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14浪生転生記~異世界にいる今、自由を求める~  作者: フィッシュスター
第十一章:歩みを止めず

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The other side:フィックス先生の旅⓹

フィックス先生のThe other side最終回です!

「岩を形成する女神よ」


 《ロックショット!》


 魔術で目の前の魔物の体制を崩した。


 どこを攻撃すれば、敵の体制が崩れるのか。ここら辺は経験でなんとなく分かるものだ。


「ガルス流!奥義!」


 《一閃!》


「ふぅ、じいさん強いね。短縮詠唱も使えるし。」

「それはこちらのセリフだ。」

「ん?」


 と、あまりラヴァーナはピンときていない様子だ。


 この若さでこの実力.....剣は学んだことがないから階級は分からないが、騎士団にも所属はできるだろう。


「まあいい、この道を真っ直ぐ行けば、いる筈だ。」


 と、分かれ道を指差す。


「ほんとに、ありがとう。すごく助かったよ、じいさん。」

「ああ。達者でな。」


 ここら辺は、魔物の多い森だが、彼女の実力ならば問題ないだろう。


 心配することもないと考え、俺はもう一方の分かれ道へ進んだ。



 ーーー



「着いたか.....」


 村の様子は昔と大きくは変わっていない。


 ただ、そこに広がる家は、知っているものよりも老朽化していたり、真新しかったりする。


 半世紀以上帰っていないのだ。当然だろう。


「わあー!!」

「おりゃあー!!」

「きゃは、きゃははは!」


 と、子供の笑い声の聞こえる村だ。


 その子供たちは俺の姿を見れば、顔を見合わせて黙った。


 そりゃそうだ。この村の大半は恐らく、俺のことを知らない。


 いや、覚えていない人さえいる。なんなら、知っていたとしても亡くなっている人が多いだろう。


 確か.....村長の家は.....ここか。


 改修されたような跡のあるかつて住んでいた場所を見つける。


 確か、6歳の頃だ。


 6歳の俺は両親を亡くし、この家で暮らし始めた。


 そして、約一年後、エミル・ミグルと出会った俺は、彼に弟子入りし、魔術を習い始めた。


 三年はこの地で魔術を学んだが、旅立つ、ミグルに連れられて、十歳のとき、俺はこの村を旅立った。



 コンコンコン


 とドアを鳴らす。


「.....はい。」


 俺の知らない人が出てくる。


 突然、尋ねてきた魔術師にその人は困惑している顔だ。


「失礼。フィックス・レートという者です。一つ、お尋ねしたいことが.....」

「ええ。構いません.....」

「アーナという方をご存知ですか?」

「ご、ご存知というか.....親戚です。呼びましょうか?」

「お願いします。」


 数分待った後、家の中へ入る様に案内される。


「こちらの部屋へどうぞ。」

「ありがとうございます。」


 ガチャっとドアを開ければ、そこには、一人のおばあさんがいた。


 どこか、見覚えのある背中。そして、どこか見覚えのある顔。


「アーナ.....」

「.....あら、おかえり。フィックス。」


 半世紀前の思い出が頭の中に蘇ってきた。


 共に遊んだ、道、川、山。


 その雄大な自然を前に、子供ながら感動を覚えた日々を。


「ただいま。沢山話したことがあるんだ。」

「ええ。私も、聞きたいことが沢山あるの。」


 そうして、俺は、俺たちは席についね話し始めた。



 ーーー



 俺のこれまでの人生。


 宮廷魔術師になった経緯。ラーファルトのこと。この旅のこと。


 つまらない話かもしれないけれど、アーナは、相槌を打って、質問をして、会話を弾ませてくれた。


 その空気が楽しかった。


「それで.....」

「.....ふふっ。」


 とアーナは突然笑う。


「どうかした?」

「いいえ。フィックス。あなた、楽しい人生を送ったのね。」

「なんで、そう思うんだ?」

「顔が笑顔から変わらないもの。」


 そう言われ、顔をわしゃわしゃと触ってみるが自分ではなんとなくでしか分からない。


 だが、きっとそれは本当なのだろう。


 楽しかった人生だ。


「思えば、俺は、いつでも自由だったのかもしれないな.....」

「自由?」

「この村を出て、選択して、苦労して、迷って、悩んで、そして、楽しんで、戻ってきた。これまでの、全てが、人生という名前の自由だったのかもしれない。」

「ふふっ。ほんとそうだと思うわ。まさか、半世紀以上帰ってこないなんてね。」

「その節はすまなかった。」

「ほんとよ、フィックス.....出て行く時、なんて言ったか覚えてるかしら?」

「.....ああ、覚えてるとも。」

「そう。ならいいわ。」


 昔のことが思い返される。


 そして、昔が、今につながる。


 過去があるから、今がある。そう実感できる。



 ーーー



「俺、帰ってきて、この村を守るから。魔物なんて、怖くない村にするからっ!」


 幼い俺は村を出て行く時、アーナにそう言った。


「ほんと?」

「うん。」

「分かった。ずっと待ってる。」


 それから、半世紀以上が経ってしまった。


 俺が帰る前、帝王級ガルス流剣士がこの地域の魔物を一掃したという知らせを聞いた。


 俺の、修行した、何年間もが否定された気がした。


 どこか、無力感に襲われた。


 故郷の安全が嬉しいと同時に、何もできなかった自分の情けなさが怖くなった。


 だから、故郷に帰りたくなくなった。


 帰るのが怖くなった。そして、ジャック王国から来ていた、宮廷魔術師となる依頼を受けたのだ。


 今、考えてみると、情けない。


 俺は逃げ出したのだ。逃げ出したかったのだ。


 これは、一時の感情で、だからこそ、今俺は帰ってこれている。


 その時の心のままに行動した結果なのだ。


 これが.....



 ーーー



「ねえ、これからはどうするの?」

「.....数年は滞在しようと思う。話したいことが多すぎるんだ。一年じゃ全く足りないよ。」

「私、生きてて良かったわ。」

「それはつくづく思うよ。」

「老後に、こんな楽しみが待ってるだなんて思わなかったってことよ。」


 十五年後、彼はこの村を経つこととなる。


 決意と共に。



 ーーー



「お前が、村を守るのだ。フィックス・レート。そのために.....」

次回、本編!!!ラーファルトたちは魔神聖の家へ突入!!!

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