第192話:奴隷の保護
「ラーファルト.....大丈夫?」
「うん。まだ少し頭がクラクラするけどなんとか.....」
俺よりは症状が軽かったようですっかり戦いの後、元気になったサナが俺にそう声をかけていた。
「今、奴隷の保護はどれくらい進んでる?」
「ざっと、5割くらいだと思う。保護してはこの場所に連れてきてもらってるから、予定より少し遅いかも。」
倒した敵は目の前にいる。
こいつが、何かしらの方法を使って俺とサナ.....魔術師二人を半分動けないところまで追いやった。
Sari…..解析できる?
『もちろんです。解析中.....多数の魔道具を検知。効果を調査します。』
ふむ.....なら、結果は後にするとして.....
「サナ!この後どうする?俺たちも動く?」
「それがいいじゃろうな。」
とサナに聞いたはずが、ウォーリアの声が聞こえた。
どうやら、奴隷を連れて来たようだ。
「敵が多くなって来ておる。当初の予定通り、魔術師二人が動いてもらう方がやりやすい。」
「なら、私とラーファルトは一緒に動こうか。さっきのみたいに変な攻撃が来るかもしれないし。」
「うん。分かった。」
『報告します。魔道具の解析が完了しました。』
とりあえず、色々聞きたいが、俺を害した可能性のある魔道具について教えてくれ。
『了解しました。魔壊の指輪。がそれに該当します。』
「.....指輪か。」
「え?ラーファルト指輪がどうかした?」
Sari、サナにも情報共有をお願い。
『完了しました。』
いや、共有完了までが早いな。
『アップグレードの力です。』
Sariが初期から進化している.....というのはとりあえず置いといて、指輪の効果は?
『置いておきたくないのですが、仕方なく説明します。』
おお、頼む。
『魔壊の指輪は、二つで魔道具として成立します。指輪と指輪を当てると、音波が発生。この音波が魔力の多い人の気分、体調を害します。』
なるほど、だから魔力量の多い俺が最も効果が高かったのか。
それに、サナも普通の魔術師よりは多い。当たり前といえば当たり前だな。
仕組みとしては、他人の魔力が音波を増幅させているのかもな。
『その認識で構いません。』
「.....とりあえず、ウォーリアに持って置いてもらおう。」
「なんで俺だ?」
「クリス流の詠唱の時間稼ぎになるからだな。」
ウォーリアの場合、クリス流を使わずとも敵の攻撃を止められることが殆どだ。
クリス流の使い手といっても、詠唱がある分、それを使うタイミングはあまりない。
「俺のいる前で使わないでくれよ。」
「ああ。周りをよく見て使うことにするよ。」
『音波の魔力での増幅を知覚し、弾ければ良いのですが。』
それはとりあえず練習だな。
「それじゃ、行こうか.....」
「ええ。ウォーリアはこの敵を見ておいて。」
「ああ。任せろ。」
キリッとした顔でウォーリアがそう返事をする。
久しぶりの奴隷保護.....遅れはここで取り返す.....!!
そう思いながらサナと共に走り始めた。




