ミル、強くないか?」

「え?まあ剣術を少し習ってたからね。カールから。」


 カール......


 技巧ガルス流剣士......


 俺もその人から何度も教わったな......


 そりゃ強いわ......


「少し程度の戦闘なら大丈夫そうだな.....」

「え!!いいの!やったー!」


 まあ、予定外だが大丈夫だろう。



「ちょっと!大丈夫!!??」

 ミルとそんな会話をしていると依頼主が心配して走ってきた。


 今までこの人はトリックフラワーによく食べられなかったな。


「いえ、大丈夫ですよ。」

「今日はもう遅いし、疲れたでしょう。泊まっていきなさい。」


ということで冒険初日から野宿ではなくなった。



 珍しいよなあ......


 冒険初日からラッキーだなー。


『報告しておきます......』

 ん......??Sari?


 『......』

 マジか......くつろげねえじゃん。


 と、Sariからの情報で俺はくつろげなくなったのだが......



「うわあー!おいしー!」

 とミルは出されたご飯を食べてくつろいでいるようだ.....



 まあ、ミルを安全に送る護衛役でもあるし仕方ないか.....


 その夜、その休息はやはり仇となった.....

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ