第154話:集ったフローハット
《ロックショット!》
「オアフ流」
《錬磨》
「ぐっ.....!!」
後ろにはサナ.....避けられない.....!!
《ディスクリート!》
「いってえ.....!!」
サナに傷はない.....が段々と顔色は悪くなっていく。
「さっさと片をつけたいがそういう訳にもいかないか.....!!」
「オアフ流」
くそ.....!!傷を直す暇さえ与えられないな.....!!
《ムーブドウインド!》
サナを抱えて移動する。
命の契約は限界を超えた規格外の力。ラーファルトもその脅威は理解している。今までも命の契約を使った敵にあらゆる面で翻弄されてきた。
今のラーファルトは以前より速度も威力も桁違いに伸びている状態だ。状況を見て判断できるほどに余裕は持てている。
以前ならばSariの反応が無ければ防げていなかった部分もあっただろう。
現在のラーファルトはギリギリで反応式避けることができている。ただし、反撃ができない。
そのうえ、サナを庇う必要性により、攻撃をあえて受けなければならないタイミングが発生してしまっている。
このままではジリ貧で負ける。
《追楼》
敵の攻撃がとてつもないスピードで飛んでくる。
いや、迫ってくると言うべきだろう。
攻撃の一つ一つがラーファルトに緊張を与える。
《ムーブドウインド!》
ラーファルトは避ける.....が.....
「追尾機能.....?!」
攻撃はラーファルトの方へ曲がってくる。
《ディバシーウインド!》
強風の発散を敵の攻撃に向かって放つ。
その風に誘発され、大きな爆発を起こした。
「うお.....!!」
その勢いにラーファルトは吹っ飛ばされそうになる。
が、今抱えているサナを手放す訳にはいかない。
死ぬ気で目の前の大切な人を守るのだ。
《ゴーレム!》
もはや多く生み出したゴーレムは機能しておらず殆どが倒される。
が、ゴーレムがオアフ帝王の目の前で対峙してくれていることでラーファルトへの追撃は少しだけ遅れている。
その隙で次の攻撃に備えろ.....!!
策を考えろ.....!!
《マッドスピアー!》
オアフ帝王の目の前にいるゴーレムの後ろから土の槍を出す。
完全な不意打ち。
「ふん.....」
そう息を吐いたと思えば、ゴーレムが消えた。
否、消し飛ばされたのだ。
土の槍への純粋なパンチ。
突風が起こり、小さな竜巻が発生する。
「ぐっ.....あああ.....!!」
足を怪我している分踏ん張りが効かず空へ吹き飛ばされる。
空は.....
『危険です!!無防備になります!すぐに着地を.....!!』
とSariが言うがもう遅い。
目の前にはオアフ帝王の拳が迫っていた。
サナを庇うように体を丸め、覚悟を決める。
「クリス流!劉戒!」
《神殺!》
轟音が響き、建物の崩れる音がする。
まだ、感覚がある。
死んでいない。
うっすらと目を開け、目の前にウォーリアがいることを確認した。
「すまん。俺たちのミスだ。」
《コールドウインド!》
敵を吹き飛ばし、着地した後状況を確認する。
「遅くなったぜ。すまねぇな。」
「いや助かった。」
フローハット。パーティーメンバー全員はこの強敵の前に集った。
「反省は後だ。叩き潰すぞ。」
その声を発した後、瞬時に俺たちは動き出した。