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第29話:絶望と共に.....

 遠くにサナが見える.....


「サナっ!」

 彼女に向かって俺は走り出す。


「サナっ!サナー!!」

 彼女の名前を叫びながらひたすらに走る。


 だが、彼女への距離は縮まらない。


 走っても走っても追いつかない.....


「サナー!!!」

 俺の声に応えて彼女が振り向いた。


 笑顔の彼女の顔が見える。


 俺はそれでも走り続ける。


 依然、距離は縮まらない.....


 サナが口を開いた。


 だが、声は聞こえない。


 何と言っているのか分からない。


「サナ!サナぁぁぁ!!うわあっ!」

 足がもつれて転んでしまった。


「はぁはぁ.....」

 サナの方向を見る。


 段々と視界が明るくなる。


 サナが光で見えにくくなってきた。


「サナ!」


 サナが再び口を開いた。

「待っているよ。約束を——」


 その声と共にサナの姿は見えなくなった。



 ーーー



 目を開くと光が差し込んできた。


 眩しい.....目を開けたくない.....


 息が苦しい.....


「う.....」

「ラーファルトおおおおお.....!!!!」


 目を閉じようとするとミルが泣きついてきた。


 また、俺は死にかけた。


 さぞ、心配をかけただろう.....


「あ、ありがとうございます.....」

 とりあえずそう答えておいた。


「生きててよかったぁぁぁぁ.....!!」


 生きててよかった。か.....



 生きててよかったのだろうか.....サナはこの世界にいない.....


 いっそのこと、もう.....


 そんなことを考えてしまう。



 だが、護衛という仕事がある。


 周りに迷惑はかけられない.....


 前世では迷惑ばかりかけてきた。


 14浪して周りに迷惑をかけた。


 この世界でもまた同じことを繰り返す訳にはいかない。


 俺はどうすればいいのだろうか.....


 責任と後悔が俺を押し潰そうとしてくる.....


「いなくならないで.....」


 ミル.....その言葉が俺を蝕むんだ.....


 やめてくれ.....


 目に涙が溜まる.....


 泣いてはいけない.....


 壊れてはならない.....


 重圧を跳ね除けなければならない.....



 もう、塵となって消えたい.....



「ラーファルト、起きたのか.....」

 部屋にルイスが入ってきた。


 顔には今までなかった傷がある。


 彼は俺を助けてくれた。


 だけど.....それはよかったことなのだろうか.....


 あそこで死んでいたら楽だったのではないか.....


 そんな考えがよぎる.....



 だが、俺がここで死んだら彼の努力も無駄になる.....



 救ってくれた者、支えようとしてくれる者の為に生きなければならない.....



 絶望と共に.....


 新たな道を歩まなければならない.....



「助けて下さってありがとうございました。」

 俺はルイスに礼を言う。


 それを見たルイスは俺に向かって喋り始めた。


「お前に何があったのかは分からない。だが、気負うなよ。自分だけで解決しようとするな。いつでもいいから吐き出せ。頼れ。仲間はどこにでもいる。」



 吐き出せない思い.....


 今は言えないこともある。


 吐き出せるほどの人はここにいない。


 いつか誰かにこの思いを言えたらいい.....


 その日へ向かって俺は.....



 俺は新たな道を歩み始める.....


 絶望と共に.....


 絶望を吐き出す為に.....

これにて第三章は終了です

この話で一旦投稿をストップします!


投稿再開は10月中の予定です

その前に一作品書く予定ですのでお楽しみに


絶望と共に生きるラーファルトの人生はどのように変わるのか.....


これからラーファルトは何をして生きるのか.....


自由を求め続けられるのか.....


自由とは何か.....??


第四章以降そのような問いに一つずつ明らかにしていきますのでよろしくお願いいたします!

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