第156話:どれだけ欺けるか
シーア視点
ラーファルトの魔術をルアが操ってる?
仕組みは分からないがそれによってオアフ帝王の無敵化は解けた。
今までこんなのは見たことがない。
ということは切り札の一つをここで切ったのだ。
なら.....私も切るべき.....!!
ーーー
数十分前
「貴様、逃げる、逃げるの?そんなの、そんなの許さない。許さないのよ。」
そう声を発しながらラーファルトの方へマリアベランダは向かっていた。
サナを助けるために走るラーファルトを止めさせる訳にはいかない。
「アリス流黒光」
《戦火》
「その前に私を倒したらどうだ?そこそこさん。」
「むかつく、むかつくのよ。邪魔なやつね。」
剣と剣が交わり、拮抗していた。
ラーファルトは私を信頼し、この場を任せてくれたようだ。
マリアベランダ・アリストテアル。
前に森で戦っ時のそれら正直完敗だった。
私のしたいこともさせてもらえず、敵の猛攻を防ぐのが精一杯。
正直、敵が引いていなければ私はここに立っていない。
「ふう.....」
私は頭の中に動きをイメージする。
『.....危険を伴いますが、覚悟はありますか?』
ロードリングがそう発言したとき迷わなかった。
仲間を守れない悔しさと己の不甲斐なさを痛感していたからだ。
ーーー
「ジャガー私に.....」
「あ?それはいいが.....結構危ないだろ。」
「今の私には決定打がない使うのは今回の戦いだけで良いから教えてほしいの。」
そうしてジャガーに特訓を手伝ってもらった。
その時に良く言われたワードがある。
「俺もまだあまりわかんねぇんだけどよ、イメージだぜ大事なのは。」
「一応教えれることというかコツは伝えたからあとはイメージ通り体を動かす。」
「イメージできらゃそれは実現可能ってことだぜ。」
イメージだ。
ーーー
イメージしろ。全ての可能性を頭に駆け巡らせるんだ。
「アリス流!空虚!」
《正錬》
ラーファルトが雨を降らせてくれているおかげで今敵の無敵化はない。
「甘い。甘いのよ.....!!隙だらけ!!」
そう。隙だらけ。
アリス流は敵の攻撃に合わせてカウンターをする剣技。
本来、敵に突っ込み攻撃を行うことは望ましい戦い方とは言えない。
「オアフ流!極龍!」
《蛇遁》
まるで勝ったかのような目をしてこちらを敵は覗いている。
そう、アリス流なら隙だらけだからだ。
「私の勝ちよ。」
そう呟くと一瞬のうちに剣を持ち変える。
マリアベランダが目を見開き、顔を青くする。
だが、もう遅い。マリアベランダ首が飛ぶ。
「ふう.....!!」
息を吐き、深呼吸をする。そうでもしないと逆に私の命が持っていかれる。
アリス流なら隙だらけ。
だが.....
「ガリス流!奥義!」
《一閃》
違う流派を途中で繰り出す。
体に負担がかかり、最悪の場合死に至る諸刃の剣。
が、扱うことが出来れば敵を倒せるそんな技だ。
「シーア!この先にラーファルトが......!!」
息を整えている間にルアたちが走ってくる。
そうだ。これで戦いが終わったわけじゃない。
「ええ。知ってる。一緒に行くわ。」
そうして、シーアはオアフ帝王への戦いへ向かったのだ。
ーーー
危険は伴うが.....私もこの切り札を.....!!
今、目の前にはオアフ帝王がいる。想像を絶する強さ。
勝機は私たちがどれだけオアフ帝王を欺けるかという点にあるだろう。
「アリス流!空虚!」
《正錬!》
そう考え私は技を繰り出した。