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14浪生転生記~異世界にいる今、自由を求める~  作者: フィッシュスター
第十一章:歩みを止めず

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第196話:屋敷の奥へ

「俺たちを奴隷として扱う奴がいるだろう.....そいつは、その指輪が無ければ倒すことが出来ない。」

「この.....魔壊の指輪のことか?」

「ああ、そうだ。その指輪が無ければここの主には勝てない。」


 俺なら、自分を倒すことのできる魔道具など近くに置いておかない。


 ましてや、それを奴隷に渡すなど.....


「うむ.....ここのボスは馬鹿なのか?」

「さぁな。ただ、ボスはこいつが自分を倒す可能性について知らない。」

「それは、迂闊だな。」

「ああ。俺もこの戦いが終われば、これを用いて逃げようと思っていたさ。」


 信憑性しかないというような情報ではない。


 しかし、完全に嘘だと決めつけられるような情報でもない。


「もう一つ聞こう。なぜ、その指輪がなければ攻撃が通らないのか、分かるか?」

「ああ。色々調べたからな。あいつの魔力は特別でな。あらゆる攻撃を無効化.....とは言わねえが、軽減しちまう特性を持ってる。魔界の指輪の効果.....分かるか?」


 確か.....音波がなんたらと.....


『指輪から出る音を魔力によって音波変え、敵を不快にします。』


 ロードリング優秀だな。


 てのは除いて、この説明.....


「この指輪は相手の魔力も掻き乱す。そうか?」

「ああ。よく分かってんじゃねーか。」


 理由までは明確に基本説明できるし、理論的な間違いはないよな?


『観測結果、魔道具の性能や敵の性質など、全てこの世界で起こり得ることです。』


「しゃーないか。」


 ウォーリアは短くそう呟くと、そいつの縄を解く。


「いいのか?」

「俺の勘だが、お前は奴隷だからな。」「.....勘のいいやつは嫌いだな。」

「あ、二人とも起きたんだ。」


 と、唐突に声をかけられた。


 サナだ。こういう状況でこんな感じに声をかけられるのは珍しいな。


 ウォーリアに声をかけるのは両者にとって普通だが、先ほどまで捕まえていた者にもサナは声をかけているのだ。


「ああ。良い情報を聞いた。」

「騙されてる、なんてことはないの?」


 とサナかジト目で奴隷のそいつの顔を見た。


 当の本人はさあ、どうでしょうとでも言うような顔をしているが、その目に嘘の気配はない。


「ま、なんでもいいか。ウォーリアはその情報を元に今から動いて。ただし、危険を感じたら無理しないこと。いいね。」

「ああ。分かった.....良かったな。リーダーのお墨付きが出たぞ。」

「ふんっ。この後裏切る可能性でも考慮しとけ。」


 と毒を吐くがその表情を心なしか緩くなっているように見える。


「では、行ってくる。」


 そう言い残し、ウォーリアはラーファルトいる屋敷の奥へ走り出した。

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