表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14浪生転生記~異世界にいる今、自由を求める~  作者: フィッシュスター
第三章:新たな歩みへ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/194

第27話:散る

この話だけでも読んで頂けるのは嬉しいのですが


第8話から第11話

The other side:サナの決意

及び

The other side:戦争の始まりで


を先に読むことをお勧めします。

泣ける回に仕上げております.....!!


今回の話は他の話とは一味違いますよ......!!!!

 敵は二人。


 どちらも剣士のようだ。


 恐らく牢獄にいたバースよりも手練れ。


 ふぅ.....


 辛い戦いになりそうだ。


 熱も上がってきている。


 短時間で勝たなければならない.....!!


 「逆鱗のシュガー参る.....!!」

 どうやら一人の名は逆鱗のシュガーという名らしい。


 見た感じ怒っていなさそうだけどなぁ.....



 とにかく油断はできない.....


 向かってきている敵に対して一番有効な手段。


 それは......足を止めることだ!


 《ビルド!》

 俺へ続く道を作る。


 種も仕掛けも罠もないただの道だ。


 それを罠と勘違いし通らないのならば遠回りになるのならばよし。


 そして、ここを通ると決めたとしても対抗手段を考えている.....!!


「ご丁寧に道を作ってくださって感謝する!」

 どうやら罠があるなどと考えはしていないようだ。



 だが、シュガー.....!!気付いているだろうか?


 この道は横に壁を作ってある。いうならば滑り台を巨大化したような作りの道だ。


 これを使ってお前を足止め、更に後退させる技はこれだ.....!!


 《ライクオーシャン!》


 水の圧力を使って押し戻す!


「なるほどねえ.....!!そう来るのか.....!」

 そう呟くシュガーの足は止まらない。


 いまだ立ち止まっている方の剣士も余裕の表情を浮かべている。


 なんだ.....?この違和感.....?


 俺の魔術を脅威と思っていないようなこの感覚は.....


 そう思った次の瞬間、シュガーの腕が動いた。


 依然、足は止まらない.....!!


「ガリス流進手(すすみで)

 《(ざん)


 刹那、凄まじい斬撃が放たれた。


 斬撃は目の前に迫っていた水を切り、再び道を作る。


 俺の頬を斬撃がかすめる。


 シュガーは更に迫ってきている。



 これでは道を作った意味がない.....!!ただ不利になっただけだ.....!!



「ビルド解除!」


 道の部分のビルドを解除し、シュガーを落とそうとするがもう遅い.....


「とおぅ!」

 シュガーは俺の目の前にまで飛び移ってくる。


「うん。簡単だ。」


 クソ.....!!近距離戦は圧倒的に剣士有利だ。


 俺も剣術もある程度使える方だが、こいつは格が違う。

 剣を極めてきたものの動き。


 水なんて普通斬れない!斬撃なんて飛ばない!


 時間だ!考える時間、逃げる時間を稼ぐんだ.....!

「ずいぶんお強いですねえ。階級は?」


「上段ガルス流剣士だが?」


 上段か......!!技巧でないだけまだ良い方と言ったところだろう。



「もう一人の方も同じ階級なのか?」

 もっとだもっと時間を稼げ.....!!


「時間稼ぎのつもりか?」

 ばれた.....


「どちらにせよ教えんよ。俺の情報はが俺扱うが、あいつの情報はあいつ自身で扱ってもらうからな。」

 ちぇ......面白くねえ奴......


「では、参るぞ!斬りたくて斬りたくて仕方ないからなあ!」

 斬らないで.....って.....


「うわ.....!!」

 動きが速い!運で回避ができた.....


 《ムーブドウインド!》

 とりあえず距離を......


「ふんっ......!!」

 早すぎだろ.....!!


 シュガーは俺の動きについてきた。


 このままでは斬られてしまう......!!


 《ロックショット!》


 攻撃へ逆に転じることで防御を促す.....!!

 といきたいところだが、そう簡単にはいかない。


「遅い.....!!」

 そう言って体をひねりながら回避する。


 どんな身体能力なのだろうか。


 それにしてもまずい.....!!この距離は剣が届く.....!!


 《コールドウインド!》

 強風を起こしてシュガーを押し戻そうとする。


 だが、効果があったのは一瞬だけだ。


 一瞬止まってシュガーが剣をふるうとその風は容易に散らされた。


「クソっ!!」


 出来ればやりたくなかったが.....!!


「ビルド解除!」


 俺の今立っている場所は壁の上。


 避難民を敵の二人から逃がすために立てた壁だ。


 壁を壊せば踏み込みのできないシュガーは.....!!


 前に進めない......!!!


 落ちろシュガー!!!


「チッ!ガルス流長剣(ちょうけん)

 《(とつ)


 シュガーが突きを繰り出してくる。


 だが、その剣先はわずかに俺には届かない。


 《ウォーターガン!》

 すかさず速度の早い技で反撃をする。


「ガルス流攻守」

 《鉄斬(くろがね)


 シュガーの反応は早い。


 彼は防御をするだけではなかった。その繰り出した防御は攻撃にもなる。



 ウォーターガンは斬撃に巻き込まれ、逆に俺の方向へ向かってくる。


「..........!!痛っ.....!!」

 攻撃が俺の肩を切る。遅れて激痛が走った。


 しかし、痛がっている余裕はない。


 相手の斬撃が俺の魔術を載せているのならば魔術の終了まで俺が操れる。


「うおおおおおおおお!!!」

 後ろに攻撃を回して......!!動けない程の傷を.....!!


「シュガー様後ろでございます.....!!」

 なっ!!!


 クソっ!ここでもう一人の介入か.....!!


 だが、もう距離はそう遠くない.....!!完全に回避はできないだろう。

「んあっ!!」


 命中だ!

 攻撃は致命傷とはいかなかったが脇腹へ直撃した。



 そのまま地面へ着地する。


 これでお互い負傷している。それでも、不利なのは俺だろう。


 シュガーを倒したとしても、もう一人の相手もしなくてはならない。


「はぁ、はぁ。」

 息も上がってきた。恐らく熱も上がっている。


 早めに勝負を決めるしかない.....!!


 治癒もしなければ.....だがそんな隙は今、ない.....!!


 俺の最大火力の技で一発で決める。


 フィックス先生から習ったあの技で......!!


 あの思い出の美しい技で.....!!


 技巧級火魔術の技で.....!!

 《マグウィップ!》


 炎の鞭が出現した。


 美しく、フィックス先生を思い起こさせる光景が広がった。


 威力は十分だ。


 これを敵の方向へ飛ばす!何度でも!!!


 カキィン!!カキイン!!


 鞭を防ぐ金属音が響く。


「はぁはぁ.....」

 熱が上がっている。早く決めないと.....!!


 《ロックショット!》

 同時に何発も放つ.....!!


 早く!決めろ!!!


「痛.....!!」

 シュガーにかすり傷が出来る。


「ガルス流攻守」

 《鉄斬!》


 シュガーが技を放つ。


 だが、その斬撃はマグウィップに巻き込まれ逆に威力を増す結果となった。



 今、ここで決めろ!


 シュガーでない方の剣士も防御をしている。


 早く......!!



 次の瞬間シュガーが口を開いた。


「この魔術。思い出したぞ。威力が違うために気付かなかったが、見たことがある。」


 次の一言に俺は衝撃を受けた。


「確かブユレ村の小娘の.....」


 ブユレ村......


 ブユレ村。


 ブユレ村は、俺のこの世界での......懐かしき故郷の村だ......


「貴様ブユレ村で何をした!」

 俺は咄嗟に叫ぶ。


「なんだ?知っているのか?」

「俺の故郷だ。」


 そう伝えるとシュガーが不敵な笑みを浮かべた。

「そうか、故郷か......くくくく.....」

 俺は攻撃を続けながら静かにシュガーを見続けた。


「ブユレ村は俺が潰した!うははははは!こんなことってあるんだなあ!!!!」


 ブユレ村を潰した?ブユレ村が潰された?


 嘘だ......そんなはずは.......


 村のみんなは.....?モルガンは......?エミリアは.......?ミアは......?


「サナは...........?」

 俺のそんな一言にシュガーは反応した。


「サナ?あの魔術を使える子供か?同い年ぐらいだったもんなあ!!!」


 やめろ.......


「サナとかいうあの女はなあ.......!!」


 やめろ........


「今のお前と同じ魔術を使っているときによお......!!!」


 やめろ!言うな!!!


「俺が叩き潰してやったぜえ!!!」


「貴様ああああああああああ!!!!」



「がはは!!ガルス流奥義!」

 《一閃》


「ぐあああああ.......!!!」


 シュガーの太刀が俺の体を切る。


 致命傷とまではいっていない。


 恐らく魔術の合間をぬって攻撃したからだろう。


「怒る奴は弱いよなあ!冷静さの大切がよくわかるなあ。」


 重傷だ。全く動けない。出血も多い。


「せめて早めに送ってやるよ......!!」

 そうして、シュガーが俺に剣を振りかざす。



 俺は.....死んだな......




 サナ。


 守れなくてごめん.......


 サナのことが好きだった。


 屈託のないその笑顔を守りたいと思った。


 守るために宮廷魔術師になろうと思った。


 強くなって守ろうと思った。


 でも、手遅れだったんだな.....


 この戦争が始まって、すぐに帰らなければならなかったんだな......


 ごめん。俺の力不足でこんなことになってしまって。


 村のみんなを守らないといけないと思っていた。


 サナならば自由に生きるって目標を支えてくれるんじゃないかと思っていた。



 でも、サナはもういない......村もないに等しいのだろう。


 俺たちはこの世界では再会できなかった。


 許してくれ。約束を果たせなかった俺を。


 サナ。


 俺はあの約束は今でも鮮明に覚えている。



 「もし、どこかへ行っても必ず戻ってくるっていう言葉忘れてないから。私のこと考え続けてくれるんでしょ?」


 あの日、そう言っていた。


 忘れたくても忘れられないような笑顔だった。


 俺はしっかり考え続けていた。


 君のことを。



 今、この瞬間、何度後悔しているのか分からない。


 俺は村に残るべきだった。


 宮廷魔術師になんてなるべきじゃなかった。


 サナを守れなかった。



 ごめん。


 すべて、俺の責任だ。


 

 約束は散ってしまった。


 村へ戻ることは叶わなかった。


 後悔してもしきれない。


 もう、この世では再会できない。


 でもきっと.......


 あの世で、いや、お互い今の俺のように生まれ変わってでもいい。


 いつか、どこかで再会しよう。


 サナ。また、どこかで、どんな姿で、どんなに時間が経った後でも.....


 必ず———



 俺は目をつむった。

「さらばだあああ!!!!」


 シュガーの声が響く。


 剣が風を切る音が聞こえてくる。


 もう当たるかと思われた時.....


 静かな声した。


「ガルス流急手」

 《光剣》


 カキン!という金属音が鳴る。


 シュガーの剣は一向に振り下ろされない。


 俺はゆっくりと目を開ける。


 シュガーの剣は何者かによって止められている。


「遅くなった。ラーファルト。後は任せろ。」


 声の主の顔を見ると.....


 ルイスがそこに立っていた———

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] Xで拝見して興味を持ったので拝見させて頂きましたが、一気に最新話まで読んでしまいました。 プロローグの書き出しから主人公の心情がとても良く描かれています。 作者様は設定をとてもよく練られて…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ